ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話・番外編


悠遠夜話・番外編~和希さんの場合~一乃巻

2010.06.25  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

「若!!くれぐれも・・穏便に!!穏便にでございますぞ―――!!」


そう何度も しつこく・・しつこく・・・しつこーく 
朝から隣で 呻り続けている家令に いい加減大声を挙げたくなるが
いかんせん、事、啓太の事に関してはこの年寄りに全く頭が上がらない。

それを確実に判っていて 家令はますます増長し続けるのだ。
鬱陶しい・・実に鬱陶しい事この上ない。

眉間に深々と皺を刻みこんで尚美しいその人は、煌びやかな正装に身を包み
長い廊下をその裾を翻しながら大股で移動していた。
目指していた部屋の扉の前に来ると内部に入室の断りを掛ける事無く
しなやかな指先でその大扉を押し開いた。


「西園寺さん!!」

開け放った窓から 斜めに入る朝の清々しい光に包まれて茶色の髪が軽やかに揺れる
おはようございます。早いんですね?・・・とその大きな空色の瞳を
さらに大きく見開いて 振り返る西園寺の愛して止まない恋人がそこに居た

「もう 起きて大丈夫か?辛かったらまだ寝て居ろ」

「えと・・あの・・平気です・・・」

もごもごと西園寺から眼を逸らして 俯いてしまったその耳は真っ赤に色づいて

「そうか?無理はするな。昨夜はおまえが可愛らしかったから
つい無理をさせてしまった。」

「・・・・・・。」

ぷしゅー・・・と音を立てて 蒸気を吐きだしそうな程
下を向いて 顔中最大限に上気させているであろう啓太の事を
見つめる西園寺の眼は この上なくとろけるように甘い。

「だが、啓太 私は謝らんぞ?別に悪い事をしたわけではないからな・・・」
ふふ・・と笑って身を寄せると 下を向いたせいで露わになっている
恋人の匂い立つ白い項へとそっと 小さな口づけを落とした。

「・・・ひゃん!!」

 さささ西園寺さん!!と弾ける様に顔をあげた啓太を見て
ようやくその青い瞳が 自分を映した事に満足した西園寺は
目を細めて 愛しても愛してもまだ足りない恋人の細い顎を指ですくった。

「啓太。私はこれから出かけてくる。天空の宮に呼び出された」

「天帝様に??」

「ふん。・・大仰な事だ。どうせ難癖をつけたいだけなんだろう・・
どうもあいつは妙に年寄り臭い所があるからな」
自分が跪き敬うべき立場の相手であるはずの天帝を 
西園寺はふふん・・と 鼻先で笑うのだ。

「・・・俺の事・・ですか?」

不安げに空色の瞳が揺れて、そっと西園寺の衣の袖にとまどう指が伸ばされた。
端っこを遠慮がちに親指と人差し指でちょこんと摘む。

「心配するな 啓太。私が居る。」

それとも・・・私では頼りないか?・・そう言いながら指を掛けたままの
顎を上向きにさせ 西園寺は顔を傾けて恋人に問う

「そんな事ないです!・・ただ・・俺の所為で西園寺さんに迷惑が・・・」

「みなまで言うな・・・」
少しだけ怒った様な口調になってから
翠の宝玉の様な双眸が啓太の視界いっぱいに広がって やがて
柔らかな感触が啓太の唇に重なった。

「・・・っんく・・・」

ぴちゃ・・・と水音を一つさせて美しい顔が離れていく
しなやかな指先が口端から漏れた唾液をふき取って 鮮やかに笑った。

「啓太。」

「・・・はい・・・」

「おまえは私が守る。必ずだ・・だから啓太。おまえは私の側で笑っていてくれ・・・」

「・・はい・・西園寺さん・・・」

啓太は・・はい・・・ともう一度かみしめる様に返事をして
こてん・・・と西園寺の肩口に額をくっつけて目を閉じた

・・・・・・甘い甘い桃の香りがする。
西園寺は焚きしめる香よりも桃の香りが良く似合うと啓太は思う
大丈夫だとこの人が言えば 不思議な事に本当に何でも出来そうな気がするのだ
きっと今回の件も難なくこなして 飛ぶように帰ってくるんだろう。

西園寺の傲岸不遜なまでのその態度は その類まれなる明晰な頭脳と
積み上げられてきた堅実な実績からくる当然の行為だった。
啓太が仙界へきてから 僅かな間だったけれどそれは充分に感じられる事で

ぎゅっときつく西園寺の両の腕に抱きしめられて 
うっとりするような声で愛を囁かれ また額に小さく口づけられる

「いってらっしゃい・・・・おかえりをお待ちしています・・」
「ああ。行ってくる」
柔らかな美しい巻き毛を揺らして 
戸口へ消えていく西園寺の姿を啓太は
愛しい恋人の望む笑顔で見送った。






「石塚・・・」
「はい。此処に控えております。陛下・・・」
「いい・・・今はその呼び方は止せ・・・」
「御意。和希さま」

山の様に積まれた巻き物や書簡は 何かの拍子で今にも雪崩を起こしそうだ。
うず高く積まれた谷間に 陛下とそう呼ばれたまだ若いその青年はいた。

手元にある書簡から一時も目を離さず 
横に控える自分より僅かばかり年上の功臣へと言葉を交わす
つらつらとその深い海の様な色をした瞳を上下に同じ速度で動かして
筆で何事かを手早く書きつづり 終われば脇に控えている功臣が 
それを受け取り手際よく 分類しながら文箱へと積み重ねていく。

ふと 青年は掠れ始めた筆先に墨を含ませる為に 硯へ二三度撫でつけて
そしてそのまま 筆先は硯から動かなくなってしまった。

「・・・・和希さま・・・・・????」

「・・ん?・・ああ・・すまない」

ようやく、机上から目線をあげた いつもの壮気にかける青年を
臣下は心配そうに見つめて 主の身体を気遣った。

「和希さま・・少し、お休みになられてはいかがですか?」

手元にある巻き物をくるくると器用に丸めこみながら伺いを立てる。

「ん・・そうだな。あと一刻もすれば謁見の時間だし・・・」

少し休むよ・・・・そう言うと筆を机に置き 座ったまま両腕を
グイと伸ばしてからゆっくりと立ち上がった。

「ん~~~~~~~っ!!」
「どうぞ・・お茶の用意が出来ました。」
「ああ・・ありがとう・・いただくよ。」

臣下の入れてくれた 気に入りの茶を 別段作法も気にせずに片手で持って
ゆっくりと立ち上る香気を楽しんで ごくりと嚥下する

日々の国事、宮廷行事、その他雑務に忙殺されそうになりながらも
今上天帝 鈴菱和希は 今与えられた ほんの僅かな休息を享受する

窓枠にもたれ掛ったまま胸に大きく吸気して、ふと外を見れば
大きな藤の花が沢山の房を下げて ゆらゆらと揺れている。

この天空の宮では樹木が自ずから時期を計らい それぞれ勝手に花を咲かせる
今年も藤の花が咲く時期になったんだと 頬杖をついて和希はゆっくりと目を閉じた。

今年もあの丘の上の藤は咲いてくれるのだろうか?
吹く風に さらさら揺れる黄金色の藤の花 
紫でも白でもない 黄金色の藤の花

あの人が 愛した花
その花は 優しくほころぶ様な あの人の微笑みにどこか似ていて

今年も 会いに行くよ
君の所へ 会いに行くよ
黄金色の藤の花が咲いたなら その道は開かれるから
愛しい愛しい君の元へ 会いに行くよ




目を閉じればいつだって  
隣でほほ笑んでくれた あのまぶしい笑顔を思い出す

今では 遠い昔の事なのに
擦り切れる事のない 鮮やかなこの記憶は
狂おしく この胸を焦がし 
甘やかに この身を締め付ける



おおお~
西×啓・・・と見せかけて・・・・
調子こいて和希さんのお話を始めちゃいましたよ~
もちろん初和希!!いやーん(何故恥ずかしがるのか??)
どなたか和希スキーの方がいらっしゃると良いんですが・・・(笑)


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