ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話・番外編


悠遠夜話:中嶋さんの場合: その5(再掲載)

2012.10.18  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

こちらは、以前拍手にあげていたモノを見やすく修正しております。
内容は変わっておりません(>_<)

悠遠夜話:番外編
中嶋さんの場合

~中嶋さん幼少期のお話~



ご注意:またしても、ちょいちょいオリキャラ出張ってます・・・
『仕方ない・・じゅえるめ 大目に見てやるか~』な方だけ
どうぞ先にお進みくださいませ・・・。






見りゃれ・・見りゃれ・・玄武の若君が通るぞ

忌まわしきかな 玄武の呪いの子 

そうじゃ 玄武一族の長命は他の者の命を吸い取り
己が命とすると言うではないか

おお・・怖や怖や・・・・・・

まったく忌まわしい子じゃ・・早く気が触れてしまえばいいのに


今日も大人達は、噂話で忙しい。
まったく。他にやる事がごまんとあるだろうに。
あの程度の人種が宮廷の中心になっているなんて、仙界の未来もたかが知れている。


陰口と言うには余りにも大きな声が交差する中、
その少年は別段それを気に留める風でも無く、真っ直ぐ前を向いたままだった。

深い藍色の髪と冴えた冬の夜の月色の瞳を持ったその少年は、気が付けば
いつだって一人だった。
父の顔も母の顔も、自分に姉が居た事さえ最近まで知らなかった位だ。

天界の名門 四神将の内が一つ。
『玄武』の直系に生を受けた中嶋英明は、四神将の正統継承者であるにもかかわらず
物心付いた頃からすでに、華やかで煌びやかな世界からはおよそ程遠い暮らしを送っていた。

「おい!英明!待てよっ!」

背後から自分の名を呼ばれた事に対して認識は充分にあったが、
中嶋はその歩をまったく止めようとはしない。

「おいっ!!聞こえてんのか?英明!」

叫び声と同時に後ろから物凄い勢いで走って来て、脇をすり抜けた者が居る。
見れば中嶋より一回り大きな少年が、両腕を目一杯伸ばして行く手を阻んでいるではないか。
心なしか息が上がっているのは、子供の割に随分と出っ張った腹のせいだろう。
遅れてやって来たその取り巻きらしき仲間達も、次々と両手を伸ばし 
小太りの少年のそれに習った。

「英明!聞こえてんなら返事しろ!!」

またか・・・・。

中嶋は既に見知っているその数人の少年たちを確認すると、少しだけゲンナリして 
返事もせずにじろりと少年たちを睨んだ。

「!!!・・ひいいいいっ」

後ろに控えた取り巻きの少年達は、中嶋の冷たい視線につい悲鳴を上げてしまったが
親分格の小太りの少年は辛うじてそれを喉元寸でで、堪える事が出来たようだ。

「おおおおおお前っ!!ななな生意気なんだよっ!!」

小太り少年は、相変わらず冷やかな中嶋の強い眼差しに一瞬うろたえたが、
鼻穴から荒く息を吐きだしながら、自分を奮い立たせるように早口でまくし立てる。

(・・・はあ?・・)

おや?君・・話のつじつまが合いませんよ?
そう諭した所で『はいそうですね』と素直に聞くような奴らなら苦労はしないのだ。

(・・・まったく これだから子供は嫌いだ・・・)

自分も見てくれだけで言えば、充分、目の前で震えながら虚勢を張っている少年たちと
変わらないくせに、中嶋は酷く疲れた老人のように一つ嘆息し
このどうにも面倒な状況を丸っと無視する事を決めたようだ。


仙界でも玄武一族直系は特別な存在だ。
その身の上には殊更ゆっくりと時が流れ、仙界一の長命を誇る。
一見、少年の中嶋だったが流れた時間の長さから言えば、
実はさっき、大声で陰口を吐いていた大人達とさほど変わりは無かったのだ。

皆からは長命故の成長の遅さを、異端の眼で見られ、一族の長を欠く状態では 
本来敬われるべき立場の同族からさえも、まるで腫れものの様に扱われ続けた。

玄武一族を束ねる父も母も亡くなり、とうとう直系筋が中嶋一人になってしまってからは 
残酷なほどそれは如実に現れたのだ。

口を開けば、皆が背を向け、口を閉ざせば気味悪がられる。

(一体・・どうしろと言うんだ・・・)

そうしていつしか、中嶋は貝の様に物言わぬ子供になってしまった。

持って生まれた類稀なる能力も、皆が怖れ同時に羨む命の長さも、
少年にとっては必要とする所のない、重い重い枷でしかなかったのだ。

「おおお・・おいっ!きききき聞いてんのか?英明っ!!」

今日こそは泣かせてやるっ!!立ちふさがった少年は
ふがふがと鼻穴を大きくしながらそう言うと 
衣の袷の中から黒くて小さな箱を取りだし、慎重に手にのせて 
中嶋の方へ見せつける様にすると、にやり・・・と笑って見せた。

(?!)

「ふっふっふっ・・聞いて驚け!!これはな~っ 妖魔が入っている小箱だっ」

うわ――――っっと上がった 取り巻き達のみの悲鳴に、
酷く気を良くしたらしい小太り少年は、自分に出来うる精いっぱいの恐ろしい顔を中嶋にして見せるのだ。

「どうだ?恐ろしいだろう?開けて欲しく無ければ土下座して俺様の子分になれっ!!」

「・・・・・止めておいた方が良い・・」

顔色を僅かに曇らせ、やっと口を開いた中嶋をみて
どうやらこの手の中にある物に、彼が怖気づいたらしいと勘違いした小太り少年は
嬉々として饒舌になった。

「これはな!!父上の師匠のそのまた師匠が閉じ込めた恐ろしい妖魔だぞっ!!
だからさっさと俺の言う事を聞くんだーっ」

(・・・馬鹿か・・・)

まったくどうしてこう、こいつらは頭が悪いんだろう。
親も親なら子も同じ・・・。

中嶋はつい今しがた、自分に早く狂って死んでしまえばいいのにと言った
白茄子みたいな顔の貴族の一人の顔を思い出して、眉根を思いっきり寄せた。

さもありなん。
目の前の馬鹿で小太り少年が持ってきた小箱の中身は、それなりに厄介なシロモノだったからだ。

「・・・止めろ言ってるんだ 大福」

「だっ!!誰が大福だ――――――っ」

中嶋の的確な一言に、取り巻き達は一瞬だけ小太り少年を注視してから
プっ・・・っと堪らずに噴き出してしまった。 
身内に完全にメンツをつぶされた、馬鹿で小太りで大福な少年は 
一気に耳まで赤面すると、唾を飛ばしながら見当違いの怒りを
全て中嶋にぶつける事にしたようだ。

「こ・・このっ・・・開けるぞっ!!開けてやるぞーーーーっ」

プ二プ二した震える白い手が、小箱の蓋にかけられ、
これ見よがしに中嶋の鼻先に突き出される。
・・・が
壊れたカラクリ人形みたいに 何度何度も同じことを繰り返す割に
一向に小箱が開かれる気配は無い。
やがて、もういい加減この騒ぎに付き合うのにも疲れて来た中嶋は、
ため息をもらしながら一歩を踏み出すと、不意に少年の柔らかな腕を掴んだ。

「おい・・いい加減にしろ」

その声はおおよそ少年が発するモノとは思えないほど高圧的で、酷く冷たい。

一切の拒絶を許さない鋭い刃の様な眼光を、すぐ目の前にした
馬鹿で小太りで大福プ二プ二な少年は、とうとうその場で腰を抜かしてしまった。

「~~~っ」

ヘナヘナ・・・と少年が地面に崩れ落ちると同時にその手からも黒い小箱が滑り落ちた。
それから、後を追うようにしてカラカラと音を立てて、小箱の蓋が
道の端の草原へ転がっていくのをたった一人を残し皆、呆けた顔で見送った。

唯一中嶋だけが、次に来る異変を察知し、姿勢を低くしたまま、
素早く後ろへと飛び下がったのだ。

その時。
きしゃあああああああああああああああああああっ!!
耳をつんざくような奇声が上がり、小箱の中から黒い煙が大きく立ち昇った。
大きく小さくそれは収縮し、蠢きながらたちまち道一杯に広がってゆく。

「うわあああぁっ!!」

一瞬で見上げる程の高さになったその黒い影に、取り巻きの少年達が 
悲鳴を上げ、蜘蛛の子を散らす様に四方へと逃げ出した。
だが、腰を抜かしたままの小太り少年だけは 
蠢く黒い影を見上げたまま蒼白になって動けずに、口をパクパクとさせているだけだった。

「―――ちっ!!」

盛大に舌打ちをした中嶋は、一旦翻しかかったその身体を又 黒い煙に向き直らせた。
目の前で収縮するそれを瞬時に見極めにかかる。

どうやら、妖魔を封じ込めたと言う小箱は大福少年の張ったりでは無かったらしい。
それは複雑に形を変えながら、変わらず奇声を上げていた。
封じ込められた位だから、少なからず人々に仇なす類なのだろう。
恐らくは、言葉も通じそうにない相手だ。
早々に手を打たなければ増長し、なかなかの騒ぎになりそうだった。

だが、あと少しすれば仙界の治安を護る青龍一族の警邏部隊が飛んで来て 
確実に後始末をしてくれる筈だから、放っておいても事は終息するだろう。

面倒事は極力避けたかったから、一旦は立ち去りかけた中嶋だったが
目の端に映った術など到底使えなさそうな小太り少年が、
青龍一族がくるまでの僅かな時間に、頭からぼりぼり喰われるのを、
素知らぬふりをして見ているのは少しだけ・・・
ほんの少しだけ後味が悪くないだろうか?と、つい思ってしまったのが運のツキだった。

「おいっ!!何をしている!!さっさと逃げろ!!」

仕方なく、本当に仕方なく、中嶋が残された少年に嫌そうに声をかける。
だが、どんどん近付いてくる妖魔についに耐えかねた
馬鹿で小太りで大福プ二プ二な少年は「ぷきゅる~~~」・・と
喉から変な音を出しながら、とうとう失神してしまったらしい。

「ちっ・・・なんて手間のかかる・・・」

これでもかと言う位、眉間に深くしわを寄せた中嶋は
一つ溜息をしてから下肢に力を込め、大きく跳躍した。
そうして妖魔のわき腹辺りをすり抜けて、素早く失神した少年の元へ膝を折ると
一切の遠慮なくびしばしと両頬を引っ叩いたのだ。

「おい大福!いつまで伸びている!さっさと起きないと喰われるぞ!!」

頬が赤く腫れるほどビンタを食らわせてみるが、当の本人は一向に目を覚ます様子が無い。
騒ぎを起こした張本人だと言うのに、呑気なものだと
中嶋は少年を蹴飛ばしそうになったが、どうやら辛抱出来た様子だった。
やがて諦めたように、自分より一回り大きな少年をズルズルと引きずり、 
その細い背に背負い上げたのだった。

きしゃあああああああっ

中嶋一人ならこんな低俗な妖魔に囚われる筈も無かった。
遠く古から続く、四神将玄武の直系筋の類いまれなる能力は、少年の小さな体の中にも
脈々と受け継がれている。
充分な間合いを取り、精神を集中して印を組み、術を唱えれば 
さっきの小箱に封じ込める事くらい造作も無い事のはずだった。

だがしかし、今日は随分と勝手が違っている。
背中にずしりと重い大福を背負っていて、足が思う様に前に進まないのだ。
肝心な間合いが取れなければ、印を組む前に敵の攻撃を受けてしまう
可能性があり、低俗な妖魔とはいえ、この距離で一撃を喰らえば
背中の大福共々仲良く腹の中に納まる事になるだろう。

(・・くそ・・青龍は何をやっている!!)

相変わらず呑気に伸びたままの背中の少年を、放り出したくなるのを堪えて
ズリ落ちてくるその身体を、背負い直そうと腰を低くしたのがいけなかったのだろうか? 
体勢を崩した中嶋は、背負った少年ごと草むらに倒れ込んでしまったのだ。

しまった!!

いつの間にか随分と距離を狭められていて、後もう僅かの所へ妖魔は迫っていた。
初め黒いモヤのようだった影は次第に形を明確にさせ、
確実に意識を持って二人へと近づいてくる。
長い間、窮屈な小箱に閉じ込められていたのだ。 
よほど腹が減っているに違いない。
蠢く影の中央にある真っ赤な二つの光が、妖魔の目にあたる部分だと
判るほどに近づかれてしまってはもう、
印を組んで術を唱えて・・・などと悠長な事を言っている暇はなかった。

中嶋は妖魔の肩越しにちらり・・・と蒼白になり、益々白茄子みたいになっている
大福少年の父親と、やっと駆けつけた青龍一族の警邏部隊を目の端に捉えたが
それを待つことなく、奇声を浴びせる妖魔の懐へ突っ込んで行った。




きしゃあああああああああああああああっ

小箱から現れた時と同じように奇声があがり、そしてそのすぐ後に 
不思議なほどの静寂がその場へと戻ってきた。

だが妖魔が現れたその時と違うのは 、辺りに漂う猛烈な腐臭と 
本来ならあの妖魔が還るべき小箱が空のままだと言う事だ。

「う・・・う~ん」

こしこしと丸くて柔らかい饅頭みたいな拳が目を擦り、小太り少年のぼやけた瞳が
捉えたのは、利き腕である左の肩からぼたぼたと血を流し 
少し苦しげに息を吐く中嶋の姿だった。

「ひいっ!」

小さく悲鳴をあげて、座ったまま後ずさった少年の側に
青ざめた顔をした貴族の男がまろぶようにして駆け寄ってきた。

「だ・・だだだ大事ないか??息子よっ」

「ち・・父上えええええええええっ こ゛わ゛か゛っ゛た゛~っ」

血みどろの中嶋から視線を外せないままでいた少年は
自分の父親の顔をそれと認めると、急に顔をクシャクシャにさせて
辺り構わず大声を挙げてワンワンと泣きだした。

しゃくりあげる少年の肩を心配そうに撫でつけていた貴族の男は 
自分の息子に怪我がない事を確認してから、やおら後ろへ向き直り 
さっさとこの場を去ろうとしていた中嶋の背中に、悲鳴に似た声を浴びせかけた。

「こ・・この忌まわしき子がっ」

己の衣の袖口を裂き、流れる血液を止血しながら歩くその肩が
ぴくり・・・とほんの少しだけ揺れたような気がした。
だが、中嶋は今度も立ち止まろうともせずに、真っ直ぐ前を向いてその歩を進めている。

振り返ろうともしない中嶋に貴族の男は、次第に癇癪を起したようにわめき始めた。

「なんと言うおぞましい術!!なんと言う呪われた能力!!!妖魔の!!
妖魔の生を吸い取りおった!!!!」

「卿!!不敬ですぞっ!」

なおも甲高い声でわめき続ける男に対し、騒ぎに遅れてやってきた
青龍の警邏部隊の一人が前へと歩み出て、次々と並べ立てられる 
もはや差別の類いの言葉を制止にかかった。

「・・・捨て置け・・」

「しかし・・若君・・・」

「・・構わないと言っている・・・」

振り向きざま静かにそう言って、ようやく立ち止まり振り向いた中嶋の 
その瞳の凍るような冷たさに、警邏部隊の男は思わず息をのみ 
白茄子の男も二の句を告げられずに、たちまち目を反らし黙ってしまった。



妖魔はあの窮屈だった小箱へと還ることなく、今はドロドロに溶けて 
道の真ん中に横たわっていた。
その形は見る間に液状になっていき、さっきから鼻が曲がるような腐臭が 
辺り一面に漂よっていたのは、時折り びるびる・・・っと
身体から滲みだす体液らしきモノのせいだったのだ。


刻々と地面へと浸みていく元妖魔だった大きな塊りの向こう。
もう、既に陽も落ちかかった暗い森へと続く道を黒い影だけを従えて歩いて行く 
中嶋の小さな背を、皆はただ 黙って見送った










うう・・・
中嶋少年一人ぼっちです(T_T)









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