ええ。小心者ですから・・・。

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天色恋々歌(あまいろれんれんか)


天色恋々歌 ◆壱の巻◆

2013.11.13  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

こちらは臣×啓太の完全パラレルになります。
もはや本家のかけらも存在しません。
本当に申し訳ない設定になっておりますので、
なんでもOK!!ばっちこーーーーーーい!!なお嬢様のみお進みください




天色恋々歌(あまいろれんれんか)
◆壱の巻◆











「・・・・で?気が付けば自分の屋敷の前に立っていたと?」

「・・ええ郁。 ですから、さっきから何度同じ事を言えばいいんですか?」

「・・・・おまえ・・今日の日付を言えるか?」

「・・はあ。・・」

「っ!!気の抜けた返事をするんじゃないっ!ひと月も一体どこを
ほっつき歩いていたんだっ!・・納得できるように説明しろっ!!」

「・・・はあ・・・それが僕にもさっぱりで・・・」

「・・おおおおおおおみいいいいいいい・・」

目の前に立つ長身の相棒の間抜けな返答に、ギリギリと歯ぎしりをして
薄桃色の柔らかな髪を猫の様に総毛立たせたその人・・・
西園寺 郁は怒りにその顔を盛大に歪ませても尚、美しかった。

優美に着飾り、物も言わずに只座っていれば、
まるで傾国の美女と言わしめんばかりの美貌を持った彼は今、
大層残念な事に、濃紺の厳めしい軍服にその身を包んでいる。
高く息苦しげな詰襟の向こうへ、そのすべらかな白い肌を閉じ込めて。


西園寺は今、幼馴染でもあり同僚でもある七条臣と対峙していた。
わなわなと華奢な肩を震わせながら、鬼の様な形相で軍刀を抜刀しているのだ。
さっきからその鋭利な切っ先は、西園寺の目線のわずか上にある
七条の鼻先へと向けられたまま、ぴたりと止まっている。
その突き付けた切っ先が、カタカタと小刻みに揺れているのは
怒りだけから来るものではない事は確かだ。

西園寺郁は、時に奇妙な言動を発し、万人が著しく理解に苦しむ行動をとる
この風変わりな男の唯一の友人である事を自身で充分に自覚していた。
例え交わす言葉は少なくとも、信頼し合い、
もう随分と長い間互いの命と背中を預け合ってきたのだ。だから、いくら何でも
それらをあえて口に出して、語ってやらずとも判りあえている筈だと信じていた。
嗚呼、だがしかし、それはもしかすると見当違いだったのかもしれない。

「・・・貴様と言う奴は・・・・」

そう一言漏らした西園寺は、額に青筋を浮かべたまま、
さっきより更に奥歯をキツク噛み締めたのだった。







彼は由緒正しき血筋を連綿と受け継ぐ西園寺家の次期当主でありながら、
軍に所属し、第一線へその身を置いている。
第一線で彼が負う任務・・・それは対妖し専門の特殊任務であった。

妖しと人の国交が正常化したのは、つい最近だ。
本格的な開戦には至らないものの、なにかと小さな諍いが絶えず、
常に緊張状態にあった両国にようやく正式な条約が結ばれ、
歩みを共にし、双方が互いを理解しようと努力を始めたのがほんの10年前。
とはいえ、無法者や厄介者と呼ばれる者はどの世界にも例外無くいるもので
それが人外であれば厄介な事この上なく、この責を一手に任せられているのが、
西園寺や七条の所属する軍の特殊省という訳だ。

正常化以前ならば、自国の法で好き勝手に裁く事もあったが、
和平条約が締結、国交が成立した今は違う。
罪人の身柄は両国の協定に則って、相手方の法によって裁かれるのが通例だ。
西園寺や七条の所属する軍直属の特別省によって日々、
粛々と人界に仇成した妖の者達は捕縛され、妖界まで護送されている。

だがしかし、単に捕縛と護送と言ってもなかなか安易では無い。
妖しの中には人間より、ずっと強大な力を秘めているモノがいるのだ。
先ごろ、臣を道連れにして弾け飛んだ化け物のように、
突如暴走し、全く手の付けようがなくなってしまう事例が少なからずあるのだ。

妖が暴走し始めたら最後、説得しようにも、もはや人語は解さず、妖力も爆発的に飛躍する。
仮にそれが市街地にでも迷い込んだなら、物にも人にも甚大な被害がもたらされることになる。
流された血は恐怖と憎悪を呼び、それはようやくもたらされた両国の友好的な関係に
大きな亀裂を生みかねない為、軍内部の精鋭のみで、その省の人員は構成されているのだ。

長い冷戦状態で培った妖魔との交戦方法は、時を経て今は治安と自衛の手段として
用いられることになり、この省の存在によって両国の和平は保たれていると言っても
過言ではない。

そして、この特異性と危険性を多大にはらんだ任務を担う特別省にあって尚、
二人の報告書にはいつだって、たった一つの不名誉も記された事はなかった。

どんな厄介な任務でも西園寺の明晰なる頭脳と高度な技術が、罪人の「枷」となり
七条の持つ退魔の力を擁す長刀が「盾」となり「矛」となって二人の身を守ってきた。
この二人に与えられた任務は、常に完全完璧に遂行されてきたのだ。


失敗など有りえない――――

いつの間にか、そんなおごりが心のどこかに生まれてしまったのかもしれない。
そうでなければあの夜。 
この喉が裂けるほどに相棒の名を叫ぶ事は無かったのだから。



あの夜。
あろう事か銀髪の相棒は目の前で、化け物と共に爆風に飲まれ
その後の必死の捜索でも髪の毛一本、階級章一つ見当たらなかった。
葬儀の日に静かに微笑む紫色の瞳の遺影の前で、自分の未熟さをひたすらに呪い、
胸を引き裂かれる思いで棺桶を同僚と共に肩に担ぎあげた。
空である筈の棺桶は、この肩に重く圧し掛かり、食い込んで
葬送の列は永遠とも思えるほどに長く長く感じられた。

夜毎、後悔の念に苛まれ、漏れ出る嗚咽と頬を伝う涙とを
歯を喰いしばって朝まで堪える日が幾日も続いた。
だがしかし、いつまでも臥している訳にもいかず
弛緩しそうになる体に無理やりに喝を入れ、人前に顔を晒し始めた矢先。
任務の特異性から、そろそろ後任者を選ぶようにと上層部から催促された。
凄まじい喪失感の中、いっそこれはもう退役届を書こうか・・・と
考えあぐねていた所へ、その驚くべき知らせが届いたのだ。
「七条臣が還って来た」と。



西園寺は、常に平常心を心がけてる。
心を乱されては、冷静な判断が出来ず任務を全う出来ないばかりか
充分に呪術を練る事叶わず、命を落としかねないからだ。
生来、短気な方であったけれど、努力と精神力で欠点を克服し 
今では、少々のことで気を散らす様な事は殆んど無くなっていた。

だがしかし、その報を受けた途端、気ばかりが急いて
上手く身体が前に進まなくなった。 
もつれる足に転びそうになりながら廊下を走り抜け、
蹴破る様にして開けた七条家の屋敷の扉の向こう。 

そこには・・・ 
もう先に逝ってしまったと思っていた相棒が、ゆったりとソファに座り、
大層呑気に茶なんぞをすすっているではないか。

西園寺は、常に平常心を心がけてる。
だがしかし、何事にも、限度というものがあるのだ。

「おや?郁・・いらっしゃい。あなたも一杯いかがです?」

カップから上がる芳しい湯気の向こう、にっこりとほほ笑んだ 
その大層胡散臭い笑顔をみたその瞬間、ぶちり・・・と確かに体内で切れる音がして 
いつの間にか腰の軍刀を閃光のごとく抜刀していたのだ。

「・・・郁。危ないですよ?」

「黙れ!!私の質問に答えんかっ!!」

「郁ぅ・・・。」

「ふふふ・・まあまあ。西園寺君・・それ位で許してやってはもらえないかい?」

突然の声に驚き、弾けるように背後を振り向いた西園寺の目線の先には、
この家の主である七条の父親が立っていた。

七条の父親である彼は、物騒にも剥き身の軍刀を鼻先に付きつけられる
息子の姿を目にしても、いっかな気にする様子は無いようだ。
それどころか、小さなホクロがある口角をゆっくりと上げ、
こと穏やかな仕草で西園寺に、席へ座る様にと勧めたのだった。

珍しく慌てふためく西園寺を、まるきり無視したままその人は、
音も無く開けた扉を後ろ手に閉めると、コツコツと皮靴を鳴らしながら、
対峙する二人の真ん中を通り抜け、目的の場所であるソファへとたどり着き深く腰をかけた。

「!!こ・・これは中将殿・・失礼いたしました。」

固い金属音をさせ、軍刀を鞘に素早く戻した西園寺は
両の踵をカチリと合わせ、すぐさま直立の姿勢を取ろうと顎を引きかけた。
だが西園寺より早く、この家の主はそれをいなす様にして軽く頭を振って見せる。

「まあまあ・・堅苦しい挨拶は抜きで頼むよ。それよりお父上は壮健で居らっしゃるかい?」

余す様にして長い脚を組んだこの家の主は、にこりと微笑んだ。

息子と同じ見事な銀髪に、整った目鼻立ち。
細身だけれど、鞭のようにしなやかで彫像のようにその美しい長身には
中世辺りの煌びやかな衣装が映えそうではあったが、
今、彼のその体を包むのは西園寺と同じ濃紺の軍服だった。
ただ、西園寺のそれと違っていたのは肩口と詰襟、そして胸元に光る小さな星の数と
無数の揺れる記章だった。

「・・ええ・・お陰さまで。今度は両政府との大きな仕事に取り組むらしいと・・」

西園寺は大層バツが悪そうに、直立不動の姿勢をとったまま流れる様な社交の辞を述べた。
美しく凛と伸ばされたその背筋は、脈々と受け継がれる高貴な血統を他人に無言で知らしめる。
彼は、挨拶が終わるそのわずかな時間に驚異的な精神力で、
遠く離れていた自分の平常心を、無理やりに引きずり戻すことに成功し、
上司の命に従って、静かにソファへと腰を降ろしたのだった。

「うんうん・・何より何より。近々お屋敷へお伺いする事になるかも知れないと
お父上にお伝え願うよ。・・・ところで臣。身体はもうすっかりいいのかい?」

「・・良いも何も・・・頭の先からつま先までこの通り。かすり傷一つないと
最初から言ってるじゃないですか・・・」

友人の鬼気迫る尋問からやっと解放され、再び呑気に茶器へと手を伸ばした七条が、
父親の質問に眼を合わせようともせず、ぶつぶつと言う。

「臣!・・何て言い草だ・・お父上に失礼だろう?」

明らかに面倒くさそうな臣のその態度に、すかさず西園寺が勢いよく立ちあがり、
その美しい指先をびしりと鼻先へと突き出した。

「失礼なのはどっちですか。人を化け物扱いして・・・
なんてったって、この人は僕を薙ぎ払おうとしたんですからね。」

「・・・いやー・・ははは・・面目ない・・コレが無かったら危なかったよ。」

ポリポリと頭を掻きながら、自分の背後の壁にかけてある長刀を振り返り
これこれ、と、指さしてにこやかに微笑している様は、
まるで文学者の様な物言いだったが内容は物騒極まりない。

七条の父親の視線の先。
そこには一振りの見事な日本刀が掛けられていた。
壁に掛けられ、その刀身を質素な黒塗りの鞘へと静かに納めているように見えるが、
その有り余る力の所為か時折、陽炎が上る様な独特の気配を辺りへと放出させている。

七条家に代々伝わる名刀「蒼月」。
それは剥き身にすれば、実に成人男性の身の丈ほどもある長刀だ。
刃波は焔を纏ったような猛々しさと、ぬめる様な輝きを併せ持ち、
一振りで妖魔を殲滅させる力を擁する。

この長刀は遠い昔、七条家の祖であると言われている高名な祓い屋が
強大な妖魔の血で鍛えたと伝わる、この世に二つと無い、真実、恐ろしくも美しい名刀であった。

「ねぇ?郁・・・酷いでしょう?」

はあ・・と一つ嘆息を漏らし、心底悲しそうな顔をして
落胆の表情を作った七条だったが、西園寺には通用する筈も無い。

「いや・・。無理も無い。お前は死んだと思って葬儀もとっくに終わってるんだ。
・・私も迷わずそうするな。」

「うーん・・・二人とも見事に人でなしですねえ・・・」

「ふん。そもそもお前が行方知れずになったのが悪いのだ。
本当に何も覚えていないのか?」

「ええ・・気が付いたら『蒼月』を握って屋敷の前に立っていましたし。」

「・・ふむ・・かすり傷一つ見当たらず 記憶は一切なし・・・特に不穏な妖気も感じられない
・・とすれば・・・うちの息子は桃源郷にでも行って来たのかな~」

「・・・!?」

「どうかしたかい?」

今何か、酷く気にかかる言葉があった様な気がしたのは錯覚だろうか?

「あぁ・・・・いえ・・何も・・」

うわの空で答えを返し、さっきの父の言葉を丸ごと反芻してみる。
臣は行方不明になっていた期間、自分が一体どこで何をしていたのか 
さっぱり思い出せないでいたのだ。
それはまるで、誰かに意図的に記憶を消去された様で、全くもって居心地悪い事この上ない。
すっかりと霞のかかったようなその部分に、どうしても忘れてはいけない
何かが隠されている様な気がして、必死に思い出そうとするのだけれど、
白く白く塗りつぶされた記憶からは、何も拾い上げる事は出来なくて、焦燥と腹立だしさだけが残る。

「ああ・・そう言えば臣・・君の婚約者が決まったよ?」

「あ・・そうですか。」

深く思考に沈む息子に向かって、ぽつりと父親が告げた。
その物言いは、まるで晩餐のメニューを伝えるかの如く気軽で唐突だった為に
臣は迂闊にもこくり。と簡単に頷きそうになって、危うく手元のカップを離しかけた。

「って!?ええ???・・・」

「ふふ。おめでとう!君もいよいよ世帯主かな?嬉しいかい?」

「・・また訳のわからない事を・・眼を開けたまま寝言を言うのは止めてください」

「んふふ・・照れちゃって・・存外、君もウブなんだ・・・」

「―――っ!!エリック!」

がちゃり!!と珍しく感情的にテーブルの上へと茶器を置く息子に、
ほんの少しだけ驚きで見開かれた紫色の瞳は、やがてすぐに眇められた。

「もう・・臣ったら~。パパと呼びなさいと言っているだろう・・」

その瞳は、臣とまるきり同じ美しい菫色だ。
だがしかし七条臣の実の父親であり上司でもあるその男の真意は、
いつだってその息子以上に計り知れないものだった。


ここまで読んで下さってありがとうございました。
美形男子が軍服!!眼福!!満腹ーーーーーーーっ!!
(上記、ラップ風味でお願いします♪)(笑)




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