ええ。小心者ですから・・・。

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短編よみきり


できごころ

2010.04.11  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

俺の恋人は ・・・時々 その・・なんというか・・・

資料をトントンと揃えながら、分厚いファイルに綴っていく。
会計の部屋の窓から見える外の景色を突っ立ったままにらみながら
啓太は作業の手を止めた。

雨雲が重く垂れこめる 暗い空の金曜日
さっきより随分と近づいてきているゴロゴロと遠くで鳴る春の雷鳴。
今にも泣きだしそうな空を見上げて は~っとため息をひとつ。
だって・・・こんな空じゃ絶対に雨が降る。
予報だって雨の降る確率90%ってお天気おねえさんが言ってた。
いくら俺の運が良くったって、自然現象には敵わない。

せっかく せっかく明日は七条さんとお花見に行く予定だったのに・・・。
強い雨が降ってしまったら、雪のように舞う桜の花びらの下、恋人とゆっくり
と歩きながら語らうという俺の若干乙女チックな計画も水の泡だ。

「は~あ・・・」
さっきよりも確実に大きくなってしまった俺のため息を聞きつけて
恋人が心配そうに連打させていたキーパンチの音を中断してこちらを振り向いた。
「どうしたんですか?伊藤君」
そんな憂鬱な顔をして・・・とゆっくりと立ち上がって俺の方へと歩みより
首を傾げながら そっと人差し指を俺の眉間へ伸ばした。
一体何をされるのかと ゆっくりと近づいてくる人差し指を見つめていたから
きっと寄り目になっているに違いない。間抜けな俺の顔。
「そんな顔、君には似合いませんよ」
と、とん。
とたどり着いた眉間のしわをそっと長い指先で撫で伸ばして 紫の瞳が笑ってる。
「だって・・雨が降ったら桜が散ってしまうじゃないですか」
ぶーっと自分でも、小さな子供みたいだなと心の中で思いながら、
つい優しい恋人に頬を膨らまして悪態をついてしまう。

「ふふ。それはそうですが・・・」
と長い指が今度は眉間からゆっくりと瞼をなぞって頬をくすぐり、羽根のようにふわりと
唇を掠めて膨らんでいた俺の頬をつん。と一突き。
ぷしゅー。っと空気が抜けて、俺の気も同時に抜けてしまった。

「せっかく、桜並木を七条さんと歩くの 楽しみにしていたのに・・」
あーあ・・・。雨なんて嫌いですとがっくりと肩を落とす俺に向かって 
まだツンツンと頬の辺りを彷徨っていた恋人の指はいつの間にやら
シッカリと俺の顎を固定して うな垂れて下を向いていた顔を上向きに直すから、
もう触れそうな位近づいていた綺麗な恋人の顔が目の前一杯になる。
唇が触れるほどの距離で見つめ合ったまま 紫色の瞳が俺を捉えて
「そんな事無いですよ。伊藤君。雨の降る日も素敵じゃないですか」
と微笑みさえ浮かべて 俺はそのまま唇を七条さんに奪われてしまった。

七条さんの口付けは、甘い毒の様だ。いけないって判っているのに。止められない。
ここは、会計部の部屋だとか、
西園寺さんがもうすぐ図書室での用事を終えて帰ってきてしまうとか
そんな事はどうでも良くなってしまって、もっとこの甘い痺れに酔っていたくなる。
優しく啄ばむ様に俺の下唇を何度も引っ張って、
その間も紫の瞳は開かれたままで俺の事を覗きこむから、
その瞳が奥の方でゆらゆら揺れているのを見つけてしまったじゃないか。
瞬間、ぞくぞくと自分の背筋を何かが這いあがってくる。
「ねえ、伊藤君。雨の日は、雨の日でそれなりに楽しむ事にしましょう??」
ぺろっと一舐めして唇を開くように促す恋人に俺は全くの無力だ。
見つめ合ったまま 壁際に追いつめられて、柔らかな唇を押しつけられたら
もう七条さんの思うがまま、為すがままにされるしかない事を身体が知っている。

「二人でゆっくりと部屋の中で・・ね?」
歯列をこじ開けられて 熱い舌が俺の口内を這いまわるから
くちゅ。くちゅ。と水音が部屋に響く。
頬の内側をなぞって上顎の前歯の裏側を擦られてしまえば、
手足が痺れて自由が利かなくなってしまう。
「ふっ・・・はぁあ」
だからもう俺は恥ずかしくなって ぎゅっと目を閉じるしかなくなる。
きっと 唇の何処かに何かの特別なスイッチがあって 身体と繋がっているんだ。
七条さんはきっとそのスイッチのありかを知っているんだ。
じゃ無ければこんなに簡単に力を奪ってしまう事なんて出来る訳がない。
喉の奥から甘い吐息が絶え間なく漏れてきて
意思に反してガクガクする下半身を支えきれずに
壁に持たれたまま ずずっと崩れ落ちてしまう。

「ねえ?伊藤君もしたいですか?」
わざとゆっくりと耳元で呪文のように 七条さんが囁く。
その低音は完全に反則だ。ずるい。
「おしえて?伊藤君はしたい?」
ぐちゅぐちゅと耳の中で舌を蠢かせながら、尚も質問してくる。
本当にずるい。
七条さんは とっくに息の上がってしまっている俺を見て解ってるくせに
わざと言葉にさせたくて、意地悪を言う。
「僕はとても 君としたい・・。心のままに お互いをさらけ出して・・・。」
そう 言いながら幾つものキスを頬や瞼の上、そして耳へと落とし、
左の耳の下の首筋の所へたどり着いて ちゅーっと音をさせてきつく吸いてきた。
「ん・・。あっ」
 堪らなくなって、甘く息を吐き出す俺を急き立てる様に
「ねえ 啓太君は?したい?」
とまた、七条さんは同じ質問を繰り返すから、
きっと答えるまで許してくれそうもないだろうと思い
 すぐにこくこく頷いて見せた。

頷いた俺に首筋をまぐまぐと 唇で噛んでいた彼は満足そうに 吐息で笑うと
服の上からでも解る位に硬くなってしまった胸の尖りを探し当てて
 円を描くように親指で引っ掻くから、勝手に身体が波打ってしまう。

「・・っふ。あ・・ん。しちじょ・さ」
また、唇を塞がれてしまって ビクビクと跳ねる俺の体を
楽しむみたいに何度も何度もゆっくりと長い指で引っ掻かれる。

「ねえ、伊藤君『せ』で始まって『す』で終わる言葉。
僕が君とすごくしたい事。伊藤君の言葉で聞かせて?」

「や・・そんな こ と。言えな・・い」
もう 下半身の一か所に熱が集まってどうしようもなくなっている事なんて解ってる。
七条さんが欲しくて、どうしようもない。
キスだけじゃ止まれない所まで煽っているくせに、
意地悪を言う恋人に少しだけ腹が立つから、言ってやらない。

「や・・です・んん・・あ」

でも何時の間に引き出されたのか
シャツの下から大きな手がするすると入り込んできて、
直接、胸の先に指が触れると僅かばかり残っていた羞恥心が
飛んで行ってしまったのが解る。

親指と人差し指で尖りを挟んだまま一定のリズムで捏ね回されると
俺の抑えが利かなくなるのを七条さんは良く知っている。

「恥ずかしいの?可愛い・・・僕の啓太君。」

長い足の膝でゆるゆると俺の下半身を押しつけてくるから、もう勝手に腰が揺れてくる。

「ああっ・・んん・・しちじょ・・・」

指で強く胸を押しつぶすようにされるのと、舌で転がされるように舐められて
一際、大きく声を上げてしまう。

恥ずかしいなら、一緒に言おうと言う恋人に根負けしたのと、
早くもっと強い快感が欲しくて仕方なくなって、思考が霞み
恋人に固くなってしまった自分自身をこすりつける。

ああ。もう。駄目だ。気持ちいい。

俺は言葉を口にする事にした。
「さん、はい・・・」とろける様に甘い声で優しく導くから・・・

「『せ』っく『す』」
「『せ』けんばな『す』」

しばらく ユニゾンがどうしてきれいに重ならないのか気がつかなかった。

は?
今何と仰いましたか??

頭の片隅に追いやられていた 思考が津波のように急速に戻ってくる。
愛しい俺のきれいな恋人は 何と言ったのか?

雨の日に二人でゆっくりする事

心のままに お互いをさらけ出して。

七条さんが俺と とってもしたい事

『せ』で始まって『す』で終わる言葉・・・。
・・・・・・。
せけんばなす・・・・。
・・・・・・・・・・・・・世間話。
「せけんばなす・・・す・・って す・・ってなんですか。七条さん」

恥ずかしさで わなわなと 肩が震える。
片眉を跳ね上げて おや、ばれちゃいました?的な顔になってるくせに

「はい。僕は君と時間が許す限り、語り合いたいです。せけんばなす」

なんて しらばっくれて、俺の胸にすりすりと顔を寄せてきた。
なんだソレ・・・。なんだソレ・・・・・。

こんなの中学生の時、流行ったじゃないか・・・。
「せっくす」とかもじもじしながら言った奴をみんなで
わははー。やだなー。エロい奴~~とか言って馬鹿にした。
神様、今その罰を俺は受けているんですか??
遠い記憶が走馬灯のように駆けて行く。
今日、俺は恥ずかしさの為に死んでしまうのかも知れない。

でもでもでも
勘違いした俺も悪いけど、七条さんの方が百万倍悪いに決まってる!!
あまりの出来ごとに固まったまま動けずにいるのを良い事に、
尚もキスをわき腹や臍のあたりに施しながら

「伊藤君は、せっくすがしたいんですね?今日は積極的ですねえ」
なんて言うから
幾らなんでも完全に俺は正気に戻った。

「七条さんのばかあああああああああ」

ひっついていた七条さんを思いっきり突き飛ばして、
乱れたシャツを半分ベルトに突っ込みながら
会計の重いドアに加減なしに体当たりした。


鼻を掠めるほんの手前で物凄い勢いをつけたドアが開かれたかと思うと、
声をかける暇もなく啓太は廊下を走って行ってしまった。
目の端に、若干服装の乱れた跡を見つけたから、何か良くない事が
彼の身に降りかかったのではないかと、あわてて会計室に駆け込むと、
啓太の恋人である長身の銀髪が一人佇んでいた。

「おい、臣。啓太が今・・・」
と早口で言いかけ、回り込んだ長身の幼馴染の顔を見て、
西園寺は話しかけるのを止めてしまった。


はーーーっと一つ溜息をつきながら、図書室から持ってきた資料を乱暴に
自分の机に投げ出すと、どっかりとデスクチェアに腰を落として足を組んだ。

「臣。」

心底嫌そうに、まだ動かずに佇んでいる幼馴染に声をかける。

「ふふ。ねえ、郁。」
自分がかけた問いかけに答えていないのは明白だったけれど、もう何もかもに
ウンザリしていて、抗議をする気にもなれない。

恐ろしい事に振り向いた幼馴染は笑っていた。
それも満面の笑みだ。

一瞬、心の中でたじろいだ西園寺だったが
片方の頬が引きつった所で押さえ付け
辛うじて平常心を保つ事が出来た。
「うーん。たまには罵倒されるのも また何と言いますか
               ・・ふふ。いいものですねえ」

一人、悦に入ってにやにやする この銀髪の男は

時々・・・その・・・何と言うか・・・。

ぴくぴくと今度は盛大に引きつり始めた頬をもうほったらかして 
西園寺は遠い眼をする。

嗚呼・・今日は自室に帰ってしまおうと
決定してさっき組んだ足をほどいて立ち上がる。

啓太 不憫なやつ。
神に祈りを捧げるごとく、会計室の部屋の天井を仰ぎ見て 心の中で彼の事を思う。
窓の外では やっぱり ぽつぽつと雨が落ちてきていた。

今夜はきっと大荒れだな・・・・。いろんな意味で。
とひとりごちて 
にやけた銀色の悪魔を一人置き去りにし 会計室を後にした。




このネタはきっと既出ですかねー。
どうしようかな~と思いながらUPします。
何だこんなの~!!とお怒りの方はごめんなさい。
先に謝っときます。
なんとコレは今朝、夢で見た七条さんと啓太君です(笑)
こんな事を夢で見る私って・・・。
うふふ。ステキーー!(←終わってる??)
と舞い上がって速攻書き上げました。
ぜひご感想をお聞かせ下さい。
いつもここまで読んで下さる優しい貴女。
本当に本当にありがとうございます。
明日も貴女に良い事がありますように。
遠くからお祈りしています。




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