ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話・番外編


悠遠夜話・番外編~王様の話~:::朔の宵:::

2010.11.10  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

ゆあん ゆあん  と琵琶が啼き
この世にある華 全てを散らす
かくも悲しき弔い唄が 亡者の舟を彼岸へ運ぶ

ゆあん ゆあん  と琵琶が鳴り
この世にある華 全てを咲かす
崑崙山の女仙を招き 華の宴をいざ開かん いざ開かん
 



「・・ぅくっ・・んんっ・・・はぁぁっ・・・・」

ぬちぬちと粘着質な音が絶え間なく聞こえて
高価な絹の敷布に ぴん・・・とつっぱった白い足の 
櫻貝のような爪先が喰い込む

折れそうな程に細い腰は 
逃さないように男の両腕にがっちりと掴まれて
さっきから休むことなく しつこく抽出を繰り返されている

「っっ・・太夫・・ああ・・・太夫・・おまえの身体は何と素晴らしいのか・・・」

そう言って 
荒く鼻息を吐きだした男の眼は 
既に忘我の域に入っているのか 酷く虚ろだ

見上げた自分の体に跨る この輝くように白い身体は
施す愛技にゆらめき そして薄紅色に上気して尚 白く美しい
すべらかな肌をしたたり落ちる汗さえも 口に含めば甘露のようだ
身体中をくまなく舐めまわしても 欲しくて欲しくてまだ足らない

同じ男の身で在りながらも 強請る様に熱く潤んだその場所は
すでにぐずぐずに溶けきっていて 同性の迸りを貪欲に身の内深く咥え込み 
その身を離そうとすれば うねうねと生き物のように絡み付く 
渾身の力を込めて 硬く猛り狂う荒ぶりを思いのままに突き上げてやれば 
やわやわと歓喜して受け入れるのだ

その名も高き鈴菱楼の名太夫はなるほど 
大枚を叩いて買っただけはある 手技も口淫も極上だった 
同性の身であるが故に解るツボと 
絶妙な間合いと駆け引きだけで絶頂を導き出してくれる 
今夜はもうそれだけで 何度逐情してしまったか判らない

男は腰を振りながら 感動さえしていた
この歳になるまで 何人も女を抱いて来たけれど 
こんな極楽は味わった事がなかったからだ

この太夫は男の身なれども 
本当に自分の為だけに在るような・・・
そんな錯覚さえ覚えさせる身体ではないか

「太夫・・太夫・・儂の太夫や・・良いか??儂は良いか?」

「・・っっんああ・・・・はぁ・・んっ・・極楽でございますぅ」

かすれて尚 鈴の鳴るような甘ったるい声で答えるそれすらも妖艶で 
男の下半身をこれでもかと刺激する

ともすれば年齢よりも随分と幼く見える 太夫の可憐な容姿は 
床の中で衣を剥ぎ取り その白いやわ肌に唇を這わせてやれば
まるで大輪の牡丹が花開くように 色づきそして散り乱れて男を誘う

熱に潤んだ 美しい空色の瞳も 
小さい仔猫のような紅い舌が チロチロとのぞく薔薇色の唇も 
女のように豊満でない身体でないが故に 
かなり背徳的で 男の征服欲を煽るのだ

「そうか・・そうか・・愛い奴じゃ・・好きな物は何でも言え
儂が全て 買うてやる・・・身請けも考えてやってもよいぞ??」

「ああん・・・ぁ・・・嬉しゅうございますぅ・・」

「おおお・・太夫・・・太夫うううう・・」

男の腰がまた 激しく揺すり上げられて 
部屋にぐちゅぐちゅと水音が響き 二人の身体が汗でヌル付いた

ぶるり・・・
身震いをして 先に吐精したのは下に居る男の方だった





床の中 白目をむきながら ひくひくと荒い息を漏らして
・・太夫・・太夫・・・とぶつくさと言いながら痙攣する男を
窓辺で書物を繰って居た影が 眉をひそめ冷めた目で振り返る


・・・・おえ~っ  一体一晩で何回イク気だよ
まったく この色惚けジジイ・・・早死にするぞ―・・・・

んべっ!!
と 小さな赤い舌を出し 
口端から涎を垂れ流す布団の中の男に 軽蔑しきった一瞥をくれてから 
すぐそばの 脇に立てかけてあった琵琶に手を伸ばして
一度だけ小さく五弦をかき鳴らした

ゆあん・・・  と部屋に琵琶の音が落ちる

すると不思議な事に 今までこめかみに青筋を立て 
鼻息を荒くしていた男は 赤子の様な安らかな顔になり 
ゆったりとした寝息を立て始めたのだ


「はい今週の高額賞決定~♪」

ずびしっ!!と指さし確認して 
ふふん・・・と鼻で笑うその顔は 間違う事無き爽やかな青少年の笑みだ
 
大切そうに また琵琶を脇にそっと立てかけてから窓際に向き直り 
天井を見やって何事かを一瞬思案したのち パチパチと手早くそろばんをはじいて 
机の上に開いた帳面に 筆でスラスラと文字を書きなぐっている

ん~っと
この前の変態 禿オヤジからは 
メノウと珊瑚の中差しと前櫛、前差し一式だったっけ?
それじゃ今度はでっかい真珠で出来た 珠飾りにでもしよっかな~??

あ・・・・でもでも・・この前 姐さんが煙管欲しいっていってたから
金細工と珊瑚で出来た煙管にしようかな??

・・・うん!そうしよう!!と子供が悪戯を思いついたように大きく頷いてから
帳面をぱたんと両手で閉じたその人は 先ほどまで男の上に跨って
あられもない嬌声を上げていた太夫と呼ばれる人物だった

だがしかし 今この太夫はその煌びやかな衣の襟元一つ 
細い足首の透ける朱色の裾端さえ 乱れた様子は全く無いのだ

ふわふわと柔らかで癖のある明るい茶色の髪も 
遠く雲ひとつない晴れ渡った空の様な瞳も 一層可憐で涼やかで
先ほどまで 汗にまみれで男とまぐわっていた淫猥さからは
まるきり対極にいる様な印象だ

「・・・。太夫か・・・」

ほう・・・と一つ溜息をついて 頬杖をつく

長いばかりで 機能性を全く無視したその重く派手な衣の袖先を
面倒くさそうに乱雑に退けながら 片腕だけを伸ばして 
そっと目の前の格子戸を開けてみる
見上げた 今夜の月は朔

夜空を照らす月は無く 本当なら輝きを増す星も
花街を夜通し照らす灯りが眩し過ぎて この高い楼閣でさえ見る事が出来ない

もう夜もすっかりと更けたと言うのに 
小路の向こうでは 今なお行き交う人々の声で騒がしいままだ
一晩中 煌々と立灯篭の明かりがゆらめく 人々の欲が渦巻くこの街は 
けっして眠ることはなかったから


ここは 国一番の花街 その花街きっての大見世 
その名も高き 老舗 鈴菱楼

見上げる様な楼閣は 実に華やかで絢爛豪華
大工が意匠を凝らした外装も 
諸国から集めた美術品が飾られる内装も天下一品 
国中からかき集められ 宴の席に揚げられる酒も肴も極上品
言わずもがな 側にはべる遊女や陰間達は見目麗しく機知に富み 
全てにおいて 集まる男客を喜ばせる手練手管を知りつくした者ばかりだ

うなるような金がなければ 決してその敷居をまたぐ事が出来ない
物欲 食欲 色欲に名誉欲・・・ 
この世に在る男の夢 全部が叶う所 
それが贅の限りを尽くした大見世 鈴菱楼

豪商や王侯貴族 噂を聞き付けた諸国の貴族達までが
皆 欲を満たす為と己を誇示せんがため こぞって鈴菱楼へと足を運ぶ

いつしか
鈴菱楼の暖簾をくぐると言う事・・・ソレすなわち富豪の証
とまで言われる様になっていた




思えばこの街へやって来たのも 丁度今夜みたいな朔の月の日だった
たった一つの荷物である 大きな琵琶を抱えて
豪奢な建物を見上げたのが つい昨日の事のように思い起こされる
一体あれからもう何度 朔の月が過ぎ去って行ったのか

山のみんなは元気だろうか?
月の光の届かないこんな夜は 生まれ育った故郷を思い出して
ほんの少しだけ寂しくなる

優しく強い母者、美しい姉者達
山にいた頃は 日がな一日琵琶を弾いて皆で楽しく笑って暮らしていた
優しく頬を撫でる風も 心凪ぐ小川のせせらぎも
降り注ぐ温かな太陽の光も この夜の花街に在っては感じる事は出来ない
あるのは渦巻く欲望ばかりだ

でもその薄汚い欲を利用して 過ごしているのもまた自分だった

ちょっと特技を利用して 太夫の姐さん達の酒宴の席で琵琶を弾き
路銀を稼ごうか・・・位に考えていたのに
まさか自分が 押しも押されぬ名太夫になるなんて思いもよらなかった



掃き溜めにたかる蠅のように 五月蠅く纏わりついてくる
汚らしい欲望を持った男達は 皆 
本当に面白いくらい簡単に術にはまってくれたものだ

ぴくぴくと引きつる頬を ちょっとだけ我慢して
脂ぎったヒヒ爺にしな垂れかかって流し眼を送り 
酒を飲ませてイイ気分にさせてから 小さな呪を乗せた唄と共に
琵琶をかき鳴らせば あっという間に極楽行きだ

後はもう 
夢の中 あらん限りの痴態に鼻息を荒くして
眠りこける客一人を 床に蹴り飛ばして自分は書物でもめくっていれば 
何時の間にやら時間が潰れ 白々と東の空が明るくなって夜が終わるのだ

朝が来て 少しだけ自分の衣の袷と髪を乱れさせてから
そっと 男の側ににじり寄り
また お会いしとうございます・・・と上目づかいに見上げれば
大抵の男達は鼻の下をだらしなく延ばして 高速で何度も頷いて帰って行った

無理もない
幻術の所為で見た夢は 自分の思い描く最高の快楽なのだ

例え 口に出すのもはばかられるような趣向を好んでいようと 
どんなに淫らな行為をしようと この可憐な太夫が
すべてを受け止めて 惜しむことなく与えてくれるのだから
虜にならない男は まず居なかった

こうしてみな 術に落ちた事を知らず まるきりの腑抜けになって
淫猥な夢の全てを叶えてくれる名太夫に強請られるままに 
両手いっぱい金銀財宝を抱えて 足げしく鈴菱楼に通い詰め
いつの間にか破産していくのだ




初めは幻術をかけて 男達を手玉に取る事にほんの少しだけ良心が咎めた
しかし この店の暖簾をくぐってやってくる客達は
皆 呆れるほどに強欲で嫌な人種ばかりだったから
いつしか 罪の意識も消えて行った


ふん・・・薄汚い欲望を満たしてやってるんだ
・・それ相応の対価は頂かないとね~

金や銀で出来た 綺羅綺羅しい装飾品
遠い異国の珍しい絹織物
珊瑚に真珠に メノウに翡翠 

毎日 自分へと山のように貢がれるお宝を 
太夫は 他の姐さん太夫達や身の回りの世話をしてくれるお端の妹分へ
何時だって 惜しげなく分け与えた

自分は見世から支給される着物があれば良かったし
一定の客人から貢がれた物を身につけるのは 
馬鹿な男の いらぬ嫉妬を植え付けかねない
どうせロクでもない金なんだから 精々気張って貢いで欲しいものだ

名太夫と呼ばれる様になってからも少しも変わる事がない
人懐っこい笑顔と 可憐な容貌
幻術で極楽を味わった名だたる御大尽からの連夜の指名と 
鈴菱楼に置かれた他の太夫や 多くのお端からの絶大な人気

旅の流れの未だ少年と呼べそうな 
琵琶の名手のこの人物は 男の身でありながら 
こうして 大見世 鈴菱楼の名太夫にのし上がってしまったのだった


はあ・・・・

長い長い吐息が吐きだされてから 通りに面した紅い格子窓が
ぱたん・・・と静かに閉じられる
何かを思い出した太夫の眉がぎゅ・・っと眉が寄せられた




耳を澄ませば 微かに他の部屋の宴の音が聞こえてくる

天下の大見世 鈴菱楼は遊郭にしては珍しく
一つ一つの個室が実に贅沢で 大きく独立して造られている
ましてや 名太夫の個室ともなれば見世の待遇も別格だ

客と二人きりになってしまえば この環境の所為で
幻術を使って騙している事も 誰も気がつかなかった
何か用事が生じれば 部屋に据え付けてある専用の引き紐を引けばいい
そうすれば お端の妹分が馳せ参じる事になっているから
別段不便も感じない

まだ 客と二人きりになってから時間が経っていない
あまり早いと 訝しがられるだろうから
あとしばらくしたら お端を呼んで何か飲み物を持ってこさせようか

どうやらまた 
太夫は積んでそのままにしてあった書物の続きを読んで
朝までの時間をつぶす事にしたらしかった

夜明けまで あともう少し 
花街の夜は長い



遊郭や遊女の名称はテキトーです。
時代考証も何もあったもんじゃないです・・・
知識がきちんとある方にはホント申し訳ないです 
でも ちゃんと勉強しない私・・・ぅふーんごめんなさい(笑)
にゅ・・・・ニュアンスで・・・お願いします・・・・・



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