ええ。小心者ですから・・・。

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天色恋々歌(あまいろれんれんか)


天色恋々歌◆伍の巻◆

2014.09.08  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

※※※※すーみーまーせーんー※※※※

今回は臣を取り巻く職場同僚顔無しモブさんたちのお話が主に入ってます。
・・・はあ??なにやってんだ~じゅえる(-"-)
しょうがないなあ~付き合ってやるか~
・・・と言う寛大なお嬢様のみお進みくださいませ。



OK???




ではではどうぞ・・・。





天色恋々歌(あまいろれんれんか)◆伍の巻◆



さっきまでの喧騒は一体、何処へいってしまったのだろうか。
ざわついていたその部屋はいつの間にか不思議な静寂に包まれていた。
一見、静かに始業の時を待つ模範的な姿に見えなくもないが、
実の所それは大層間違った認識だ。

すでに尖っている鉛筆を更に削りなおしたりする者、意味もなく分厚い資料を
出したり入れたりする者等々、よく見れば彼らの行動は全くもって無意味そのものなのだ。
ちなみに彼らに注意を促す立場の上長でさえ、さっきから同じ書類に
繰り返し決済印を押し続けている。

時刻は午前7時44分。
それは「帝都直属第三近衛部隊」に所属する全ての者の緊張が頂点に達する時である。
あと少し、あともう少しであの扉は開かれるのだ。
きっと今日も彼は、始業時間のキッカリ15分前に登庁するだろう。

(っっ!!来たああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!)

時間通りに開かれた扉の向こう側に、最近転属してきたばかりの
新しい同僚のその姿を見つけた彼らは、
喉元まで出かかった大絶叫をゴクリ、と呑み込んだ。
そして今日も今日とて懸命に平静を装い、何食わぬ顔で挨拶をするのだ。


夜空の星屑を集めたような銀髪は、さらさらと風に揺れて(いるような気がする)
その髪の毛と、同じ色の長い睫毛に縁どられた美しい菫色の瞳は
憂いを帯びて濡れている。(ように見える)
余すほど長い手足も、柔らかな物腰も、
まるでお伽噺の貴公子のよう(に見え・・・以下略)

だけれど、その濃紺の軍服を内側から押し上げる
鍛え抜かれた筋組織は、軟弱な貴公子のそれではない事を皆は知っている。


実際この目にした事は無いけれど、何代も続く著名な祓い屋の血をひくと言う彼は、
身の丈ほどもある長刀を自在に操って魔を祓うのを得意とし、
その腕はもちろん超一級だと伝え聞く。

あの稀代の天才呪術師、西園寺郁の相方として第一線に在り、
華々しい経歴を残していたその彼が、ほんの数か月前には
任務遂行中に爆風に呑み込まれ、殉職扱いとされた事は記憶に新しい。

だがしかし一転、奇跡の生還を遂げ周囲を大いに驚かせたかと思えば、
いやはや今度は、妖界の選ばれた花婿としてその名を政府関係者中に知らしめ・・・。
・・・なんて事は軍に所属する者ならば誰だって知っている事だった。

そんな超有名人が自分たちの部署に配属されるのだと知った時は
皆、一様に驚嘆し、そして同時に酷く落胆したものだ。

何故ってそれは当然だろう。
軍の精鋭部隊に所属し、第一線で華々しく活躍。
その上、容姿端麗で、頭脳明晰。
なるべくして「選ばれた人物」となった彼は
今回の話が滞りなく進めば当然、政府の要人となる身分なのだ。
苦労して汗水を流さなくとも、全く何ら支障はない。
と言うか、勤労さえも必要としない彼が、なぜ今回
平凡なこの部署に配属されたのかさえ、皆の同様の疑問だった。
だからきっと彼は何かしらの理由をつけ、顔を出す事さえしないだろう・・・
と、大方が予想し、その着任日の事などは、すっかりと忘れてしまっていた位だ。
その為、着任日当日きっちりと時間通り当庁した彼の姿を見て
皆はこの上なく仰天したのだった。


::::::::::::::::::::::

「おはようございます。」

「ああ、おはよう七条君。」

「どうだい?仕事は慣れたかい?」

「はい。おかげさまで。」

「すまないが、この書類を至急で頼むよ。」

「判りました。では30分後に・・・」

「ああ、七条君。すまないがこちらも・・・。」

「はい。」

午前8時。
始業開始のラッパが省内に鳴り響くと同時に、部内のいたる所から
新しく配属された彼を呼ぶ声が上がる。

配属当初、数々の武勇伝を誇る彼の事を
先入観からか相当に警戒していた事がまるで嘘のようだ。
軍切っての有名人は、実に美麗で実に腰の低い好青年だったのだ。
その上、己の経歴を一切鼻にかける様子もなく、
雑多で多岐に渡るこの部署に対してもすぐに適応し、
文句の一つも言う事無く、手際よく正確に仕事をこなしている。

本当に彼の一挙手一投足には一切の無駄がなく、
その様はまるで、流れ行く水の様に静かで美しかったから
真に優秀な人間と言うものは、どうやら何をやっても完璧にこなせるらしいと、
彼が何かをする度に、皆はいちいち顔を寄せ、ひそひそと嬉しそうに頷き合った。

『嗚呼、本っっ当に今日も七条君はこの上なく麗しい!!!』

渦中の人物以外の全員が、心の中でぐっと拳を握りしめた「帝都直属第三近衛部隊」は
今日も今日とて必要以上に士気高く、一種独特の高揚した空気に包まれたまま、
山積みにされた業務を秒速でこなしていくのだった。



::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

パコパコと一定の速度を刻む蹄の音が、石畳の路地へと呑気に響く。
麗らかな午後の日差しをたっぷりと浴びる街は、本日も実に平和であった。

手入れの行き届いた長い尾を、ゆったりと左右に振り振り馬は行く。
忠誠心と義務感にめっぽう秀でた彼らだから、あえて綱を強く引かなくとも
決められた道筋を沿い、完璧に歩を進めてくれるから乗り手としては実に気楽なものだ。

五月の爽やかな風が、臣の頬をかすめて渡って行く。
揺れる道端の菖蒲の蕾は日に日に大きくなり、
見上げた木々の若葉も一層勢いを増して影を濃くして来た。

もうすぐ雨の季節がやってくる。
嗚呼、季節は確実に移り変わっているのだ・・・。
そう思えば、なんだか自分だけが取り残されたような気がして臣は
深い溜息を一つ吐き、また少し制帽を目深に被った。

そんな、何時にない乗り手の感傷的な気配を悟ったのか、
ハミをもぐもぐと噛み直した馬は、臣の方を少しばかり振り返り、
ブルル・・・と、いなないてみせる。

「・・・?」

『どうした?しっかりしろ。今は勤務中なのだ』と言わんばかりのその仕草は
何処となく上長の風格さえ感じ、臣は小さく笑いを漏らし
艶やかなたてがみを、そっと撫でさすってやるのだった。



突如降って湧いた大層理不尽な縁談話に、神経をすり減らしたかと思えば、
長く務めた部署からの転属を、二階級特進のおまけつきで言い渡された。

「帝都直属第三近衛部隊への転属を命じる」
そう記された辞令を、きつく握りしめる臣の手が小刻みに震えていた。

妖界と人界の和平締結後、政府内に設立された比較的新しい機関であるその部署が
流血沙汰を嫌う金持ちの子息や、知識ばかりで実戦経験のほとんど無い
高級官僚の子息達の為、わざわざ受け皿的に作られた組織であり、
軍内部では「省内の出先機関」と公然と揶揄される部署である事を思い出したからだ。

危険に晒されることが皆無の部署への転属と、与えられた二階級特進は
まさしく今回の縁談話の為にあてがわれたモノだろう。
何となく覚悟はしていたものの、こうもあからさまだと流石に眩暈を覚える。

だけれど、口端を引きつらせたまま立ちつくす自分を見つけた幼馴染の顔は、
どうしてかニコニコと上機嫌だ。
そして眉根を寄せ不快感を露わにする臣とは対照的に、
彼は顎を上げ不遜に言い切ったのだ。

「ふん。二階級特進は当たり前だろう?お前は一度死んでいるんだからな。
それに地位とは何かと便利だぞ?くれると言うなら黙って貰っておけ。いずれ何かの役に立つ。」

ふふ・・・と、妖艶に笑うその背後に、立ち昇るどす黒い何かを感じた臣は、
嗚呼、そう言えば自分の幼馴染はこういう人だったのだと
改めて思い知らされて二の句が継げず、ただ、天井を仰ぐしか出来なかった。

もうどうしようもなく、己の身に降りかかる何もかもが面倒になり、
いっそ、長期の休暇を申請してしまおうかという考えが頭をよぎったが
悲しいかな彼の場合、無駄に高い矜持と相当に捻くれた性格がそれを良しとはしなかった。
かくして、大方の予想を大いに裏切った妖界の花婿は
拝命翌日からきっちりと登庁し、周囲を大いに驚かせたのであった。



午前中に書類整理や窓口業務をこなし、午後からは当番制で省庁周辺の警邏にあたる。
帝都直轄部署と名打っていても、その執務内容はごく平和的なものばかりで
人界に移住している一般の妖と、それを取り巻く人界の市民相手の業務のみに特化されていた。

だがしかし、危険に晒されることが無い反面
その内容は、実に変化に富み、雑多で煩雑な案件が山盛りだった。

例えば妖と人間夫婦の喧嘩の仲裁やら、迷子の世話。
挙句、軒下に出来た妖蜂の巣の撤去作業等々、ありとあらゆる案件を請け負うこの部署は
もはや町の駐在所か、便利屋の呈と言った感じで、朝から晩まで騒がしい事この上ない。

だが、朝の7時45分に登庁して、運よく規定の職務を全うさえすれば、
定時である17時には帰途につけるのだ。
そんな省庁勤めの殆どの者にとってはごく当たり前の日常は、
入隊当時から第一線に有り続けた臣にとって、非現実以外の何ものでも無かった。

大体、人でありながら人と対峙する事が不得手な臣にとって窓口業務等はまさに地獄。
・・・いや、地獄の方が人間相手ではないから、幾分マシか?・・・等と馬鹿な事を
大真面目に想像する位には、臣の精神的疲労度は限界に近づきつつあった。

その為、転属当初などは自宅へたどり着くや否や、ばたりと倒れ
そのまま朝まで気を失ったように眠りにつくという事が続き、
ほぼ毎日、鏡の前で己のつまらない意地を盛大に呪う羽目になのだが、時すでに遅し。

いつの間にやら『ソツなく業務をこなす、超美麗な新人さん』の噂はたちどころに世間に広がり、
ソレ目当てのご婦人方の長蛇の列が、人界、妖界の人種を問わず、
建物の外にまで出来上がると言う名物部署が、省内に誕生する事になるのだった。





大して面白くもないお話で・・・
その・・・すすすすみません。
次回は啓太君出てきますぅ~








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