ええ。小心者ですから・・・。

本ブログは「学園へヴン」の二次創作を行っています。BL要素が含まれますので、苦手な方、理解できない方、18歳未満の方の閲覧はご遠慮願います。 Novel List から入って頂きますと順番通りご覧いただけます。ではどうぞごゆっくり・・・。 

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天色恋々歌(あまいろ恋々歌) ◆漆の巻◆

天色恋々歌(あまいろれんれんか)


天色恋々歌(あまいろれんれんか) 
◆漆の巻◆






・・・・コン・・・。

気の所為でなければソレは、誰かが自室のドアを叩く音のように聞こえる。

「・・・?」

時刻はすでに深夜。
火急の用事が無ければ、家人の誰も訪問してくる時間帯ではない。

・・・コンコン!

今度はさっきよりも明確な音が部屋に響いた。

「―――ちっ」

恐らくは毎度おなじみ、あの我儘気儘な父親の迷惑行為だろうとあたりを付けた臣は
早急にそれに抗議をする為、小さな舌打ちと共に、いつもより乱暴にドアを開け放した。

「――――っ??!」

だが、照明が最小限に落とされた廊下に立つその人物は
あらかじめ臣が想定していた目線のずっと下に存在していたのだった。

たった一人きり、臣を見上げるその人物の背後にゆらゆらと揺れる尾は、
暗闇の中にあってもぼぅ。と白く、まるで発光している様にさえ見える。

「・・・。」

無言のまま、自分を真っ直ぐに見つめる空色の瞳のその真摯さに、
やはり帰りたいと直訴にでも来たのだろうか?と勝手に勘繰れば
どうしてかきゅっ、と気道が狭まり、臣は言葉を発することが出来なかった。

様々な覚悟に身を固くした臣の横で、真白な尾がふわり、と。空気を揺らした。

「・・・ぇ?」

予想のつかない御曹司の行動に、うっかり遅れを取ってしまった臣だったが、
戦闘に慣れたその身体は、無意識下でも軸を反転させる事に辛うじて成功していたようだ。
臣の脇をくぐり抜けたその後ろ姿を追いかければ、御曹司は吸い寄せられるように
部屋の片隅に置かれた刀台へと近づいて行く。
彼の人は、ついさっき手入れを終えたばかりの蒼月を手に取ろうとしている所だった。

蒼月の刀身は臣の身の丈を軽く超える。
見てくれは細身だが、大層不思議な事にその重量は尋常では無く、
余程の鍛錬をした者でなくては振り回す事さえ儘ならない。

「―――っ!!何を!!」

それに触ってはいけない!!と咄嗟に声を荒げた臣は
長い脚を折り、すぐさま跳躍の姿勢に入った。

蒼月は普通の刀ではない。
恐ろしいほど強大な力を宿す破魔の剣なのだ。
妖である御曹司が手ずから剥き身にして、無事でいられる保証は何処にもなかった。

なんとしても、太刀がその身に触れるのを阻止しなくてはならない筈なのだが、
どうしてか臣のその脚が伸ばされる気配は無く、
代わりにその菫色の瞳が、これ以上ないと言う程大きく剥かれた。

「・・――――??」

右に左にひらひらと太刀が舞う。
なんと彼の人は大太刀を、片手一つ楽々と振り回しているではないか。
持ち主である臣でさえ、両の手を添えなければ支えきれぬモノを、だ。

「・・・なっ!?」

やがて、臣が刀を奪い取る為に伸ばした手を降ろすのと、跳躍の為、
体中の筋組織に蓄積させた力が同時に解放されて膝がゆっくりと折られてゆく。
臣は、ただぼんやりと目の前の景色に見とれるしかなかったのだ。


それは超重量級の蒼月の重さを全く感じさせない、剣舞のような軽やかさだった。
月光を纏って、まるで身を震わせるように青白く輝く蒼月の太刀筋は、光の弧を描いて宙空を舞うのだ。
さっき自分が手にした時よりも、ずっとずっと美しく輝いて。

「・・・。」

長刀を月にかざすその横顔が、何処となく嬉しそうに見えるのは何故だろう。
御曹司のその瞳は懐かしさを帯びて、まるで古くから蒼月をよく見知った風だ。

さて、この人はどうしてこんな風に蒼月を見つめるのだろうか?とか
たった一人きり夜更けに自室を訪ねてきたのはどうしてだろうか?とか、
さっきから実に沢山の事が、頭の中に浮かんでは消えて行くが、そんな事はどうでもいい。
蒼月へ注がれる眼差しは深い慈愛に満ちていて、胸が締め付けられるほどに美しかったから。






どれ程経った頃だろう。
呆ける臣の鼻先へ、にゅっ、と黒塗りの鞘が突きつけられた。

「!!」

不意を喰らい、弾けるように見上げた先には
一体いつの間に納めたものか、しっかりと元の鞘に落ち着いた蒼月が見えた。
もう満足したのか、其処には太刀を大切そうに抱いた御曹司が、
臣を真正面から見つめてニコニコと破顔しているではないか。

「――――っ////////あ!?ああ、申し訳ありません」

急に熱を帯びたその頬を見られたくなくて、
臣は御曹司の手元から奪い取るようにして太刀を受け取ると、慌ててその顔を反らした。

「ん?!」

・・・つもりだったのだが、どうした事だろう?顔がさっぱり動かない。
臣の顔は今、御曹司の手によって固定されていた。
しかも、ものすごい力で、だ。

「・・・な・・・っ?」

流石の臣も困惑を露わにし、激しく抵抗を試みたが、
大層マヌケな事にバタつくのは顔面以外の手足のみ。
非力な分類には到底入らない一軍人が、しっかり、がっちり、
ぎゅうぎゅうに固定され、眼を逸らす事さえ許されないのだ。

「何・・・を・・・」

その喉は、もしかすると大声をあげるつもりだったのかもしれない。
だがしかし、目の前いっぱいに空色が広がれば、それは小さく掻き消えてしまっていた。

やがて美しく青い空がどんどんと近づいて、あともう僅かで唇が触れてしまいそうなその距離に
仰天した臣は、ぎゅっと目を瞑ったまま闇雲に手足をバタつかせた。

(・・・やっと、お話が出来ましたね。)

それは酷く優しく静かな声だった。

(俺。啓太って言います。)

それは頭の中に突如として木霊のように響き渡ったのだ。

(俺、人界に来ることが出来てすっごく嬉しいです。)

余韻を残して脳内に広がって行くその声に、懐かしさを覚える。

それは一体何だった?
あれは一体いつだった?

目の前に蒼天の空がある。
美しい、美しい僕だけを映す空。

ああそうだ。あの人はいつだって誰より優しくて、誰より強かった。

(・・・??あの人??・・・・あの人って誰?・・・)

心の奥底に、凝り固まっていた何かがどろり。と溶けた気がしたその時、
臣は初めて己の鼻先にひやりとした感触がある事を知った。

「・・・・は?」

恐る恐る目蓋を開けて見れば、どうしてか己の鼻先にぴたりと密着する御曹司の鼻がある。
事態をようやく認識した臣は、ついに声にならない声を上げたのだった。

「~~~っ?○?☆▽●×!!っ???」

(それから、あおを・・・蒼月を大切にしてくれてありがとうございます。
・・・あの子がね、言ってました。いつもとても丁寧に世話をしてくれるって・・・。)

「!!?・・思考!!思考を読んでるんですか??!?」

(えと・・・ごめんなさい。俺、人語が全然しゃべれなくって・・・
でも大丈夫!!こうすればすぐに考えている事が判りますから。楽ちんでしょ?ね?)

(――――精神・・感応・・・)

(はい、身体を接触すると伝わるんです。人それぞれですけど、俺は鼻が得意かなぁ・・・)

へへ・・・と照れくさそうに笑う声が、また臣の頭の中に広がって、
目の前の瞳がへにょり、と崩れた。
何の屈託も無く笑うその顔は幼子のようで、とても同性とは思えない程に愛くるしい。

「―ーーーっ?!」

途端、臣の心臓は勝手に大きく跳ねだした。
先ほどよりさらに熱を上げてゆく頬が容易に想像できて、猛烈に焦った臣は
必死に身を離そうとしたが、この細い腕のどこにそんな力があるのだろう。
御曹司は決してそれを許してくれない。

(えーっと、あの・・・な・・・何故、蒼月の名前を・・・)

諸々居た堪れなくなり、ついに耐えきれなくなった臣は場を繋ぐため、
視線だけを明後日の方角へと外して、適当に思いついた質問をぶつけてみる事にしたようだ。

(あれ・・・?ご存じないのですか?あの子の出自は妖狐族なのですよ?)

(?????は??)

(蒼月は妖が鍛えた刀です。随分と昔、妖狐から七条家へ渡ったと聞いています。
あの・・・俺、人の言葉を一生懸命勉強します。だからどうか、一生あなたのお側においてください。)

(???????)

相変わらずがっつりと羽交い絞めにされたままの臣は、白目を剥きそうになった。
いや、実際、ほんの少しは剥いていたかもしれない。
当たり前だ。
体裁を取り繕う為だけにした質問に、とんでもない答えが返ってきたのだ。

この人は何と言った??
僕の蒼月が、妖狐族で造られた??
妖狐から七条家に渡った??
それに・・・人界の言葉を理解していない??
は???
はぁ??????????????

確かに、御曹司の主張自体は記憶できている。
だがしかし、残念な事に今は脳が全ての作業を放棄しており、内容が上手く飲み込めていない。

(あの・・・。大丈夫・・・ですか・・・)

(だ、大丈夫も何も・・・。まったく・・・さっきから動悸が激しいし、
喉が渇いて物凄く息苦しいっ!!大体にしてこの状況が
脳の非効率化を招いているんじゃないですか・・・・。)

(あ・・・ごめんなさい。)

「―――!」

しまった、全てがダダ漏れだった。と思った時にはもう遅い。
目の前にある青色の光彩が所在なさげに小さく揺らいですぐに、
さっきまで全く動かす事が出来なかった顔が、簡単に本来の自由を取り戻していたのだ。

心底ほっとしたけれど、白い指先が自分の輪郭からそっと離れて行くのを見た時、
心がちくり、と痛んだのはどうしてだろう。

(いやいやいや―――今はそんな事を気にしている場合じゃ・・・。)

素早く立ち上がった臣は、矢継ぎ早に言葉を捲し立てた。
身の内で小さいけれど確実に動き出した何かに、わざと気が付かないふりをして。

「まあ、お伺いしたい事は沢山ありますが、それは追々時間をかけて参りましょう。
ともかく言語の習得が先決ですね・・・。今は良い教材もありますし、
殿下には僕が責任もって完璧に言葉を教えますから、どうかご安心を・・・」

「・・・?」

「えーっと・・そのですね・・・つまり・・・言葉のオベンキョウです。判りますか??」

「???」

「オベンキョウですよ。お・べ・ん・きょ・う!!って・・・ああ!!・・・もう!!」

是が非でも己の考えを伝えようと、臣は大げさな身振り手振りを交えて
話を続けたが、どうやら言葉を解さないと言うのは本当らしい。
身体の接触を解いてからずっと、何をいっているかさっぱりだと言った風に
相手はきょとんとしたままなのだ。

「でーすーかーらーっ!!」

「!!」

不意に手をポン!と打った御曹司がなるほど!!と合点した様に頷いた。
嗚呼。やっと理解してくれたのか、と喜んだのも束の間の事。
両手を大きく広げ、笑顔全開の御曹司が自分目がけて突進してくるではないか。

「ちょっ!!」

だがしかし、同じ間違いを早々何度も犯す臣ではない。
今度はその小さな茶色の頭が、しっかりと固定されてしまう番だった。

「ダメ!!ダメです!!これは絶対にダメ!!もうさせませんよっ!!」

ビシッ!!と御曹司の目の前に両手を交差させて大きな×印を作った臣は、
普段決して使うことの無い表情筋を総稼働させ、まるで幼子にするようにして言い含める。

言葉が解らなくとも、そんな臣の行動を見ればいい加減察してくれたのだろう。
かなり渋々ではあるが、漸くこくり、と一つ頷いてくれた。

「全く・・・このような事は今後一切しないように。は、はしたないですから・・・。」

実に不服そうに、ぷぅっと頬を膨らませて俯く御曹司のその姿を見ながら、
やれやれこれではまるで子守りじゃないか。と臣は半ば呆れた。
だけれど、どことなくこの問題の解決の糸口が見えたような気もして、
ほんの少しだけ安堵したのも確かだ。
言葉が解らなかったと言うのなら、あの日ついうっかり漏らしてしまった計画も
理解できていないという事になるのだから。

・・・なんだ。簡単な事じゃないか・・・。

そう思ってしまえば、鬱々とした思いは何処へやら。
段々と晴れやかな気分になってきた。
随分と時間の無駄ではあったけれど、全ては振出しに戻ったという事なのだから今度こそ、
細心の注意を払って計画を進めればいいのだ。

一旦は頓挫しかかったこの計画だったが、どうして、どうして。
ここに来てなんだか形勢逆転の気配だ。
しかしながらこの計画については、色々と詳細を詰める必要性があるのは確かで、
その為にもここは一人きり、ゆっくりと考えをまとめたい所だった。

「さあ、殿下。寝室にお戻りください。今頃、従者の方がさぞご心配されてる頃でしょう。」

現金なもので杞憂が無くなった途端、本来の冷静沈着さを取り戻した臣は、
口調も大層滑らかに、御曹司へ部屋からの退室をさり気なく促しにかかった。

「夜も大分更けました。この続きは明日にでも・・・。」

努めて優しくそう言った臣は、ドアノブへと手をかけ、ゆるりと進路を指し示した。
さあ、殿下?・・・ともう一度問いかけようとしたその時、さっきからずっと
俯いたままだった空色の瞳の焦点が、ゆっくりと臣へと合わせられた。

「・・・おみ・・・。」

まっすぐにこちらを見上げたその口が象ったのは、紛う事なく自分の名だ。
それを耳にすれば、さっきよりも一際大きく心臓が撥ね上がった。

「?!」

中空でほんの僅か、穏やかな空色と困惑した菫色の視線が混じり合ったけれど、
それはすぐに解かれてしまった。
御曹司が諦めたように小さく手を振って、来た時と同じようにまた臣の横をすり抜けて行ったからだ。
未だ臣の手の中にあった蒼月を、愛おしそうに一撫でして。

「お、おやすみ・・・なさいませ。」

その後ろ姿が、廊下の暗がりに消えて行くまで
頭を下げた格好で見送った臣は、随分と緩慢に上体を起こした。






::::::::::::::::::::::::::::::::::

再び戻った夜のしじまを壊さぬよう、臣は自室の扉を音も無く閉じた。
窓から射し込んでくる月光はどうしてかさっきよりずっと寂しげに見える。
ふと溜息を吐きかけた臣の鼻先をくすぐったのは、部屋に残った微かな微かな香りだった。

「・・・花?・・・」

無意識に瞼を閉じた臣は胸いっぱいに、くん。と吸気した。
それは優しく甘く可憐な野の花の香り。
それはきっと、さっきまでここに居たあの人の残り香。


真面目な顔をして深夜に訪ねて来るから、何かを直談判しに来たのか構えていたら、
大太刀を振り回し、ニコニコと笑み崩れていた。
だがしかし、上機嫌かと思いきや、
次にはもう、頑是ない子供のように頬を膨らませていたっけ。

まったく、これでは先が思いやられるな・・・。と嘆くくせに臣の顔は、何だかさっぱり困っていない。
さっきまで眉間に深々と刻み込まれていた皺だって、いつの間にか消えているのだ。


・・・あの時。
長く艶やかな睫毛に縁どられた空色の瞳が、瞬きもせずに
ただ自分だけを映しているという事実に、どうして自分は安堵し、
酷く満たされた気持ちになってしまったのだろう。

名を呼ばれて跳ねた心臓が生み出した、あの痛みの正体は何だったのだろう。
じわり、と甘やかな疼きさえ伴って、この体中を駆け廻る
決して忌むべきモノでは無い、奇妙な感覚の正体は一体・・・。

確かめるようにもう一度、臣が吸気しかけたその時。
ふる・・・、と小さく手元が震えたような気がした。

「・・・!?」

そう言えば、蒼月は未だ己の手の中にあるままだ。
この大太刀は妖狐族が鍛えたのだと言う、彼の人の声が頭を駆け巡れば、
途端、臣は己の行動の何たるかを自覚して盛大に咳き込んだ。

「―――っ!!ごふっ!!げほっっ!!・・・・
いやいや!!ですからっ!!それはきっと珍しいモノが新鮮に見えるだけと言うか!!
ほら・・・が、学術的興味も十二分ありますしっ!!ごふっ!!ごふっ!!
何と言いますか・・・つまり・・・。その・・・えーっと・・・。
明日・・・ええそうです。明日!!また改めて考える事にしましょう。それが良い。」

色々と言い訳めいた言葉を、手元目がけて並べ立てたのは、
なんだか蒼月に笑われているような、そんな気がしたからだ。

「・・・/////////////」

ついにモゴモゴと口籠ってしまった臣は、赤面しながらいささかぞんざいに
刀台へと黒塗りの鞘を納めたのだった。

その夜。
またもや一睡も出来なかった臣は、悶々として朝を迎える事となった。




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天色恋々歌(あまいろれんれんか) ◆陸の巻◆

天色恋々歌(あまいろれんれんか)


天色恋々歌(あまいろれんれんか)
◆陸の巻◆







優しい乳白色の光が室内を満たす。
どうやら今夜は満月らしい。
臣は大きく部屋の窓を開け放つと、胸いっぱいに外気を吸い込んだ。
日中は汗ばむほどの陽気が続いても、この頃の夜風には湿気が含まれてきていて
見上げた月もおぼろに輝いている。
それは、あともうすぐで雨の季節がやってくる事を告げているようだ。

「やあ、蒼月。元気でしたか?」

振り向きながら菫色の視線を手元へと下げた臣は、握る一振りの太刀へと優しく語りかけた。
ゆっくりと主の手により質素な黒塗りの鞘から引き抜かれた長刀は、その美しい姿を月下にあらわにした。

名刀「蒼月」
成人男子の身の丈もあるこの大太刀は、その名の如く蒼い月光を浴び、
刀身に見事な刃波を浮かび上がらせた。
光に呼応するように、まるで濡れて滴るように輝くそれは、
久しぶりの外気を喜んでいる様にさえ見えてくる。

そっと、鞘だけを部屋の隅に設えられた刀台へ収めた臣は、
背筋を伸ばし静かに呼吸を整えると、丁寧に太刀の目釘を抜き、
慎重に作業に取り掛かった。
刀身と柄を分離させ、鍔を外してから刀身に刃こぼれや歪み、
錆や傷などが無いかを入念に確認していく。
それから、重ねられた拭い紙で棟方から丹念に古い油を拭き取ってやり、
仕上げに打粉をぽんぽんとムラがでないように軽く叩いてやる・・・。

冷水で身を清め、熨しの充てられた着物へと袖を通した臣が
作業に没頭するその場所は、自室の端に設えられた二畳ほどの畳敷きの空間だ。
毛足の長い絨毯の上に在る猫足やら、天蓋の付いた寝所等、
所謂ゴシック調の七条家の屋敷の調度品の中にあっては、
中々に不釣り合いな仕様だったけれど、大切な太刀の手入れをする為だけに
臣自らが全てを用意したこだわりの場所だった。

「本当にすみませんでした。全然手入れをして差し上げられなくて・・・」

手を休める事無く、臣は『蒼月』に語りかけた。
縁談話やら転属やらで、自分の事だけに手一杯だった事を恥、
まるで人に向かうが如く刀に向かって素直に詫びを入れる。

「・・・ふふ。」

ふと、珍しく遠い記憶が頭をよぎって、臣は小さく笑った。
世に「妖刀」の二つ名を持つこの刀の扱い方は、全て祖父に叩き込まれたものだ。
昔から自由気ままな父や多忙な母にかわり、幼い自分の世話を焼いてくれたのは
母方の祖父母だったのだ。
思えばこうしてよく、祖父も独り言を言いながら太刀の手入れをしていたっけ・・・
と、紫の瞳が細く眇められたその優しい横顔は、きっと誰も知らないこの青年のもう一つの顔だろう。

「蒼月・・・申し訳ないのですが、またしばらくは退屈をさせるかもしれません・・・。」

いつもより随分と念入りに油をひき、また更に打粉を打ちながら、
臣は蒼月に詫びを入れた。
幼い頃からいついかなる時も離れる事無く、常に身の傍らにあったこの長刀は、
主の身辺が急激に動き出して以来、完全に七条家で惰眠を貪っている状態なのだ。
と、いうのも新しく配属された町役場・・・
否、帝都直属第三近衛部隊は壁に「笑顔で築こう友好の輪!!」と言う
意味不明なスローガンを掲げており、街の平和と人間界、妖界、
両市民のよりよい生活の為、いかなる面倒事も笑顔で引き受ける!!
という、実に厄介な事をモットーにしている部署であった。

そのため、一般市民の要らぬ恐怖心を煽るという事で、
「内勤中は一切の帯刀を許さない」という、内部規定がまかり通り、
更には誰もそれに異議を唱えないという、
臣にとっては二重の驚愕の事実が存在している部署なのであった。

「まあ、多分・・・あそこにいる限りは、絶体絶命って場面には
遭遇する事もないでしょうからねえ・・・。」

ここ数か月、処理した様々な案件を思いだした臣はほんの少しだけ遠い目をした。

・・・・妖夫婦の喧嘩の仲裁・・・ってアレは本当に軍の仕事なんでしょうか。
うーん。迷子妖猫の捜索って言うのもありましたか・・・。
まったく・・・あんなでかい猫を飼うなんて絶対に有りえない・・・
あ・・・。妖蜂の駆除
アレは珍しく若干危険な任務でしたか・・・。

思い起こせば本当に、雑多で些末でくだらない案件ばかりだった。
だがしかし、そんな雑多で些末でくだらない案件にさえ、
いちいち自分は振り回されっぱなしなのだから、不甲斐なさに涙が出そうになる。
ついうっかり溜息を吐き、床に突っ伏しかけた臣だったけれど、
この大切な刀の手入れだけは、どうしたって続行させなければならない。

「・・・さあ、出来ました。これでまたしばらくは大丈夫でしょう。」

かちぃん。と小気味良い金属音を響かせた鯉口が、作業の完全終了を告げる。
刀台に太刀を置いた丁度その時、臣の耳に鐘を午前一時を知らせる柱時計の音が届いた。

「・・・もうこんな時間だ・・・。」

時刻を確認する為、一度時計を見た臣は、
どうしてか大げさに肩をすくめ、ことさら残念そうに頭を振った。

「だって・・・仕方がないじゃないですか。
こんな時間に唐突に伺っては、やはり失礼というもの。
僕はぜひ会ってお話を山ほど伺いたいのに、非常に残念です。
ああもう本当に、残念です・・・」

独り言と言うにはあまりに大きなソレを吐き出した臣はその後、静かにうな垂れた。

実は初顔合わせのあの日以来、妖狐族の子息には会っていないのだ。
本当は今すぐ会って、あの時の非礼を詫びたいと思っているのに、
もしかすると拒絶されるかもしれない・・・と想像するだけで、
何故だか、酷く不安になってしまい実行に移せないでいる。

あの時、彼の人の眼に自分は一体どう映ったのだろう?
礼儀を欠いた唐突な物言いと、無礼な態度にやはり怒っているだろうか?
それとも、呆れているだろうか?
もしかしたら今頃は、人選を誤ったと後悔し新たな斡旋を始めているか、
最悪、妖界に戻る段取りをしているのかもしれない・・・・。

そんな考えに陥ってしまえばもう、すっかりとお手上げ状態だった。
未だかつて体験した事の無いこの正体不明の感情は、心に延々と澱のように降り積もって
鬱陶しく、もどかしく・・・何というか、実に気色の悪い事この上無いのだ。
眉間の皺をことさら深くして臣は、うーんと唸った。

「・・・でも、もう・・・色々限界でしょうねえ・・・。」

そもそも処理能力に長けた臣にとって、仕事環境が変化した所で別段何の問題もない。
この男にとってせいぜい2日もあれば理解⇒再構築⇒処理の最適化。が迅速に行われ
定時に帰るなど造作もない事なのだ。

実の所、あのワザとらしく机に山積みになっている仕事は、
ちょっと本気を出せば半日程度で終わる代物だったりする。

「まあ・・・我ながら、実に姑息な手段だとは思います・・・けど。」

そう。
どうしても妖狐族の子息に再び会う事が出来ずにいた臣は
周囲に気が付かれないような微妙なさじ加減で仕事を引き伸ばし、
毎日の帰宅が深夜になるよう時間を調整する事により、
物理的に面会できないと言う口実を己の中に作っていたのだった。

「でも・・・そろそろ、あの人が嗅ぎつけそうなんですよねぇ・・・」

近頃、やたらと幼馴染が自分の部署を訪問してくるのは
突然、第一線の護送部隊から強引にほかの部署へと転属し、
暇を持て余しているから・・・と、いう理由なんぞではない事なんて端からお見通しなのだ。

日参する美貌の幼馴染に、同僚や上司等は異常に浮き足立っていたが、
決してあの見てくれに騙されてはいけない。
美しい薔薇には棘があるように、西園寺は臣が知る誰より辛辣で容赦がない人間だ。

おまけに彼は、迷惑な程の好奇心を常に持て余しているのだ。
『苛烈』な性格に『好奇心』を加えると『嗜虐性』という
恐ろしい答えが弾き出される事を、臣はとうの昔から身を持って学習済みだった。

(本当に・・・もうこれ以上、面倒事を増やさないでほしいのに・・・。)

常に刺激に飢えている西園寺の事だ。
臣が施した小細工など瞬時に見抜き、嬉々として指摘してくるだろう。
彼が興味を持ったら最後。
周囲が大波乱に巻き込まれるのは必須事項だ。
だかしかし、かき回すだけかき回すくせに当の本人は全くの無自覚というから
危険極まりない。

「とにかく・・・郁が余計なちょっかいを出してくる前に
なんらかの対策を取らねばなりませんねえ。」

嗚呼、でも、いったいどうやって・・・と、固くしこるコメカミを
グニグニと乱暴に揉みほぐしながらまた臣は、今日何度目か解らない溜息を吐いた。

「?」

と、耳が小さく頼り無い音を拾ったのはその時だった。


うわーん(>_<) やっとこ更新できたああああ

つぶやき


ど、どうも・・・。
大変ご無沙汰しております。
じゅ・・・じゅえるです。
((息切れ))

ってゆーか!!
師走ですよ!!
師走!!
最終更新が9月で、今、師走!!
え――――――――――――――っ!??(知らねえよ)

あー。作文する時間がまとめて取れないなあ~(=_=)
とか思ってたら、こんなに時間が過ぎておりました・・・。
(私的に)忙しいことは忙しかったんですが、
きっと、世の中には私の百万倍忙しい方が山ほどいる訳で・・・。
そうなるとただ単に、私が要領悪いだけ・・・って話になる訳で(笑)


こんな、だらだらと自分勝手に運営しております僻地サイトではありますが、
定期的に遊びに来て頂いている方々もチラホラいらっしゃいます。
おまけに更新もないのにポチ!まで!!押してくださるのです。
本当に本当にありがとうございます。
そしてごめんなさい!!(+o+)!!

ってなわけで、
新しいお話更新いたしました。
多分、今年はこれで最後の更新になるかと・・・。
お暇な方はどうかお付き合いくださいませ。

天色恋々歌◆伍の巻◆

天色恋々歌(あまいろれんれんか)


※※※※すーみーまーせーんー※※※※

今回は臣を取り巻く職場同僚顔無しモブさんたちのお話が主に入ってます。
・・・はあ??なにやってんだ~じゅえる(-"-)
しょうがないなあ~付き合ってやるか~
・・・と言う寛大なお嬢様のみお進みくださいませ。



OK???




ではではどうぞ・・・。





天色恋々歌(あまいろれんれんか)◆伍の巻◆



さっきまでの喧騒は一体、何処へいってしまったのだろうか。
ざわついていたその部屋はいつの間にか不思議な静寂に包まれていた。
一見、静かに始業の時を待つ模範的な姿に見えなくもないが、
実の所それは大層間違った認識だ。

すでに尖っている鉛筆を更に削りなおしたりする者、意味もなく分厚い資料を
出したり入れたりする者等々、よく見れば彼らの行動は全くもって無意味そのものなのだ。
ちなみに彼らに注意を促す立場の上長でさえ、さっきから同じ書類に
繰り返し決済印を押し続けている。

時刻は午前7時44分。
それは「帝都直属第三近衛部隊」に所属する全ての者の緊張が頂点に達する時である。
あと少し、あともう少しであの扉は開かれるのだ。
きっと今日も彼は、始業時間のキッカリ15分前に登庁するだろう。

(っっ!!来たああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!)

時間通りに開かれた扉の向こう側に、最近転属してきたばかりの
新しい同僚のその姿を見つけた彼らは、
喉元まで出かかった大絶叫をゴクリ、と呑み込んだ。
そして今日も今日とて懸命に平静を装い、何食わぬ顔で挨拶をするのだ。


夜空の星屑を集めたような銀髪は、さらさらと風に揺れて(いるような気がする)
その髪の毛と、同じ色の長い睫毛に縁どられた美しい菫色の瞳は
憂いを帯びて濡れている。(ように見える)
余すほど長い手足も、柔らかな物腰も、
まるでお伽噺の貴公子のよう(に見え・・・以下略)

だけれど、その濃紺の軍服を内側から押し上げる
鍛え抜かれた筋組織は、軟弱な貴公子のそれではない事を皆は知っている。


実際この目にした事は無いけれど、何代も続く著名な祓い屋の血をひくと言う彼は、
身の丈ほどもある長刀を自在に操って魔を祓うのを得意とし、
その腕はもちろん超一級だと伝え聞く。

あの稀代の天才呪術師、西園寺郁の相方として第一線に在り、
華々しい経歴を残していたその彼が、ほんの数か月前には
任務遂行中に爆風に呑み込まれ、殉職扱いとされた事は記憶に新しい。

だがしかし一転、奇跡の生還を遂げ周囲を大いに驚かせたかと思えば、
いやはや今度は、妖界の選ばれた花婿としてその名を政府関係者中に知らしめ・・・。
・・・なんて事は軍に所属する者ならば誰だって知っている事だった。

そんな超有名人が自分たちの部署に配属されるのだと知った時は
皆、一様に驚嘆し、そして同時に酷く落胆したものだ。

何故ってそれは当然だろう。
軍の精鋭部隊に所属し、第一線で華々しく活躍。
その上、容姿端麗で、頭脳明晰。
なるべくして「選ばれた人物」となった彼は
今回の話が滞りなく進めば当然、政府の要人となる身分なのだ。
苦労して汗水を流さなくとも、全く何ら支障はない。
と言うか、勤労さえも必要としない彼が、なぜ今回
平凡なこの部署に配属されたのかさえ、皆の同様の疑問だった。
だからきっと彼は何かしらの理由をつけ、顔を出す事さえしないだろう・・・
と、大方が予想し、その着任日の事などは、すっかりと忘れてしまっていた位だ。
その為、着任日当日きっちりと時間通り当庁した彼の姿を見て
皆はこの上なく仰天したのだった。


::::::::::::::::::::::

「おはようございます。」

「ああ、おはよう七条君。」

「どうだい?仕事は慣れたかい?」

「はい。おかげさまで。」

「すまないが、この書類を至急で頼むよ。」

「判りました。では30分後に・・・」

「ああ、七条君。すまないがこちらも・・・。」

「はい。」

午前8時。
始業開始のラッパが省内に鳴り響くと同時に、部内のいたる所から
新しく配属された彼を呼ぶ声が上がる。

配属当初、数々の武勇伝を誇る彼の事を
先入観からか相当に警戒していた事がまるで嘘のようだ。
軍切っての有名人は、実に美麗で実に腰の低い好青年だったのだ。
その上、己の経歴を一切鼻にかける様子もなく、
雑多で多岐に渡るこの部署に対してもすぐに適応し、
文句の一つも言う事無く、手際よく正確に仕事をこなしている。

本当に彼の一挙手一投足には一切の無駄がなく、
その様はまるで、流れ行く水の様に静かで美しかったから
真に優秀な人間と言うものは、どうやら何をやっても完璧にこなせるらしいと、
彼が何かをする度に、皆はいちいち顔を寄せ、ひそひそと嬉しそうに頷き合った。

『嗚呼、本っっ当に今日も七条君はこの上なく麗しい!!!』

渦中の人物以外の全員が、心の中でぐっと拳を握りしめた「帝都直属第三近衛部隊」は
今日も今日とて必要以上に士気高く、一種独特の高揚した空気に包まれたまま、
山積みにされた業務を秒速でこなしていくのだった。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

パコパコと一定の速度を刻む蹄の音が、石畳の路地へと呑気に響く。
麗らかな午後の日差しをたっぷりと浴びる街は、本日も実に平和であった。

手入れの行き届いた長い尾を、ゆったりと左右に振り振り馬は行く。
忠誠心と義務感にめっぽう秀でた彼らだから、あえて綱を強く引かなくとも
決められた道筋を沿い、完璧に歩を進めてくれるから乗り手としては実に気楽なものだ。

五月の爽やかな風が、臣の頬をかすめて渡って行く。
揺れる道端の菖蒲の蕾は日に日に大きくなり、
見上げた木々の若葉も一層勢いを増して影を濃くして来た。

もうすぐ雨の季節がやってくる。
嗚呼、季節は確実に移り変わっているのだ・・・。
そう思えば、なんだか自分だけが取り残されたような気がして臣は
深い溜息を一つ吐き、また少し制帽を目深に被った。

そんな、何時にない乗り手の感傷的な気配を悟ったのか、
ハミをもぐもぐと噛み直した馬は、臣の方を少しばかり振り返り、
ブルル・・・と、いなないてみせる。

「・・・?」

『どうした?しっかりしろ。今は勤務中なのだ』と言わんばかりのその仕草は
何処となく上長の風格さえ感じ、臣は小さく笑いを漏らし
艶やかなたてがみを、そっと撫でさすってやるのだった。



突如降って湧いた大層理不尽な縁談話に、神経をすり減らしたかと思えば、
長く務めた部署からの転属を、二階級特進のおまけつきで言い渡された。

「帝都直属第三近衛部隊への転属を命じる」
そう記された辞令を、きつく握りしめる臣の手が小刻みに震えていた。

妖界と人界の和平締結後、政府内に設立された比較的新しい機関であるその部署が
流血沙汰を嫌う金持ちの子息や、知識ばかりで実戦経験のほとんど無い
高級官僚の子息達の為、わざわざ受け皿的に作られた組織であり、
軍内部では「省内の出先機関」と公然と揶揄される部署である事を思い出したからだ。

危険に晒されることが皆無の部署への転属と、与えられた二階級特進は
まさしく今回の縁談話の為にあてがわれたモノだろう。
何となく覚悟はしていたものの、こうもあからさまだと流石に眩暈を覚える。

だけれど、口端を引きつらせたまま立ちつくす自分を見つけた幼馴染の顔は、
どうしてかニコニコと上機嫌だ。
そして眉根を寄せ不快感を露わにする臣とは対照的に、
彼は顎を上げ不遜に言い切ったのだ。

「ふん。二階級特進は当たり前だろう?お前は一度死んでいるんだからな。
それに地位とは何かと便利だぞ?くれると言うなら黙って貰っておけ。いずれ何かの役に立つ。」

ふふ・・・と、妖艶に笑うその背後に、立ち昇るどす黒い何かを感じた臣は、
嗚呼、そう言えば自分の幼馴染はこういう人だったのだと
改めて思い知らされて二の句が継げず、ただ、天井を仰ぐしか出来なかった。

もうどうしようもなく、己の身に降りかかる何もかもが面倒になり、
いっそ、長期の休暇を申請してしまおうかという考えが頭をよぎったが
悲しいかな彼の場合、無駄に高い矜持と相当に捻くれた性格がそれを良しとはしなかった。
かくして、大方の予想を大いに裏切った妖界の花婿は
拝命翌日からきっちりと登庁し、周囲を大いに驚かせたのであった。



午前中に書類整理や窓口業務をこなし、午後からは当番制で省庁周辺の警邏にあたる。
帝都直轄部署と名打っていても、その執務内容はごく平和的なものばかりで
人界に移住している一般の妖と、それを取り巻く人界の市民相手の業務のみに特化されていた。

だがしかし、危険に晒されることが無い反面
その内容は、実に変化に富み、雑多で煩雑な案件が山盛りだった。

例えば妖と人間夫婦の喧嘩の仲裁やら、迷子の世話。
挙句、軒下に出来た妖蜂の巣の撤去作業等々、ありとあらゆる案件を請け負うこの部署は
もはや町の駐在所か、便利屋の呈と言った感じで、朝から晩まで騒がしい事この上ない。

だが、朝の7時45分に登庁して、運よく規定の職務を全うさえすれば、
定時である17時には帰途につけるのだ。
そんな省庁勤めの殆どの者にとってはごく当たり前の日常は、
入隊当時から第一線に有り続けた臣にとって、非現実以外の何ものでも無かった。

大体、人でありながら人と対峙する事が不得手な臣にとって窓口業務等はまさに地獄。
・・・いや、地獄の方が人間相手ではないから、幾分マシか?・・・等と馬鹿な事を
大真面目に想像する位には、臣の精神的疲労度は限界に近づきつつあった。

その為、転属当初などは自宅へたどり着くや否や、ばたりと倒れ
そのまま朝まで気を失ったように眠りにつくという事が続き、
ほぼ毎日、鏡の前で己のつまらない意地を盛大に呪う羽目になのだが、時すでに遅し。

いつの間にやら『ソツなく業務をこなす、超美麗な新人さん』の噂はたちどころに世間に広がり、
ソレ目当てのご婦人方の長蛇の列が、人界、妖界の人種を問わず、
建物の外にまで出来上がると言う名物部署が、省内に誕生する事になるのだった。





大して面白くもないお話で・・・
その・・・すすすすみません。
次回は啓太君出てきますぅ~






拍手お返事::あみさま::

拍手お返事


あみさま
わーわー(@_@。
あみさまいらっしゃいませ!!
おいで下さってありがとうございます。
そして、いつもいつもお返事大変おそくてすみませんっ!!

関西人風突っ込みをどうもありがとうございました(笑)
うふふ、
今回のお話の臣さんは相当な不器用人間で、しかも無自覚(笑)
なので、あみさまのおっしゃられるR18展開になるまでは
かなり時間(話数)を要することになるかも・・・です。

またもや気長~に待っていただけるのであれば
恐らくはそのような展開になるとは思うのですが・・・。
その間には色々と色々とあるわけで・・・。
早く、ラブラブな二人を見られるよう
じゅえる心を込めて、が、がんばります!!

あ!!それから私も尻尾の件が非常に気になるところですね~(笑)
一体どうやって攻略するんでしょうか??
いっそ、一つに括って・・・ごほごほ・・・。
いやあ、なんだかそそりますね(笑)
まあ、邪魔な尻尾をかき分けかき分け(なんか卑猥)
進むのも中々にじれったくてイイんじゃないでしょうか(どうだろう)

でも今現在、まだ、臣さんと啓太君は恋人同士にもなっていないので、
これからそのじれったい状態をちょこちょことお伝えしていきたいと思います。
早く、がっつりエロになだれ込みたいものですねえ―・・・。

毎日ホントに暑いですね。
あみさまもお体には充分気を付けて
お仕事がんばってくださいませ。

本日はありがとうございました。

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