ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話<本編>


悠遠夜話『伍』

2010.03.19  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

だがしかし
 自分は選択を誤ったのだろうか・・・。
人の姿をしてから、自分の思い人は一緒に眠ってくれなくなったばかりか
いままで拒絶しなかった 舌での接触も物凄い勢いで避けるようになった。

どちらも本当の僕なのに。まったく 人とは小さな事にこだわるものだ。
人の姿でもぴったりと身を寄せて眠りに就きたいのに。
その柔らかい肌に存分に舌を這わせたいのに。

でもこうして 無理やり自分の腕に抱き込んで じたばたする啓太を見ているのも
大層な気に入りだから良しとしよう、
時間はまだ存分にある。自分には長い長い悠久の時間が与えられているのだから
ゆっくりと 彼人を自分のモノにするのも悪くない
そう今晩も臣は思うのだった。

山神様に身を捧げに来ました。どうかみんなを助けてくださいと
初めてあの人に会ってお願いした時 
ああ・・ようこそ来て下さいました。僕の花嫁!と抱きしめられて俺は心臓が止まるかと思った。
まあ、確かに身を捧げるとは言いました。
でも、だからって、花嫁って・・・どうなんだ。

紫の瞳に見つめられるとドキドキが止まらなくて。身体全部が心臓になってしまったようだ。
あの人は 臣さんは 虎の姿だった時も見惚れるほどに美しかった。
それが人の姿をしたら・・その 威力倍増っていうか、なんて言うか。
あんまりくっつかれると全部ばれてしまいそうで 恥ずかしかった。
目が合うと胸が苦しくて、抱きしめられると力が抜けてしまうから、俺はやっぱり
どうにかしてしまったんだろうと思う。

ふと気がつくとまた美しい紫の眼と視線があう。
急いで逸らしたけれど そんな目で俺の事を見るのはやめてほしい。
身体の奥の方からジンジンと何か熱い物が溢れてきて止まらない。
指先から足の先、髪の毛の先さえもその熱に囚われてしびれてくる。
こんな俺は本当にどうかしている。

「あの・・・その、臣さん・・・」
なんとか言い切って、腕の中で小さくなっていた啓太は呟いた。
「なんですか?僕の花嫁さん」
そう言われてかーっと顔に血が上るのを感じたけれど、歯を食いしばって我慢した。
コレは大切なことだ。大切な大切なことだ。

「どうしました?」
腕に抱き込んだまま、そっと耳元に伺いを立てる。
びくり・・と身体をすくませても なんとか伝えようと啓太は尚も言い続ける。

「麓のみんなを助けてください」小さな声で訴える。
「・・・・・・。」
まただ・・・。
この山神だと言う男は 臣は。贄である啓太を受け入れてくれたのに一向に
麓に雨を降らせてくれる気配が無い。会って直ぐにとそれからもう何度もお願いしている。
その度に いつもの優しい瞳がたちまち色をなくすのだ。
すっと冷えて恐ろしいほどに感情をなくす。今日もまたこの人は黙ってしまった。

「そんなに麓の方たちが大切ですか?」
不意に問われ臣の胸に半ば俯いていた啓太はハッとして顔を上げた。紫の瞳が間近に迫る。
いつもの優しい瞳ではない。心の奥底まで見透かすような冷たい眼だ。

怖い。
震える唇で、はいと答える。それを聞き 臣はゆっくりと瞼を閉じる

そうだ。この愛しい人の口からあの醜い人間たちの命乞いをされる度
段々と啓太の心の声が霞んで聞こえなくなってきている。

二度三度と懇願される度に啓太の心がどんどん聞こえなくなっていた
あんなに側に感じられたのに。今ではもう途切れ途切れにしか聞き取れない。

自分の中に ドロドロと渦巻く感情の高まりを感じていた。
つい さっきまで、ゆっくりと時間をかけてこの思い人の事を自分のものにしようとしていた筈だった。
優しく慈しむようにこの腕に包んで、何度も抱きしめて。ゆっくりと。心を自分のものにしようとしていたのに。


だが・・・この人は今 自分の腕の中にあるのに、心はここに無い。
目を逸らして自分を見てくれない。
それどころか 己を贄として捧げた愚かな醜い人間たちの事を案じているのだ。
自分ではない別の者を案じている。
声が聞こえない。
啓太の心が見えない。

そう思うと息が出来なくなって、胸をかきむしりたくなる。
傷つけても泣かせても 自分を刻みつけてやりたい。
その可愛らしい口から聞くのは自分の名前だけで良いのに。
もう自分の事しか、考えられないようにしてやりたい。
こんなに醜い感情は初めてだ。自分で自分が抑制できなかった。


「ならば。その身を捧げるがいい。さすれば己が願い叶えてつかわす」

聞いた事のない声音でそう言って臣は
 ぎり。と啓太の両腕を捻じり上げると褥に押し付けた。
啓太は訳も判らず唇が塞がれるのを動けずに甘受した。

この人は今何と言ったのか?
目を開いたまま あの優しかった紫の瞳を探し愕然とする。
燃えるような赤味を帯びた紫がそこにある。それを見た途端啓太の身体の自由は奪われた。

熱い舌が口腔内を蹂躙しつつける。言葉さえ発することは出来なかった。

何を・・・しているの??

白い首筋にゆっくりと舌を這わせ、耳を甘噛みしてからその中にも舌を入れた。
グチグチとした水音が脳をいっぱいにする。
身体の中心にずきり。とした疼きを感じ啓太は戦慄した。

こんな感覚知らない。怖い。なんで? 臣さん。俺の体に何をしたの?

手も足も指先さえもピクリともしない。帯は解かれて袷は乱暴に引きちぎるようにして開かれる。
隠されていた 白い肌があらわになり小さく震える蕾をべろりぼろりと臣の舌は執拗にねぶる。
繰り返し何度も。何度も。ひくんと啓太の喉が反りかえった。

嫌だ!嫌だ!助けて!

啓太は声にならない声で訴え続けた。





何度も、自分の身体の底から信じられないような感覚が湧き出てきて、吐き出させられた。
抗う力は最初から奪われていて、為すがままになるしかない。
臣の大きな熱い塊が啓太を引き裂いて、何度もその身体の奥底へ迸りを穿たれた。
涙がもう枯れてしまっても、その青い空色の瞳に色がなくなっても
臣は啓太をきつく抱きしめたまま繋がり続けた。








(何処へでも去ぬるがよい・・・。)

遠くでそんな声がした。静かな そして悲しそうな声だった。
温かくて優しい口づけが自分の唇に落ちたような気がした。
それは一体 誰だったのか?




あーあー泣かせちゃったよ

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