ええ。小心者ですから・・・。

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その男厄介につき         ~臣父狂想曲~


その男厄介につき~臣父狂想曲~局長の話

2012.06.07  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

ご注意ください!!
エリックとオリキャラのお話です。しかもオリキャラ視点。←(大概にしろ)
もはや学園ヘヴンはどこにも見当たりませんよ~
完全捏造ですので苦手な人はお戻りくださーい。
それでもOK!!どんとこい!!な男前レディの方はどうぞお進みくださいませ










「局長の話」
(時間軸は狂想曲その3の前位)





何が呈よく飼いならせだ。
・・・ふん。どうせ破廉恥な弱みでも握られているんだろう。
大体、あんな訳のわからん奴にどれ程の価値があると言うんだ!!


眉間にこれでもかと言うぐらいに縦皺を深く刻み、
手にあった書類を乱暴に次官へ押し付ける様にして渡した男は、
その、やり場の無い憤りを現すが如く、ガツガツと皮靴の踵を鳴らして廊下を歩いて行く。

「おい、見ろよ。局長だ。」

「うわ~っ・・・ホントだ・・・・。」

さらさらと風になびくのは、細い絹糸のような金の髪。
きらきらと光に輝くのは、輝く若草のような翡翠色の瞳。

眉間に深々と刻まれた一筋の線が、全てをことごとく台無しにして。

「ひいいいいいっ!!おっかねぇっっ!!!」

有り体に言えば、正しく美形に分類されるであろうその人物は
今日も激しくイラついていた。




:::::::::::::::::::::::::::::

先祖代々生粋の軍人家系であったその男の生家の家訓は、
「七生報国」(←何度生まれ変わろうともお国の為に尽くす)だった。

必然的に、男には幼い頃から優れた軍人と成るべくして、あらゆる英才教育が施された。
そして彼もまたそれを当然の事として受け止め、同じ年頃の若者達が
青春を謳歌しているのを脇目に、学業にも、心身の鍛錬にも一切の手抜きをすること無く、
只一つ己の信じた道を邁進して来たのだ。

男は酷く謹厳実直であった。
常に愛読書の軍法書を小脇に抱え、何気ない道の曲がり角でさえ直角に歩行するその様は、
もはや正常の域を超えているのかもしれなかった。
規律を愛し、それが守られる様がこの上なく美しいとさえ思う。
国の為に生き、国の為に死す事が最大の幸せだと信じて疑わない、
正に彼こそが軍人の中の軍人と言えた。
だから、男が史上最年少で幹部に任命された時も、誰一人として驚く者はいなかったのも当然だった。

歴代の最年少記録を次々と塗り替えて、エリートコースをまっしぐら。
その度に詰襟と肩口に光る小さな星の数と、胸元に無数の揺れる記章が増えていく。
全てにおいて順風満帆。
男自身でさえ、もはやこの行く末には、華やかで輝かしい未来だけが
待っているのだと信じて疑う事をしなかった。
そう、彼に会うまでは。

人生で初。しかも超最大級の難関が目の前に立ちはだかろうとしている事を、
男はまだ知る由も無かった。

::::::::::::::::::::::::::::

ついに国家の番人と呼ばれる情報局に局長として任命されたあの日。
男の胸はかつてない程の希望に満ちあふれ、痛いほどの高鳴りを覚えていた。
階下のフロアに集合した局員達を見渡し、脳内で着任前に確認したプロフィールとの照合を試みる。
情報局に在籍している彼らは皆、例外無く精鋭中の精鋭で、
優秀な人物ばかりだった事に男は酷く満足していた。
だかしかし、どうしても気にかかる事が一つ。

ある責任者は、その人物の類いまれなる美貌とダダ漏れの色香に
うっかりセクハラまがいの行為をしでかし、閑職に追いやられたらしい・・・・とか。
また、実に勝手極まりないその人を厳重注意に処したある者は、
どういう経路で入手したのか判別しかねる個人情報を鼻先にチラつかせられ、
泣く泣く彼の助長を許す羽目になったらしい・・・とか。
かなり眉唾モノの話から、なんとなくあり得そうな話まで、
事、彼に関する噂話だけは数えきれなかった。

稀代のハッカー。伝説のウィザード・・と、華やかな二つ名を持つ渦中の人物。
その名はエリック・ジャンメール。
男にとっては、そんな犯罪者紛いの人物がこの国の中枢とも言える情報局に居る事自体、
到底信じられない事だったのだが。

男が杞憂した通り、その人物は本当に何もかもが、規定に反する人物だった。
大体、登録されているプロフィール自体がおかしい。
出身地がフランスだと言うのは当然として、そこにあった彼の経歴は
ひどく滅茶苦茶で、誰が見たって胡散臭い事この上ないモノだったのだ。

(・・・最終学歴・・・BAKADAUniversity??一体どこの国の大学だ??コレは。
・・・それに職歴が球場のビールの売り子に、花屋のアルバイト、
ホストにハンバーガーショップの店長って・・・。なんだ???これは!!!)

しかも彼が滅茶苦茶なのはプロフィールだけでは無い。
頭が痛いと言っては仕事を途中放棄し、恋人と離れるのが辛かったからと欠勤する。
いつだって締め切りは守ったためしは無かったし、遅刻早退は当たり前。
おまけに勤務中の態度はあり得ないほど怠惰なのだ。
だが、何と言っても男にとって最も忌むべきは、彼には愛国精神が
コレっぽっちも存在しないと言う事実だった。
「明日出来る事は今日しない」がモットーだと公言して憚らない技術開発責任者殿は
今日も今日とて、きっちり有給休暇を申請済みだ。

頭痛に腹痛、腰痛に筋肉痛・・・。
一応は正式な手続きにのっとって申請された有給休暇とは言え、
申請書に記載される、ありとあらゆる疼痛名のオンパレードに、
心穏やかにあれ、と言う方がどうかしているだろう。
誰が見たって嘘っぱちな事は明白なこの申請書に一体どんな意味があると言うのか。

「・・・・!?」

気のせいで無く、確かに局長室に何かブツリと切れる音が響いた。

(おのれぇぇぇぇっっ!!エリック・ジャンメールぅぅぅ!!!!)

こめかみに青筋を浮かべ、歯噛みをする男のその手には
「生理痛の為、休暇申請」とデカでかと書かれた紙きれが、ぐしゃりと握り潰されていた。




「―――たっ!!大変です!!局長!!!!!」

その時。
自動ドアが開き切るのさえも待てず、肩を強打しながらまろぶようにして入室して来た
次官の、荒々しい足音と切羽詰まった声が、たちまち男の平常心を引き戻した。

「っ!!・・・一体なんだ?騒々しいぞ。」

「き・・緊急事態です。マザーコンピューターにハッキングです。」

「―――――!!」

次官と連れ立ち、急いで降り立ったフロアは至極混乱を極めていた。
どうやら主電源が落ちたらしく、非常灯の薄暗い光の中、担当職員が大声で何か喚きながら
右往左往し、雑然と積み上げられていた書類が雪崩を起こしてそこら中へ散らばっている。
さっきから大音量で鳴り続ける耳障りなブザー音と、両壁の側面、至る所で赤色灯が
点滅しているのを見れば今、起っている出来事がただ事で無い事が判って、男も戸惑いを隠しきれなかった。

「経緯を!!経緯を説明しろ。」

「はっ!!」

フロアの上段、機器を全て見渡す事の出来る定位置に着いた男が、喧騒の中、
部下から事の経緯の説明を受ける。
何者かは不明だが、何重にも複雑に仕掛けられているセキュリティーを
中ほどまで突破して来た者がいるらしい。
幸いにも今は未だ、直接的な被害が出ている訳ではないが、ここ情報局の
マザーコンピューターにはフランス共和国の最重要機密事項が山盛りなのだ。
百万が一でも外部に情報が漏れ出たとしたら、それは正しく国家の威信に関わる事になるのは必定。
何としても早急に、且つ穏便に事を収束させたい所だ。
だがしかし、見た所一向に騒ぎが鎮静化する気配が無い。
それどころか、局員達の焦燥がさっきより増したようにも見えてきて、
流石の男も苛立ちを露わにした。

「どうした?一体、何をしている?何故、誰も手が出せない??」

「・・・全ての構築が複雑すぎるのです。」

突然、背中から掛かった声に男が振り向けば、
ぶ厚い瓶底のようなメガネを鼻先までズリ落とした局員が震える唇で言う。
確か彼はハーバードを首席で卒業していた筈だ。

「なに??」

「残念ながら・・・今の我々のレベルでは、荒らされた痕跡を
辛うじて修復するのが精一杯と言う事です。彼が・・チーフがいなければ復旧は到底無理です・・・。」

「は?・・。」

馬鹿な・・・。
男は絶句した。
此処、情報局に集うのは、世界中の名だたる大学を首席クラスで卒業した後選ばれた、
世に言う精鋭と呼ばれる者ばかりだ。その精鋭達が寄ってタカって頭を突き合わせても、
あの男、エリック・ジャンメール一人に敵わないと今、彼は言ったのだろうか?

目の前にそびえ立つ、この巨大な箱の中には、国民一人一人の個人情報から
軍事機密まで、多種多様な情報が詰まっている。
難解な細工を施されたカラクリ箱を手にした子供のように、面白半分、
玩具に出来るシロモノでは到底無い事を、奴は本当に判っているのだろうか?

いつだって飄々として自分勝手。
至極適当で、本当に何を考えているか判らない人物が、
この国のマザーコンピューターを完全支配している。
そんな事実を改めて付き付けられた男は、訳も無く焦燥する自分に
気がついて、たらりと背中にイヤな汗が流れるのを感じた。

「・・・・おい。奴との連絡は付いているのか?」

「はっ!後、わずかで到着する模様です。」

後、わずか。・・・か。
男の眉間に刻まれた皺が一段と深くなる。
自分としては全くもって頼りになどしたく無いが、今は国家の一大事。
個人の好みをどうこう言っている場合では無い。
今すぐに、この問題を即解決出来るなら魔法使いだって、奇術師だって何だっていいのだ。
だがしかし、頭では理解しているが、心では到底納得する事が出来ないと言う矛盾を、
無理やり呑み込まなければならない男にとって、エリックを待つ時間は長く忌々しい葛藤の時間となった。


「チーフ!!」

お待ちしてました!と、もはや悲鳴に近い声が上げられて、
そこに居た者達全員の視線が後方で開いたエレベーターへと注視された。

「は~い。みんな、おまたせぇ。」

場の空気を全く読まない男、エリック・ジャンメールの登場だった。
ごめんねぇ。遅くなっちゃって・・・。と、まるで呑気な返事を返し、
ひらひらと軽く片手を上げた彼の顔は、優雅に微笑んでさえ見える。

ひりひりと限界まで尖っていた男の神経に、エリックのだらしなく伸び切った語尾が触った。

「――――っ!!」

だが、大喝を吐き出そうと下腹に力を込めたその瞬間、男は気がついてしまったのだ。
あれだけ殺気立っていた空気が一瞬で和らぎ、局員達が皆、一様に安堵した表情を浮かべたのを。

「!?」

さっきまでの猛烈な緊張感に耐えられなかったのか、中には半ベソをかく者さえいる。
薄暗い中だというのに、それを目敏く見つけたエリックは派手な点滅を繰り返す赤色灯も、
うるさいブザーも、入り口付近で仁王立ちする局長も、
丸っと無視してその局員の側へと近寄り、よしよしと頭を撫でくり始めた。

男には理解できなかった。
彼が帰って来ただけで、何故こうも安易に安堵出来るのか?
事態は未だ、全く収束してはいないのだ。
今は国家の威信を揺るがす大問題を目の前に、
全てにおいて緊急を要されなければならないはずなのに。
一体全体、この呑気さはどうだ。

「―――貴様っ!!さっさと持ち場に着け!!」

とうとう我慢の限界を超えた男は叫びながら、局員達の作る輪の中に強引に割って入った。
そして未だその輪の中心に居り、無駄に愛想を振りまき続ける情報局開発責任者の細い肩口へ、
掴みかかる様にして手を置いた。・・・はずだったのだが、どうした訳だろう。
目測を誤ったのだろうか?確かに掴んだと思った肩はその手に触れず、
勢い余った男の腕だけがただ、ぶん。と大きく宙を舞ったのだ。
当然、男は大きく均衡を崩してその場でたたらを踏むと、
無様にもフロアへと両腕を付く羽目になってしまった。

「―――っ?!」

図らずして衆目にさらされた度し難い羞恥を、一瞬にして怒りへと完全転嫁させた男は、
再びエリックに掴みかかろうと、その身体を跳躍させた。
だが、その胸元に触れた途端、どうした訳か金縛りに逢ったかのように全ての動きを停止させてしまったのだ。


憂いを含んで揺れる菫色の虹彩は、夜明け前の静かな空の色によく似ている気がした。
神秘的にさえ感じられるその色を、何故だろう。
今は素直に美しいと思える。

それはどうしてか、当然のようにそこにあったのだ。
男の鼻先が、あと少しで触れてしまいそうなほど近くに。

いつの間にか長くしなやかな指先に顎をすくい取られ、ゆらゆらと揺れる菫色の中に
己の顔がはっきりと映り込んでいるのを認めても、男は動かなかった。
そっと小首を傾げ、あと僅かに残った距離をエリックが静かに縮めていっても、変わらず微動だにしない。

形の整った薄い唇の上、ギリギリをエリックの唇がゆっくり移動していく。
頬を吐息が掠めると、ぞくりと男の皮膚が粟立ち、喉が勝手に上下した。

「・・・ぼうやは、黙って見ておいで・・・。」

この上なく優しい声音が、男の鼓膜を甘く震わせる。
許しを請うことなく脳髄へと入り込んだそれは、まるで毒のように男の身体へと染み渡り、
四肢の自由を簡単に奪ってしまったのだ。

やがて、その細い顎からエリックが名残惜しそうに指を離すと、男の身体は
糸の切れた操り人形みたいに、ふらふらと後方へと力無く崩れ落ちて行き、
ただ呆けてエリックの背中を見送った。

二人の周りを取り囲んでいた人垣はいつの間にかぱちんと弾けて二つに割れ、
エリックの前には潮が引いたように道が出来あがっていた。
ゆっくりと歩き出すエリックを無言で局員たちは見送った。
その造作の整った顔には、相変わらず美しい微笑が張り付いているのに、
何故だかそれがひどく酷薄で、暗澹として見えた所為かも知れない。

「ふふ。少しはこの私を楽しませてくれるんだろうねぇ」

ほの暗い愉悦を含んだ声が、そう小さく呟く。

「ふふ。・・・ふふふ。」

最も大きな液晶画面の前、たどり着いたエリックの指がキーボードを
ゆるりと撫でる様に触れた途端。さっきまで大音量で鳴り響いていたブザーも、
狂ったように回っていた赤色灯も、鳴りを潜めてしまった。
それはまるで主に恭しく傅く忠実な僕のように。

「ああ・・私の姫君になんて無体な事を・・・。悪い子はお仕置きだよ?」

固唾をのんで見守っていた局員たちだったが、エリックの静かなその声を耳にした途端、
全員が激しい悪寒に襲われた。
一瞬で全身が総毛立ち、毛穴と言う毛穴から、冷や汗がどっと噴き出てくるのが判る。
薄暗い部屋の四隅から滲みでた得体の知れない何かが、ぞろり、ぞろり。と
足元から這い上がって来る様な感覚に、皆が皆、今すぐ全速力でこの場を逃げ出したくなったのだ。
正しくそれが、恐怖と言う名の感情であると言う事を、誰もが例外無く認識していた。

あれほど騒がしかったフロアは静まり返り、今、耳に聞こえるのは時折り漏らされる
エリックの吐息の様な笑い声と、激しくキーボードを叩く音のみ。
液晶画面の光で暗闇にぼう、と浮かび上がったその白い横顔は、静かなる狂気に彩られて尚、壮絶に美しい。
局員達は皆、息を詰めたまま芋虫みたいに小さくなって肩を寄せ合い、
ガタブル震えながらその一挙手一投足を見守った。

やがて、エリックが到着して40分。
それはあまりにもあっけ無く終焉を迎える事になる。

「はい・・・チェックメイトっと。」

長くしなやかな人差し指が軽やかにエンターキーを押せば
途端に、落ちていた電源が復旧し室内に光源が取り戻された。
同時にさっきまでエリックの身体から陽炎のように立ち上っていた瘴気めいたモノが霧散していく。

「じゃあ。報告書はメモリ追っかけて作っておいてね?」

それくらい出来るよねぇ?と肩を叩かれてやっと我に返った様子の人物は、
あの瓶底メガネをかけたハーバード卒の青年だ。

「は・・・はははいっ。チーフっ。」

「ん~♡良い子。良い子。」

優に頭一つ分背の高い上司を見上げ、うっとりと小さく頷いた青年の頭をぐりぐりと両手で掻い繰ると、
エリックは、それじゃあ、お先にぃ。と背を向けさっさとエレベーターに乗り込んでしまったのだ。
ドアが閉じる間際、両手で盛大に投げキッスを撒き散らしながら。


ちくり。と胸のあたりが痛むのと、
ぷしゅ。と小さくエレベーターの扉がしまる空気圧の音が同時にして、
男はやっと硬直していた身体を弛緩させる事が出来た。

「な・・何なんだ?・奴は・・・一体・・・。」

やっとの事で絞り出した声は、男の心の底からの吐露だった。
汗でベッタリと背中に張り付いたシャツと、カラカラに乾いた喉が
さっきまで身じろぐ事も許されない極限状態だった事を男に知らせている。
究極の適当を体現しているような人物が、目の前で確かに豹変したのだ。
それもこれ以上無いほどに鮮烈にだ。

「まさしく彼こそが、ただ一人女神に愛された魔法使いだった。ってことですよ・・・。」

共和国の危機は払拭されたんですよ。今宵、たった一人の銀の髪の魔法使いの手によってね
とビン底眼鏡の青年が、嬉々として散乱している書類を拾い集めながら興奮気味に言う。
それを合図に局員達は皆、夢から覚めたようにノソノソと動き出した。
それぞれが己の成すべき事をようやく思い出した様に。


::::::::::::::::::::::::::::

事後処理を各方面に指示し、局長室に戻ってからも男はひどく混乱していた。
倒れ込むようにして、重厚な皮椅子にその身を任せれば、どっと疲労感が押し寄せてくるのが判る。

「技術開発部門 最高責任者」が持つ、二つ名は伊達では無かった。
常人では成し得ない速度でキーボードをタイプするその姿は、確かに魔法使いの如く、
オドロオドロシイ妖気めいたモノを身に纏っていた様に思う。
しかも驚くべき速度と技術でたった一人、マザーコンピューターの復旧をやってのけたのだ。
上層部が、このフランス共和国が、どうしてもエリックを手放そうとしない理由を
その身を持って理解してしまった事に、何処と無く釈然としない男ではあったが、
目の前で神業に等しい所業を見せつけられてしまっては、致し方ない。
だがしかし、だからと言って簡単に認めてしまうのも癪にさわって男は、
今日何度目なのか判らない嘆息をまた一つ吐きだした。

・・・大体、他の局員達は何をしているんだ。
あの適当中年に全てを任せて安心している場合じゃないぞ!!
もっと向上心を持て!!向上心を!!

「・・・。」

コンピューターを己の手足が如く、思うがまま自由自在に操る男。
それは神が与えた天賦の才。
果たして凡人が勉学に勤しんだ所で、その技術においそれと近づけるものだろうか?
ああ。全くもって、本当に奴は何故こうも規格外なのか・・・。

「―――――ふう。」

また、長い長いため息をついて、親指と人差し指ですっかりと凝った眼頭を揉みほぐす。
ぎい・・・と背もたれに全体重を掛けて、白い天井を仰げばどうしてか不意に、
あの恐ろしく甘ったるい声を思い出した。

あれを耳にした途端、この手足は痺れてその機能を完全放棄した。
どくどくと脈打つ鼓動がやけに大きく感じられて、身体中をせわしなく駆けまわる血流が、
酷く鬱陶しかったのを覚えている。
どこか淫媚でとろりと甘い、まるで睦言の様なエリックの囁き声。

『坊やは黙って見ておいで・・・。』

それがまた耳元近くで聞こえた気がした。

「?!」

一瞬で熱を帯びた己の頬に気がついて、男は猛烈に焦った。

「・・・くそっ!!何が坊やだ」

吐き捨てる様に言ってから、だん!!と拳を強く机へと打ちつけると、
やおらバリバリと頭を掻きムシり、その額を机へ乱打し始める。

ななな何故、この私が取り乱す必要があるっ???
・・・疲れている。そうだ。私は疲れているんだ・・・。
心身ともに耗弱状態!!!絶対にそうに決まっている!!
あ・・・あの時、うっかり目蓋を閉じそうになったのは断じて何かの間違いだっ!!!
早く・・・し・・心療内科に予約をーーーーーっ!!!!

男は痛々しく赤く腫れあがった額もそのままに、震える指先で受話器のフックを
ガチャガチャと乱暴に何度も押すと、交換手に医療課への取り次ぎを捲し立てたのだった。


順風満帆だった男の人生初の大問題発生。
しかも最大級の難関奇問。
それが恋と言う名の感情なのだと男が気付くまでには、まだしばらくの時間が必要のようだ。
果たして、この問題。解けるのか否か??

それはまさしく、悪戯な女神のみぞ知る。

後日局長が部下に命じて調査させた「BAKADAUniversity」の報告書を読んで、
盛大にずっこけたのはまた別のお話。




:::::::::::::::::::::::::::::


最後までお付き合い頂きまして、どうもありがとうございます!!
確固たるアイデンティティをコトゴトク崩されて、いつの間にか落城しちゃってればいいなの話。
生粋の攻め気質・・・と見せかけて、実は受け要素満載だったら堪らん!!!っていう設定でした。
局長の年齢設定としてはエリックより一回り若い位の設定ですかね。
ってゆーか、エリックってば何歳~??



以下、局長についての妄想です。

これから先、この、おっさん二人の話は書くことはないと思うのでメモ的な感じで。
まあ、需要も無いだろうし(笑)

なんやかんやあって、身体を重ねてからもこの局長はエリックの事を
愛しい人だとは断じて思いたくないようです。
昼間は上司として厳しく職務執行。エリックを注意しまくりです。
だけど夜は逆にエリックにネチネチそれはもうシツコク攻められて、
可愛く啼いちゃったりする局長希望なんですがどうでしょう(笑)
彼はまったく快楽に無防備なんで、エリックも好き勝手、開発し甲斐があるってもんですよね?
わかります。わかります。
さらりと非常識な要求をするエリックに、あれ?常識だよ?こんな事も知らないの?なんて言われると
プライドの塊りの様なお方ですので、そんなの簡単だっ!!とかつい言ってしまい、
知ったかぶりっ子してひぃひぃ言わせられてる局長だったら、尚、いいな・・・と。
そうやって、戸惑いながらも性の深淵にずぶずぶと足を捕られる素敵な局長超ウマイ!!
大人な二人なんで、そりゃもう、いろんなぷれいが目白押しですわよ~きゃあ~(笑)
でも、時々自分がエリックの沢山の恋人の一人にすぎないと言う事を考えて、
ブルーになっちゃう乙女な局長もラブぃラブぃ
うわーもう・・・。
オリキャラにこんなに盛れちゃうじゅえるで猛烈すみませんっ(>_<)
お付き合いありがとうございましたーーーー






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