ええ。小心者ですから・・・。

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


*Edit

啓太君のイケナイ?!若・奥/様


啓太君のイケナイ?!若奥様::臣×啓太+エリック::

2012.11.14  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

なんとなく・・・つい出来心で、『3Pに挑戦してみよっかな??』とか
ある日突然思い立ちまして・・・。

書き書きし始めたはイイものの・・・・何という険しい道のり!!
踏ん張っても踏ん張っても出てこないブツに相当手を焼かされました。
結果、大事故ですよ。全く。
もう二度と3Pは書くまいと心に誓ったじゅえるなのでしたー。

無駄に長ーい作品となっておりマス。
いたしている部分は裏ブログへの収納となっておりますので
ご了承くださいませ。
ほんと色々申し訳ないです。


!!ご注意!!
こちらは臣×啓太+エリックのカップリングになっております。
「イケナイ?!」シリーズの啓太君は大変に頭とお股がユルイ設定です。
こちらのシリーズは安いAVのノリで続くお話なので、細かい事は一切スル―の方向でお願いいたします(笑)
それでも良いぜ!!ALLOK!なお嬢様のみお進みくださいませ。














○月●日 雨

今日は朝から雨。
しとしと・・・と降り続く雨のせいで季節の割に随分と肌寒い日だ。
いつもならこんな日は、決まって家に閉じこもってる。
だって雨の日は湿気で髪があっちこっち向いて大変なんだもの。
只でさえ癖っ毛で困ってるって言うのに湿気で広がった髪は、
もう、手の付け様がなくてひどく憂鬱で仕方ない。

「わっ!!でかっ!!」

俺は上を見上げたまま素っ頓狂な声を上げた。
傘の向こう側、雨粒の落ちてくる黒雲の中を遥か上空へ向かって伸びる
その白亜の建物はあまりに高いせいで、俺の立つ地上からは天辺を見る事が叶わないのだ。
一等地にどーんと効果音付きで鎮座する超高層ビルは、著名な建築家がデザインし、
流行りのブランドショップから飲食店までが数多く入る、この街に最近建ったばかりの大型商業ビル。
そっと一歩足を踏み入れた屋内は、雨のせいで暗く寒々しい外とは全然違って、
硝子張りと吹き抜けのお陰かキラキラと輝き、明るく温かな光に包まれてた。

人ごみを縫う様にして歩き、きょろきょろとあたりを見渡しながら、
まだ新しい匂いのするエレベーターに乗った俺は、ちょっと躊躇しながら最上階の数字を押した。
ほんの一瞬でふわりとした浮遊感と、軽やかな音が目的の階に到着した事を知らせてくれた。

「うわ・・・。なにここ・・・高そう。」

重厚な木製のドアを前にして、俺はのけぞった。
かなりラフな格好の自分と、高級そうなドアを見比べれば何となく
・・・いや、かなり気不味くなって怖気づいたのだ。

口許を引きつらせたまま、ポケットをごそごそと漁り、固い感触を頼りに引っ張り出せば、
そこには確かに目の前にある重そうなドアに掲げられた文字と同じ文字が
しっかりと印刷されていたから本当にちょっとだけ安心できる。
手の中にある紙片と看板を何度も見比べてから、深呼吸を一つ。
いつまでもこのドアの前に突っ立っている訳もいかなくて、

「よしっ!!行くぞ!」

俺は誰に言うともなしに小さく気合いを入れて、金ぴかのドアノブに手をかけた。

「いらっしゃいませ。失礼ですが御予約の方でいらっしゃいますか?」

かなりのへっぴり腰でドアを開けた俺に、綺麗なお姉さんが声をかけて来た。

「えと・・あの・・・。はい。3時に予約した伊藤です。」

「伊藤啓太様ですね。承っております。ようこそお越しくださいました。」

にっこりと上品に笑って丁寧に頭を下げられれば、俺もつられて深々とお辞儀をしてしまっていた。
うーん、ホントこう言うのって柄じゃない。

では、どうぞこちらへ・・・とお姉さんに促され、なんだかやたら良い匂いのする廊下を進んで行けば、
奥まった所に一つドアがあって中へと案内される。
足首まですっぽり隠れてしまうほど、毛足の長い絨毯を踏み込みながら入った室内は、
一つの個室になっていて、さながら超高級ホテル並みだ。
そこに据え置かれたソファやら調度品やらは、この俺にだって判るくらい高級そうで、
傷をつけたらどうしよう・・・とか考えてしまえば、怖くなって近寄れそうも無い。

「どうぞ伊藤様、こちらにお召し替え頂き少々お待ち下さいませ。ほどなく係の者が参りますので。」

あまりの非日常的な光景に、入り口近くでぼーっとしていたらお姉さんが小さく笑いながら
テーブルの上にある薄手のバスローブを指していて。

「あ・・はい、すみません。」

ふっかふっかなそれを俺に手渡すと直ぐ、彼女は紅茶を手早く用意して部屋を出て行ってしまった。
辺りに沈黙が漂って一人ぼっちになった俺はなんだか急に心細くなった。

(どうしよう。なんか凄いとこ来ちゃった。俺・・・。)

脱ぎかけていた服をまさぐって、ポケットからあの紙片を引っ張り出して見れば、
それはほんの少しだけ皺くちゃになっていた。
俺は、着替えるのを止めて、ソレを手に取り丁寧に皺を伸ばしてから
『特別無料御招待券』の文字を指でそっとなぞった。


:::::::::::::::::::::::::::::

「はい!!特賞大当たり~!高級リラクゼーションご招待券~!!」

近所の商店街で、もらった一枚の福引券で引いたくじが大当たり。
結婚して主婦になってからも相変わらず俺の運の良さはぴか一だった。

全身マッサージからヘッドスパ。
『髪の毛からつま先まで、あらゆる贅の限りを尽くした極上の癒しの時間をあなたに』
をコンセプトにしたそこは、今、お金持ちのマダム達に大人気の、
最近日本へ進出して来たばかりと言う超高級エステ店だった。
テレビや雑誌でしか目にすることが無い現実離れしたその店は、
やっぱり価格設定も完全に現実離れしていて、本当なら、平凡な主婦である俺なんかは、
まるで縁が無いままま一生を終えたに違いないようなそんな所へ、俺は来ているのだ。

旦那様は単身で海外に長期出張中。
正直、寂しい時もあるけれど、一人きりはかなり気楽。
だけれど、グータラ過ごしてなんかいられないんだ。
十人並みの容姿だって、とことん磨けばどうにかなっちゃうかも??・・・なんて
そんな淡い期待をもって今日本日の予約を入れたってわけで。
本来の目的を思い出した俺はちょっとだけ気を取り直し、更衣室でノロノロとバスローブに着替えた。

「・・・。」

ふと目の前にある大きな姿見に気が付けば、
四方にさらに元気よく跳ねた自分の髪の毛が見えてうんざりする。

「うーん。そう言えばヘッドスパで究極のトリートメントって言うのがあったなぁ・・・。
俺のこの癖っ毛、少し落ち着いてくれないかな。」


着替えを終えピンピンと指先で髪の毛をひっぱりながら、隣室へ続くドアを開けたその時、
何かがにゅーっと出て来て、俺はつい大声を上げてしまった。

「!!うわわっ!!」

「申し訳ございません。驚かせてしまいましたか?」

目の前に、きらきらと銀のお星様が瞬いた。
ドアの向こう側、そこには王子様が立っていたんだ。

「伊藤様?」

その瞬間俺ってば相当、オカシナ顔をしていたと思う。
悲しいけどソレだけは猛烈に自信ある。

だって・・・・。
だってこの人の事。俺、知ってる。
こんな綺麗な人、一度見たら忘れっこない。
絶対に、絶対に忘れられる訳が無いんだ。
この人とまた、会えるなんて!!
俺は感動して、多分泣いていたんだと思う。




:::::::::::

「あの時は本当に助かりました。ありがとうございます。」

「ははは・・そんな大げさな。たかが大根一本ですし・・・。」

「いいえ。うちの父は大変なわがまま・・・いえ、こほん・・・・。
健啖家なので、食材集めにも一苦労なんですよ。あの日も急に、
どうしてもみぞれ鍋が食べたいと言いやがって・・・いえ・・その言い出したので、
大根を買いに出かけたんです。そうしたらどうした訳か、どの店にも大根が売っていなくて。」

「確か大根が記録的不作で市場に全く出回って無かったらしいですよね。
後からニュースで見ましたよ?俺。」

「ええ。そうみたいですねぇ。それで、その貴重な大根を伊藤様が譲って下さって。」

「へへ。大根も七条さんに食べられた方が絶対幸せでしたよ?でも、
ホント不思議ですよねぇ・・・あの時、代わりに頂いた福引券で俺、また七条さんに会えたんですもん。」
 
「・・・ええ。本当に運命を感じますね。」

「大根一本で運命ですかぁ?もうホント大袈裟だなぁ・・・あの時だって俺、
ビックリしてひっくり返りそうになっちゃいましたよ?」

「ああ・・・あの時ですか?僕としては最上級の敬意を払ったつもりだったんですが。」

うーん・・。オカシイですねぇ・・・と小さく首を傾げ、長くしなやかな指先を
顎へとあて考え込む様はなんだかちょっと可愛らしい。
ああ、この人こんな顔もするんだぁなんて思ってしまえば、
また新しい一面を知ってしまった様で、勝手に顔がニヤ付いてくる。
俺は笑み崩れそうになる表情筋を必死に押さえ付け、
バレ無いようにそっと目を逸らしながら、この人と初めて会った日の事を思い出していた。

::::::::::::::::::::::::::


その人はエラク悲壮な顔つきをして、八百屋の主人を質問攻めにしていた。
どうして大根が一本も無いんだとか、どこか他に大根が手に入る所をしらないか?とか。
そんな事、全然聞くつもりなんて無かったのに、俺の耳は勝手に二人の会話を拾っていた。
いや、会話だけじゃない。
その時既に、その人から視線も反らす事が出来ずにその場に立ち尽くしていたのだ。

下町の商店が立ち並ぶ、雑多で賑やかな庶民的風景に全くもってそぐわないその人物。
彼の美しい横顔に俺は釘づけだった。

夜空の星を集めた様なキラキラの銀の髪。
どんな宝石より神秘的な菫色の瞳。
それを縁取るのは、髪の毛と同じ色の長く艶やかなまつ毛。
高い鼻梁にうっとりするほど美しく整った顔立ち。
それからそれから・・・・
左目の下にある、ひどく印象的な小さな泣きホクロ一つ。
彼は外国の人なのだろうか?
日本人離れしたその容姿は、何処を探したって欠点が見当たらないくらい
夢の様に綺麗な人だったんだ。

それにしても、一体どうしてこんな人が大衆野菜代表の大根なんぞを求めて、
そんなに必死になっているのか判らなかったけれど、兎に角、
その時は自分の籠に無雑作に放りこんでいた大根を彼に譲ることを秒速で決めていた。

「ありがとう。本当に、本当に。貴方は恩人です。」

言いながら何度も丁寧に頭を下げられた。
恐縮する俺の目の前で、銀の髪が夕日を受けてキラキラと輝く。
淀みない流暢な日本語。彼はもしかしたらハーフなんだろうか?
・・・なんて一人考えを巡らせていると、
「僕の名前は七条臣と言います。」とぎゅっと手を握られた。
その人は、大根を小脇に抱えたまま尚もずずいと近寄って来る。

え??ちょ・・近――――っ!?

揺らめく菫色の瞳の中に、俺の顔がはっきりと映り込むその距離に
アタフタと動揺していると、どうした訳か彼は一瞬にして視界から消えてしまったのだ。

???へ???へ??うええええええええ???

答えは簡単だった。
その美しい人は俺に跪いていたのだ。
王子様だ。王子様がいる!!

新鮮お野菜テンコ盛りの八百屋の前で俺の手を恭しく持ち、
小首をかしげて俺を見つめるその姿を、現実として脳が認識した途端、
その半端ない画ヅラの威力に俺は放心しかけた。

::::::::::::::::::::::::



「もうホント、俺ビックリしちゃいましたよ?」

「ふふふ。すみません。」

くすくすとひとしきり二人で笑いあってから、不意に七条さんと目があった。
俺を見つめるその菫色の瞳は優しくて、蕩ける様に甘く見えるは
全くの気のせいに違いないけど、ああ、もう。本当に何て綺麗なんだろう。
ここがサロンじゃなければ完全に勘違いして、舞い上がってしまう所じゃないか。
いけないなあ・・・。俺ってば人妻なのに・・・。
あーあ。これじゃあお金持ちの奥様達も毎日通いたくなるよ。
こんな美形が全身エステしてくれるんだもん・・・。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
そんなこんなで俺は今、とても座り心地の良い大きなソファに
上半身を僅かに起こした恰好で、あの時の様に跪いた七条さんにハンドマッサージを施術されていた。

俺の引き当てた「特別御招待券」は本当に特別らしく、どうやら完全フルコース。
つまりこのサロンの究極のエステを、頭からつま先まで体験できる、
たった一枚だけ用意されたプラチナチケットだったらしい。

真っ先に俺は念願だったヘッドスパを希望して、宿毛矯正を謳ったしっとりトリートメントの真っ最中。
今は薬剤を浸透させる時間を利用してのハンドマッサージを受けていると言う訳だ。

他愛も無い話をしながらも休みなく、七条さんの大きくて長い指がオイルの助けを借りて、
ゆるゆると滑らかに俺の手を行ったり来たりしている。
七条さんの真っ白で綺麗な指が、俺の短い指した手をマッサージするのを見るのは、
不公平な造作の違いをまざまざと見せつけられて、本当の所、かなり恥ずかしかった。
だけれど、ヘッドスパを封切りに、俺へと施されていくマッサージが
あまりに気持良くて段々とそんな事、どうでも良くなりかけてくる。

でも、本当に世の中には不思議な事があるんだ。
あの日、あの時、俺が大根を買いに出かけなければ、この出会いは無かった訳で・・・。
七条さんが「運命」なんて言うから、俺ったらつい調子に乗ってしまいそうになる。
ああ、でもここは一流のサロンなんだから、所謂、七条さんの口にする言葉は
世に言う社交辞令の類いだよなぁ。
そう思ってしまえばどうしてか、ホカホカした室内の暖かさとマッサージの心地よさとは裏腹に
俺の胸は寒々しく、きゅっ。と締めつけられた。

「さあ、次は本格的なマッサージへと移りましょう。まずはデコルテから。」

「へ??でこるて?」

「ええ、首筋から胸元の辺りの事を言うんです。」

では失礼いたしますね?綺麗な指先がバスローブにかかり、するすると肌蹴られてゆく。

するするするするする・・・
それはどんどんと勢いよく広げられて・・・って

「え??ちょ!!なに??」

俺は大慌てで、七条さんの持ち上げていた白い布地を取り返した。
驚異的なスピードで腰の所にある紐一本だけを残し、俺のバスローブはあと少しで
全て引っぺがされそうになっていたんだ。

「・・おや?伊藤様。まだ下着を付けておいででしたか。」

「???はあ???」

一瞬、何を言われているのか俺には判らなかった。
七条さんは何て言った??
下着???なに??付けてちゃいけなかったの????

俺が「?」を盛大に飛ばしまくっている間に、また俺のバスローブの裾は七条さんに取り返されて、
さっきよりも大胆に大きくめくり上げられる。
ひぎいいいいいいっ!!!・・・堪らず俺は大声を上げた。

「ちょっ・・・・・ちょっと!!!スト――――――ップ」

「どうなさいましたか?伊藤様。」

大騒ぎしている俺を綺麗な紫の瞳が真っ直ぐに射すくめる。
それは静かだけれど、一切の妥協を許さない真剣なまなざしだった。

「えと・・・あの・・・その・・・仰っている意味が判りません・・・。」

「・・もしかして係のモノに説明を受けていませんか?」

「?????」

「・・・ああ、やはりその様子では説明を受けていないようですね?」

どうしてか七条さんは小さくため息を吐くと、
やれやれと言った風にコメカミに人差し指を当てそのまま考え込んでしまった。

「・・・まったくあの新人さんにも困ったものです。今回で一体、何度目の凡ミスでしょうか・・・。
仕方ありませんが辞めて頂く他ありませんね。」

全く抑揚の無くなってしまった口調に、俺の心臓が跳ねる。
そこに在ったのは酷く冷たくて、無機質な七条さんの横顔だったんだ。

「ちょ・・あの!!辞めて頂くって・・クビって事ですか???」

「ええ。ここは一流のサロンです。大切なお客様に対して何事にも
抜かりがあってはならないのです。カウンセリングはその要です。
ソレを彼女はないがしろにした。コレは重大な過失なのです。」

一体、さっきまでの優しく甘い雰囲気はどこに消えてしまったんだろう。
確実に、不機嫌を露わにして考え込むその横顔を目にした瞬間
脳内にさっきこの部屋まで案内してくれたお姉さんの顔がフラッシュバックする。
そして次の瞬間、俺は自分のとった行動に驚いていた。

「ええと・・・ああ!!受けました受けました!!そう言われれば俺、
きちんと説明受けましたからっ!!忘れてました!!ごめんなさい!!
近頃、俺、忘れっぽくなっちゃってて。ははは。俺ってホント馬鹿だなあ・・・
と、とにかく、もう何されても全然大丈夫ですから!!」

ああ・・・言っちゃった。
ひと息に捲し立てた俺を七条さんは少しだけビックリした様な顔で見てる。
でもでも、ここまで来たらもう、押し切るしかないんだ。
この世知辛いご時世、女の子が次の就職先を見つけるのだって大変だろう。
ましてや大金持ちの常連さんならまだしも、こんな俺みたいな商店会の福引で
ご招待された一般人の客のクレームなんかの所為で、路頭に迷う羽目になったなんて、
可哀想にも程があるじゃないか。

「・・・そう・・・ですか?本当に?」

「へへ。もうホント。全て了承済み!!オールOKですよっ!!」

にへら!!と笑って見せた顔が引きつっていないか物凄く不安ではあったけれど、
受付のお姉さんの生活がかかっているかと思えば、顔面にも力が入る。

「それでしたら、特に何も問題は無いのですが・・・。」

「ささ!!どーんと始めちゃってください!!」

嘘を吐くのが苦手な俺の顔面筋肉が、ボロを出してしまう前に。
カウンセリングなんて受けていない事がバレ無い様にもう、
何をされても絶対に驚かずにいないとダメだ。俺はぎゅっと目を閉じ、
覚悟を決めて両手を開いて大の字に寝転んだ。

ふ。・・・と小さな声とほんの少しだけ空気が揺れた気がしたのは、
七条さんが笑ったせいだろうか?だとしたら、受付のお姉さんの首は回避できたってことかな?
ああ、よかったね♪・・・お姉さん。と自分の小さな善業に満足したのもつかの間。
七条さんの言葉が耳元直ぐ近くで聞こえた。

「では伊藤様、カウンセリングも受けられたと言う事ですので、これから施術に入ります。
真のリラクゼーションとは心も身体も解放してこそ得られるものです。
ですから当店ではその為にありとあらゆる技術と努力を惜しみません。
最高級の原材料。最高級の人材と技術をお客様に提供し、究極のリラクゼーションを満喫して頂きます。」

ああ、きっとこの人は自分の仕事に対する高い誇りと自信をもっているのだろう。
滔滔と熱く語る七条さんは、それはそれは恰好よかった。

「ではバスローブをお脱ぎになって、全裸になってください。」

「へ??」

とろりと甘く当然の様に囁かれた声の破壊力に、一瞬、
日本語が上手く理解できない俺がいた。

:::::::::::::::::::::::::::

うう・・・・す・・・スースーするよぅ・・・。

俺にはここへ来て、なんとなく判った事がある。
とにかく、究極とか超一流って本当に凄いんだな・・・ってことだ。
だってさ、ブルジョアジーな方々は他人の前で
すっぽんぽんになっても平気ってことだろ?
海外のビーチなんかで全裸で泳ぐセレブの映像とかよくあるし。
やっぱり、お金に余裕がある人は心にも余裕が生まれるんだろうか?
そんな事、一般ピープル&小心者の俺には到底、全裸なんて無理無理。
・・・のはずだったんだけど。

ああ、こんなことになるなら、あの時、カッコつけるんじゃなかった。
結局、本当はカウンセリングを受けてませんでした!!
・・なんて今更カッコ悪くて言い出せる筈も無く、貧相なアレコレを
憧れの七条さんに公開する事になってしまったのだ。

うう・・・。
人間、「分相応」って言葉を忘れちゃいけないってしみじみ思う。
下着から開放された下半身が、相当心もとない。

俺は、ちょっとだけ脚をモジモジさせてタオルが正しい位置にあるか確認してみた。
だって今、局部を辛うじて覆うのは白いふかふかのタオルだけなんだ。
最後の砦となったソレが殊更白く眩しく見えるのは絶対に気のせいじゃない。
何かの拍子でタオルが肌蹴でもして、中身が見えたらどうしよう?!なんて
ヒヤヒヤしてた俺だけれど、肝心の七条さんはどうやらそんな事、
微塵も気に留めていないようだ。
相変わらず優雅な微笑みを湛えて俺を見てる。
・・・当然か。いつも全裸のセレブ達を相手にしているんだもんな。
俺のこの貧相な身体なんか関心もないんだろうなあ。

・・・。!!って俺、見られたくないのか、見られたいのかどっちなんだっつーの!!
グルグルする心に突っ込みを入れたくなる。

「ああ、思った通り透き通るようなお膚をしてらっしゃる。」

「はへ??」

ほう・・と深いため息をつき、まるで眩しいモノでも見る様にして
目を眇めた七条さんがそこに居た。

「それに肌理がとてもキメ細かい。本当に美しい肌です。」

「え??は???何言ってんですか!!そんなこと!俺なんか全然ですよっ!!」

「・・・いいえ。貴方はとても美しい。」

「/////////////うう。」

俺を見つめたままの七条さんの口から、過ぎた褒め言葉が次々に降り注ぐ。
判ってる。判ってるんだ。これはお世辞だ。社交辞令だ。
だけれど今まで、そんなこと誰にも言われた事が無かったから、正直、
俺はどうしていいか解らなくって、只、ぶんぶんと両手を振って
七条さんのその真っ直ぐ過ぎる紫の視線から目を逸らすのが精いっぱいだった。

「では、伊藤様。初めにお膚の状態を確認させて頂きますね?」

「は・・はい・・・どうぞ宜しくお願いします。」

俺は、すっかりと熱く赤くなってしまったであろう自分の耳を自覚しながら、
ぎゅっと目を瞑ったまま高速で頷いた。

「失礼いたします。」

目を閉じたままの俺の鼻にふわり。といい匂いが掠める。
なんだろう?室内で使われているアロマとはまた違った優しい感じの匂いだ。
ふんわりしたその匂いと一緒に、なんだかひどく頼りなくて少しだけ冷たい何かが
俺の首筋に触れた事に気が付く。
これはなに?機械??それとも指先?
・・違う。もっと柔らかいなにか・・・。

「??」

首筋から胸元へゆっくりとゆっくりとそれは移動していくのだ。
どこかで覚えのあるその感触が脇腹へ移動した時、俺は漸くその感触が何だったのか
はっきりと思い出して、上半身をはね上げた。

「!!!なななな何をなさってるんですかあああああ」

「ふぁひって。おふぁふぁのふぇっふれふふぁ・・・。」(何って。お肌のチェックですが。)

「やっ//////////////ちょ!!唇付けたまま喋んないでくださいっ!!」

そこには、俺に覆いかぶさったままの七条さんが俺の脇腹に口を付けている
・・・と言う衝撃の図があった。
あのいい匂いは多分、イヤ・・・完全に七条さん自身の匂いだった事を知る。

「―――っ・・・おっとと・・・」

わき腹に触れる唇の感触と動揺から、俺は咄嗟に七条さんの身体を突き飛ばしていた。
だって、仕方ないじゃないか!!七条さんの唇が・・・あの唇が・・・

「わ!!ごめんなさいっ・・でも・・あの・・その・・こんな、唇とか・・」

「ああ、いえ。お気になさらず。・・・でも、変ですね?伊藤様は確か、カウンセリングをお受けになったなった筈・・・」

「―――え゛???」

咄嗟の事とはいえ、突き飛ばしてしまった俺を怒るでもなく、七条さんはちょっとだけ
乱れた銀髪を長い指で掻き上げながら不思議そうに言う。

カウンセリング??
え??これってなに??
普通なの??美容サロンってこんな事するの?????

ヒクヒクと自分の口端が激しく引きつってくるのが判る。
俺が受けなかった「カウンセリング」というものには果たして、
どんなビックリ仰天な事実が隠されていたと言うのだろうか?
ああ・・・でも言えない。今更。言えない。
絶対に言えないよおおおおおっ!!

完全にパニックに陥り何も言えなくなっていた俺に、七条さんの静かな声が降ってきた。

「この方法は僕のオリジナルなのです。
僕はこうした方が指先で触れるより、お客様の身体の状態が判るんですよ。」

かなり特殊な方法なので、カウンセリングで了承を頂いたお客様にしか用いらない方法
なのですが・・・やっぱりビックリしちゃいますよね?と言うと
小さなほくろのある方の眼をぱちん。とつぶって小さく俺に笑いかけてくれた。

「・・え・・と・・その・・・」

優しい優しい七条さん。
こんなに優しくて真面目な人に嘘を吐いてしまった俺の良心がきりきりと悲鳴を上げる。
ごめんなさい。七条さん。悪いのは全部俺ですっ!!!
俺・・・もうもうもう何されても一切、抵抗なんかしませんから!!!

この時、固くそう決心した自分を、俺は後から呪う羽目になるのだけれど。



「ああ、では目を閉じずに見ていてください。そうすればいくらかマシかも知れません。」

そう言って七条さんが肌に唇を落として行くのを、俺はただ茫然と見ている事しかできなかった。
視覚から直接脳へ送られる衝撃は半端なく、いくらかマシも何もあったもんじゃない。
コレは何かの拷問なの?拷問だよね??とかと思うほど丸きりさっきの比じゃなかったんだ。

身体が金縛りにあったみたいに動かない。
何かを言いたいのに俺の口はただ、はくはくと短く呼吸を繰り返すだけだ。
やがて、薄くて形のいい唇がゆっくりと俺のわき腹を滑り始めた瞬間、
とうとう我慢できなくなって、ごくりと唾を飲み込んでいた。

「・・・なるほど。」

ふむ。と一つ頷いて、俺の身体中をチェックし終わったらしい七条さんが、
ゆっくりと上体を起こして離れて行くのを俺はただ見送った。

「伊藤様の身体の様子が良く判りました。では・・・」

「え?・・あ・・はい!!」

あの少しだけ冷たくて柔らかな唇の感触と、鼻先に微かに残ったいい香りに浸りきって、
呆けたままの俺に、ふふ。よろしいですか?と綺麗に笑った七条さんは、
装飾の凝ったワゴンに手を伸ばした。
そこには色とりどりの液体が硝子の瓶に入って並んでいて、彼はその中の一つを手に取り、
くるりと器用に片手でその蓋を廻すと、随分と高い位置から細く長く自分の掌に流し落とし始めたのだ。
トロリと重い液が照明にキラキラと反射する。
まるで虹の様に輝くソレは、七条さんの大きくて綺麗な手の中で人肌に温められ、
あっという間に俺の肩口へと塗り広げられて行った。

首筋からリンパ節を辿って胸元へ。
たっぷりのオイルの助けを借りて、一切のぎこちなさも無く
滑らかに走るその長い指先は、的確に俺の老廃物を押し流して行ってくれるんだろう。
ああ、大根一本がこの破格の扱い。
俺ってばホント運だけは良いよなぁ。
わらしべ長者もビックリだ。

快適な温度と湿度に保たれた室内。
BGMは厳選されたヒーリング音楽。
微かに鼻先をくすぐるのは、嫌味の無い爽やかなアロマ。
一流の設備と最高の技術。

ああ・・・・
気持ちいい・・・・
・・・気持ちいいんだけど。

「・・・・・。」

うう。どうしよう。
コレはマズイ。実にマズイ。
七条さんは俺にマッサージをしてくれているだけなのに。
ここは超高級美容サロンなのに。
時間もお金も余裕のある人たちが、ゆったりと極上の時間を愉しむ場所なのに。

なのに・・なのに・・・。俺ったら。
確実に「別な意味」で気持ち良くなりかけて来ちゃってるよ!!

悲しい事に骨の髄まで一般ピープルの俺は、時間もお金も、そんでもってどうやら
心も身体もまったく余裕が無かったらしい。
さっきからリラクゼーションの為に施されるその刺激を、俺の脳はあろうことか、
完全なる性的な快楽へ変換し始めていた。

だから、七条さんの指先が、その・・・俺の乳首擦れ擦れを通る度、
妙な緊張がからだに走っちゃって、非常に困った事態なんだ。
このままじゃ、オイルで滑る指先が間違って乳首をかすりでもしたら確実に
変な声を出しかねない。
ってゆーか出る!!間違いなく出る!!

「・・・。」

でも本当の事を言うと、心のどこかでそれが現実になるのを
期待している自分がいるのを知っていた。
だけれど、そんな風になってしまった俺が彼の目にどう映るのかすごく怖かった。
「サモシイ奴・・・」とそんな風に憧れの七条さんに思われる事だけは、
絶対に絶対に避けたかったのだ。

だからもう俺に残された道は、七条さんがマッサージを終えるのを
ただ、ぎゅっと目を閉じてひたすらに耐えるしかなかったんだ。
俺の必死な祈りがようやく天に通じたのか、七条さんの手が止まった。

うわーん!!終わったあああっ!!
ま・・・マジでヤバかった―――!!

思わず、拳を握りしめそうになった俺だったけれど、素知らぬ顔を決め込んだ。

「・・・ああ、大変申し訳ございません、伊藤様」

「??」

突然、深々と頭を下げる七条さんに、心当たりがコレっぽっちも見つけられない。

「すみません。僕のマッサージが至らなかった様ですね。」

尚も悲壮な面持ちで七条さんが謝る。

「え???充分俺、気持ち良かったですけど?」
・・・うん。ホント。あとちょっとで変な声出しそうになるほど気持良かったですー(涙)

「いいえ、ほら。ここがまだこんなに凝り固まっています・・・。」

ほら、と長い人差し指が指すのを目で追いかけた先。

「・・ふぁ・・・ああん」

????だあああ!!!!!変な声出ちゃいましたーーーーーー!!!
身体に走る甘い衝撃に、俺の口からは勝手に声が上がっていた。

「やっ////////・・ちょ・な・・・なに・・ああぁっ・んふ・・」

「こんなにコリコリになって・・・ああ、お辛いでしょう?
いますぐ解して差し上げますね?僕の全身全霊を込めて!!」

「ちょっ・・全身全霊とかいらない・・・そこは・・・だめっ」

いや、マジでそこはマズイですって!!
ってゆーか、いじったら余計コリコリになりますからああああっ!!

どうして七条さんが俺にこんなことしてるのかサッパリ分からない。
悲鳴を上げた俺を完全無視したまま、七条さんの長い指がせわしなく
弄っているのは紛れも無く俺の乳首だった。
そこを容赦なく摘んでは引き上げられる。
ぐにぐに・・・とリズミカルに繰り返されたと思えば、オイルで先端だけを
つるつると焦らす様に滑べらせたりして。
今、まさに本当の意味で俺の乳首は揉みほぐされているのだ。

「やぁ・・・だめぇ・・・しちじょお・・・さ・・・あん」

混乱した頭のまま、今すぐに止めて欲しくて俺は七条さんへと腕を伸ばしたけれど、
それは彼の大きな手で、そっと優しくいなされる羽目になる。
俺は、猛烈にたじろいでいた。
七条さんのその一点の曇りも無く爽やかで、美しい笑顔に。
やっぱり、これマッサージなのかな??
エステってこんなことまでするの??
だとしたら・・・、
だとしたらマジでこんなの耐えられないんですけどっ!!(性的な意味で)

次の動きが全く予想もできないまま、電流の様な刺激が腰椎を直撃してくる。
その所為で俺はもう、馬鹿みたいに体をビクビクとさせる事しか出来ない。
せめて俺はこれ以上変な声を上げないよう、唇を強く噛み締めた。

ああ、マッサージでこんなになっちゃうなんて。
絶対に変な奴だって思われてる。
七条さんには、七条さんだけにはこんな俺、見られたくなかったのにいいいい。

「ああ、伊藤様泣かないでください。」

「・・・へう・・・ううっ??・・・」

気が付けば情けない事に、いつの間にか頬を伝っていた涙を
七条さんが優しく拭ってくれていた。

「感じるままに、それを認めるのです。」

「ふっ・・へぐ・・・??」

蕩ける様な紫の瞳が俺を映している。

「気持が良いなら、気持が良いと・・・
伊藤様。どうか恥ずかしがらずにご自分を解放してください?」

だけど、甘い声で優しく俺を諭す様に説明する七条さんの手は
絶対に休むことをしなかった。
強く弱く、俺の乳首を変わらず刺激し続けてる。

「――っん・・・か・・・いほう??」

「そうです。これは究極のリラクゼーションへの近道なのです。
大丈夫。此処には僕だけしかいませんから、どうか安心してご自分を解放して下さい。」

ね?と小首を傾げた七条さんの顔が凄く近くて、その甘い匂いにクラクラする。

「・・・う・・・っふっ・・・うう・・・」

あなたの、声を聞かせてください・・・
と、まるで睦言の様に耳元で囁かれ、また強く乳首をぎゅっと摘まれれば、
俺の中で何かが、ぱちん・・と弾ける音がした。

そうかぁ。
・・究極のリラクゼーションてぇ・・・すごいんだなぁ・・・

「ぁああん・・・。俺えぇ・・・がん・・・ばりまぁす。」

甘くて狂おしい感覚の中に俺の思考が簡単に呑み込まれていった。
だから七条さんがその時、一体どんな顔で笑っていたのか。
俺には知る由も無かったんだ。



臣さんのウソツキーーーー(笑)

って事で、続きは裏ブログへ・・・。

*Edit ▽TB[0]▽CO[0]

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。