ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話・番外編


悠遠夜話・番外編~王様の話~:::初月の消える頃(中):::

2013.10.07  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

このお話は悠遠夜話設定(王×啓)のお話になります。
完全パラレルなのでご注意ください。
そんなのぜんぜんOK
ばっちこーーーいなお嬢様のみお進みくださいませー






初月の消える頃 ~中~






遠くで音が聞こえる。
ゆあん。ゆあん・・・。と鳴るそれは潮騒のようにも、風のうねりのようにも聞こえた。

「・・・気が付きましたか・・・」

「・・・んぁ?」

大丈夫ですか・・・。そういって自分を覗き込む空色の瞳に
丹羽は答える事をしないまま、ただその酷く不安げな顔をぼんやりと眺める。
抱えていた琵琶をそっと脇に置き、啓太がこちらへと体を向き直す所を見れば、
どうやらこれは夢でないらしいと安堵すると同時に
さっき聞こえていた音が、啓太の爪弾く琵琶だった事に気が付いて
自分は一体、どれだけの間気絶していたのかと酷く居た堪れなくなった。

「別に・・・。大した事はねえよ。」

ぼそりと言った丹羽は、これ以上自分の顔を見られまいと啓太から顔を逸らした。
肉体も精神もとっくに限界を迎えた極限状態にあって尚、想い人の前だけでは
なんとか格好つけていたかったのだ。
それが虚勢と言う名の馬鹿な矜持だったとしても。

「まさかあんたが・・・あんな風に簡単に倒れるとは思わなくて・・・」

「・・・俺だって・・・色々あんだよ・・・」

向こうを向いたままブツクサと言う丹羽に、恐る恐る啓太の指先が伸ばされた。
未だ赤みが残る鼻先を掠めたその手は丹羽の体温よりかなり低く、
ひんやりと優しくて、今度ばかりは観念したように丹羽は目を閉じた。


穏やかな沈黙が二人を包み、深海に再び静寂が訪れる・・・
かと思われたが、そんな筈は到底有りえない。
一切の初期動作なしにガバっ!!と上半身を跳ね上げた丹羽が
啓太の肩を掴んで前後に大きく揺さぶりだしたのだ。

「ってか・・お前!!何で??何でここに居るっ??」

丹羽的には大層不本意だが、卒倒し眠った事によって、幾分体力が回復したらしい。
消耗の極みをたどる身体と心では、唯一残った直感で行動する他なかったが、
今は少しばかり正常な思考が戻りつつある。
ついうっかりと肝心な事を忘れてしまっていたが、此処は紛れもなく仙界なのだ。
しかも深海にある青竜の聖域と言うオマケつき。
許された者以外、足を踏み入れる事が出来ないこの場所に何故
人間である筈の啓太がいるのか。
しかもご丁寧に花嫁衣装を纏って、だ。丹羽が聞きたいことは、ごまんとあった。

「あー・・・えーっと・・・その・・・」

真っ直ぐに自分を見つめる生気の戻った黒曜石の瞳に、今度は啓太が目を逸らす番だった。
小さく口を尖らせて、かなり歯切れ悪く言う啓太ではあったが
モソモソと話し出した所を見れば、どうやら隠す気はないらしい。

「だって・・・おばあ様が・・・」

「???おばあさま?・・・」

一瞬、その尖らせた小さな紅い唇が、あまりに可愛らしくて
もう吸い付いて好き勝手してやろうかという衝動に駆られた丹羽だったけれど、
想い人の発した言葉をおうむ返しにした途端、手足が勝手に硬直してしまった。
聞き覚えのある高笑いが辺りに響いたような気さえして、とてつもなく悪い予感がする。

「おばあ様が・・・あんたに嫁げと・・・」

「ちょ・・・何??・・・・・なんだって???」

「我が族長・・西王母から、青竜の総領息子へ嫁ぐようにと命が下りました。」

「??・・・っはあああああああああああああああああああああああああ???
って事は????あのババアの孫ってお前の事―――――――???」

「ババアって・・はは。・・・まあ、そうなります。」

えーっとなんか、すみません・・・。と眉を八の字にした啓太が
心底申し訳なさそうな顔をするのを見れば、ついに丹羽は
ぐおおおおっ・・・と奇声を発しながらそこら辺を転げ回り始めた。

それを見た啓太はといえば、弱冠、口端が引きつり気味ではあるが
どうやら本当に伝えるべき真実を知っているらしく
丹羽が落ち着くのを辛抱強く待つつもりらしい。
物言わず、ただ静かに寄り添うように待ったのはいつだって尊大な自信に溢れたこの男が、
あまりにくたびれ、やつれ果てていたせいかもしれない。

「・・・。」

ひとしきり悶絶しつくした丹羽は、さすがに疲れたのか、
地べたに突っ伏した恰好のまま、全く動こうとしなくなった。


やがて、どれくらい経っただろう。
ずっとうつ伏せただった大きな背中が動き、ゆっくりと起き上がる丹羽を
覗き見た啓太が、小さく ひっ!!と悲鳴を上げた。

「ええ???ちょ!!・・・だ、大丈夫??ですか・・・」

啓太が青くなるのも無理はない。
衝撃の事実を知り、顔を上げた丹羽が落胆の色に染まっている事はあっても
まさかこんな風に笑み崩れている等とは思いもよらなかったのだ。
これはいよいよ無理が祟り、ついに最悪の事態が??と焦る啓太を脇にして、
幽鬼のようにふらりと立ち上がった丹羽は、くつくつと声まで上げて笑い出した。
蒼白になる啓太の視線と、忘我の域を彷徨う丹羽の視線がぶつかったその時。

「・・・なあ、啓太。・・・」

「な・・・なんです?」

ゴクリと生唾を飲み込んで啓太は言葉を待った。
ふわふわとまるで視点が定まらないこの男がついに、『お花畑が見える・・・』とか
言い出したらもう本当にどうしようかと唇を噛み締めた啓太だったけれど
何故だか急に、モジモジとして恥ずかしそうに問うてきた丹羽の言葉に
盛大によろめく羽目になった。

「俺のとこに嫁に来たって事はよ・・・、その・・・俺の事好きになったって事だよな?」

「はぁ!?」

そっちかよっ!!??と、盛大に消沈する啓太の事などお構いなしに、
丹羽は子供のように目を輝かせ、嬉々として答えを待っている。

「・・・なあ?そうなのか?そうなんだろ?」

「あ・・・あんたは、なんでそう明け透けに・・・」

でれでれとした満面の笑顔と荒い鼻息が、酷く鬱陶しい。

「え~??なあなあ・・・そうなんだろ?うん、って言えよ!啓太ぁ」

じりじりとにじり寄る丹羽に完全に間合いを詰められ、
自然、あこや貝の奥へと追い詰められてしまった啓太は
とうとうどうする事も出来なくなったらしく、「ちっ!!違いますよ!!馬鹿!!」と
大声で叫ぶと、そっぽを向いてしまった。

丹羽に視線を合わせないまま「本当に!あんたときたら、下品で助平で
繊細さの欠片もないんだから!あーもう心配して損した!!」と、
ぷりぷりとし続ける啓太のその耳はどうしてか真っ赤だ。

「へ??なんで???だってお前、俺の嫁になりに来たんだろう??」

何の根拠もないクセに、またしても至極当然だろうとばかりに言う丹羽の一言に、
啓太のこめかみに血管がびきびきと浮き上がる。

「・・・し・・・仕返しに・・」

「は?」

「そ・・そう!!俺は仕返しに来たんですよ!!あんなやられっぱなしで済むわけない!!
俺だって・・・俺だってこんな出来損ないだけど・・・崑崙山の西王母の孫なんだっ!!
あんなやられっぱなしで、ハイ!さようならだなんて許せなかった!!あんたは
いつだって俺の意思なんか無視で・・・俺だって・・おれだって」

びしり!と丹羽を指さして一息に捲し立てた啓太は、ぜーはーと荒げた息を整えながら、
やがてブツブツと、俺だって、俺だって・・・と呪文のように繰り返し始めた。
そして突然、丹羽へと飛びかかると勢いよくその巨体を押し倒してしまったのだ。

「おわっ!?な??なんだぁ???」

身に降りかかった事態が呑み込めず、目を白黒していた丹羽だったけれど
引き千切られるようにして開かれて行く己の衣の袷と、
俺だって男だ!!やる時はやる!!やってやるぅぅ!!と
鼻先で息巻く啓太の鬼気迫る形相を見れば、
何となくこの先の展開が見えてきて、激しく口端が引きつりだす。

「ちょ・・待て・・おい・・落ち着けって!!啓太!!」

(げーーーーーーーーっ!!俺ってば・・・突っ込まれる方??)
やはり、同性として征服される側より、征服する側の方が良いという事ぐらい
充分理解できる。
それに愛する人の望みは、出来うる限り何でも叶えてやりたいと思っては、いる。
だけれど、いかんせんこればかりはどうかと思う。
そう多分。・・・いや絶対に、人には向き不向きと言うものがあるのだ。

確かに自分の腹に跨ったまま、衣を剥ぐのに夢中になっている愛しい人を眺めるのは
なかなかに悪くはない気分だ。
だけれど、これはどうも雲行きが怪しすぎる。

(ち、力が・・・・全っ然っ、入んねええええ!!!!)

どうやら先刻、感情に任せて転げまわったのが相当効いているらしい。
これでは啓太を払いのける事も、ましてやこの場から逃げ出すことも不可能だった。

(やべぇ!!マジでやべぇ!!このままじゃ、俺が嫁になっちまうっ!!)

儀式用の複雑な衣が一つ、また一つと剥ぎ取られる度、丹羽の額には同じだけ脂汗が浮いてくる。

『戦闘時においては最後の最後まで余力を残しておけ』と、昔、父親に散々っぱら
言われた事が不意に頭をよぎった。ああ、やっぱ、学問って大事なんだなー・・・と、
今更、場違いな反省をする丹羽に、とうとう最後通告が下された。

頼みの綱であった複雑な組紐がいとも簡単に外されて、
その引き締まった腹筋が、剥きだしになってしまったのだ。

見事な隆起へそっと手を添えた啓太が、伸し掛かってくるのが見えた時
成す術の無い丹羽はついに、諦めと自棄と多大なる後悔の中でゆっくりとその目を閉じた。




え?まさかの・・・リバ??(笑)







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