ええ。小心者ですから・・・。

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臣嫁日和シリーズ


臣嫁日和番外編 ~湯けむり慕情大作戦~その1

2010.03.23  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

小さくまとめたボストンバック  一つ。
振り返って 僕を見つけると慌てたように 椅子に無造作に掛けられている上着をつかむ。
「じゃあ・・・。臣さん俺、行きます。」
と目も合わすことなく俯きながら、冷たく別れの言葉を口にする。

この人は行ってしまう。
僕を置いて行ってしまう。
行かないでと・・・無様にすがり付いたなら 君はどんな顔をするのだろうか?

僕を一人にしないで。
僕を置いていかないで。
一人は寂しい。一人は嫌だ。

「どうしても行ってしまうんですか・・」声が震えて上手く言えない。

愛してる 愛してる もうどうしようもなく愛してるのに。
きみが僕の元から離れて行く日が来るなんて無いと思っていた。

君がつかんだ上着をそっと取り上げて
もっと顔をよく見ようと その身体を抱きよせる

僕の大好きな空色の瞳が揺れる。
「もう、駄目なんです」
逃れる様に顔を叛けられて僕の一切を拒絶されてしまったかのように感じる
たまらず僕は君に一つ口づけを送った。

深く、深く冷たくなってしまった君の心を全部 絡め取るように。
いかないで。いかないで。
ぼくをおいていかないで。




 
ちっちっちっちっちっちっちっち・・・・・。
1分を優に超えた頃
ちーん!!


「もうーーーーーー!ほんとに駄目!!限界ですっ!!」
ぷはっ   と真っ赤な顔をして僕の愛しい人が口づけを振りほどく。

「もう時間ですから。俺。行きますよっ。
さっきから一体 何度キスすれば気が済むんですか??」

嗚呼、旦那様そんなに怒って。可愛い顔が台無しです。
キスなんて一日中してたって 足りないくらいです。なんならもう一度・・・。

目を閉じて顔を寄せ そう言ったら スリッパが飛んできた。

ああ・・旦那様。酷いです・・・
「もう駄目!!行きますね!時間だから。遅れちゃう!」

そう言ってバタバタと上着を羽織りバックをひっつかんで、出て行ってしまった。
バタン!  とドアが閉まる音がする。同時にかちゃり・・とオートロックが掛る。

ああ、行ってしまった。僕の愛しい旦那様が
僕の事を置いて・・・。

「社員旅行に・・・。」

奥様はヨロヨロと立ち上がってリビングへ向かった。

途中、壁の角に小指の先をぶつけたようで ううううう・・。と
 うなったまま小さく蹲ってしばらく痛みに耐えていた。
泣きっ面に蜂・・・。昔の人はよく言ったものですねえ・・・。
ふふ。ふふふふふふふ・・・・日本って素晴らしい・・・。
ぼそりと憎々しげに言う。

ゆらーりと立ち上がって部屋の窓際にある 真っ白で大きなソファに沈み込むように腰を掛ける。
纏うオーラはこの上なく暗い。とてつもなく暗い。底なしの真っ暗だ。

手を伸ばし、リビングの其処此処に
うっとおしいほど飾られている夫妻の写真の一つを側に寄せた。

そっと指で愛する旦那様の顔をなぞる。
幸せそうにほほ笑む二人。ふにふにのほっぺが柔らかそうだ。
明るい茶色の髪が所々元気に跳ねていて可愛らしい。
横に写っている自分もなんて幸せそうに笑っているのだろうか。

この写真を撮った時はあんなに幸せだったのにいいいい。

きいいい。と顔をしかめて。
「ああもう啓太君!!」魂の雄叫びをあげ
奥様は むぎゅーーーっと写真たてを胸に抱きかかえてソファに寝転んでしまった。

「啓太君 さみしーです」
ふーっと一つ悩ましげに奥様は天井を見詰めたまま溜息をつくのだった。





「で?今日は寂しく 一人でお留守番か?」

心底面白そうに、ふふんと鼻を鳴らして西園寺はさっきから見ていた
経済新聞から緑の目を啓太の方へ向けた。

「はは。随分渋ってましたけど。」
笑いながらぽりぽりと頬をかいて  駅に隣接する商業施設の中に入っている紅茶専門店から
買ってきたテイクアウト用の紅茶を西園寺の前に差し出した。

駅の売店などからは買わず、わざわざ西園寺の事を考えて出発時間ぎりぎりに
仲間の元へ滑り込んだにもかかわらず手にそれを既に抱えているところが啓太らしい。

西園寺は満足そうにそれを受け取ると啓太に礼を言う。

社会人になり、会社を興し 日々仕事に駆けずり回る事になった西園寺は、
それまで許せなかった出来あいで売られている食品や、
コンビニで売られている飲み物を口に出来るようになっていた。
その代り、きちんと食事を取ることが出来るときには極上のモノを口にすれば良いことだ。と彼は言う。
もう、わがまま言っている歳でもないしなと笑いながら。
人間、必死になれば適応する力が結構あるものだ。
それを聞いた時、啓太はびっくりしたけれど、出来るなら、可能な範囲で西園寺の願いを
叶えてやろうと思ったのだ。もともと口にするものが極端に僅かなこの人の為、少しでも
質の良い物を・・・。と 

きっと今まで傍らに居た七条だってそうして来た筈だ。あの人はそういう人だもの。
そんなこと位でしか俺、役に立てないもんな。
と、西園寺の側にたった一人の秘書として残った時にそう決心したのだ。

 

グリーン車のゆったりとした席に西園寺と向かい合わせに座って、
流れる車窓の景色を頬杖をついて目で追った。
太陽の光が田んぼの水に反射してキラキラと輝いている。
ずっと遠くに霞がかかっている山脈にまで続く田園風景が ゆったりとした時間と共に流れ去っていく。

今頃、何してるかな。臣さん

社員旅行に行くって話をしてからずっと拗ねていた。
昨夜なんてそりゃもう 拗ねまっくて大変だった。

僕の事嫌いになったんですか。とか 僕の事愛してないんですね。とか
強盗が来て僕が襲われちゃったらどうするんですか・・・とか。とか。
間に「??」な感じの言葉が織り込んであったが気にしている場合ではないのだ。

兎に角、なんとか なだめて、機嫌を直してもらおうと必死だったから 
愛してます。臣さんだけです。そんな事判ってるじゃないですか・・・。
と甘ーく言い続けた。

そうしたら・・・
「じゃあ。証拠を見せてください」なんて・・・。
耳に甘く吹き込まれたら・・・もう。

あーもう。俺の体のバカバカ。
パブロフの犬じゃんって突っ込みが入りそうなほど反応しちゃう。

臣さんだって悪い。あんな蕩ける様な甘い声を俺が耳が弱いって判ってて 囁くんだから。



啄ばむような口づけをたくさん、たくさん。
段々とふあふあした良い気持ちになってきてたら、あの人の長い人差し指でそっと
唇をこじ開けられた。
わざとゆっくりと口内を這わせられると、我慢できなくなって俺の方から舌を絡ませてしまった。
もう駄目だ。身体に力が入らない。膝からぐずぐずに溶けて臣さんに抱きとめられる。
臣さんとのキスは気持ちが良い。
身体の奥の方からムズムズして、頭がぼう・・・となる。
キスしている最中も大きな優しい手は俺の身体の熱を誘うように優しくさする。
髪も肩も背中も腰も。
ゆっくりゆっくり上下させてときどき、指だけで首筋をつっとなぞられると、
俺の体は勝手にびくりと跳ねるんだ。
口の位置を時々変えられて、もう何度もお互いの唾液を交換して。
そうしたら もうどうしたって、俺の喉からは甘く、くぐもった息しか出てこない。
唇をゆるゆると動かして首すじを噛まれてそして ぬるりと舐められる。
ちゅーっとキツク吸い上げられるともうどうしても
この後この人がどんな風に自分を愛してくれるのか想像してしまって・・・ 声が我慢できなくて・・・。

その間にもシャツの下から入り込んできた臣さんのどうしようもなく器用な手は
休むことは無く動き続けるんだ。

あとはもう訳が判らなくなるほど気持ちが良いってゆーか・・・・。


「!!」 
おい おい おい  なんて顔をしてるんだ こいつは。

ごほん。と咳払いを一つ。
「啓太。茶が冷める。」

西園寺の声でハッと我に返った啓太がそこに居た。
「??!!は?えと・・おれ・・」
どうやら、言われた事を理解していなかったようだ。
慌てたまま すみませんなんでしょうか・・・聞いてませんでした。とうな垂れる。

「・・・茶が冷める。」
もう一度言って、「おおかた、臣の事でも考えていたんだろう」
とズバリ言い切られた啓太は。

「はあ、まあ。」と曖昧に頷きながら、判っちゃいますか?やっぱり。
うーん 社長って凄いですと さっきの紅潮した頬のまま潤んだ瞳で見上げるから、
猛烈な勢いで西園寺は目をそらしてしまった。



臣さん拗ね拗ね~ですよ

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