ええ。小心者ですから・・・。

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短編よみきり


こいごころ

2010.04.14  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]



授業が終わってからだいぶ経つ 
もう誰も居なくなってしまった 放課後の学園の玄関。

俺は二年生の下駄箱の前 膝を抱えて体育座り・・・。
寄り掛かって座っている 頭のうえ 右から三番目一番上が七条さんの靴箱。
もうすぐ。もうすぐ。

ぱたん
ぱたん・・・
携帯を開いて・・・閉じて・・・また開く
こんな時さっぱり 画面の時計は進まない。
乱暴にボタンを操作して 写メで撮った恋人と二人の写真を表示してみたりして。

あー。これ七条さんが居眠りしてるやつ・・ふふ。
これなんかほっぺにお菓子がくっついて 子供みたいだ・・・かわいいなあ・・・。

小さな画面を指でそっとなぞって にやけてから
今朝の恋人の笑顔を思いだし たった半日会う事が叶わなかっただけで、
こんなに寂しくなってしまう自分に苦笑いをする。
もうすぐ 会計の仕事が終わる。多分 もうあと、少し。
誰もいない玄関で 七条さんを待ち伏せ。

七条さん 俺の事見つけてくれたら、なんて言うかな?
困った顔するかな?にっこり笑ってくれるといいな。
いとうくん・・・って優しく言ってくれるといいな。
今日は一緒に帰る約束なんてしていなかったけど、
和希と手芸部に呼ばれてお手伝いしていたからこんな時間になってしまった。
廊下を歩いていて、そっと覗いた 会計部の部屋にはまだ明りが点いていたから
七条さんは残ってるはず。
今はそんなに忙しい時期じゃないって、昨日言ってたから待ってようって決めた。
どうしても、一緒に帰りたくて仕方なかったんだ。

まだかな・・・早く来ないかな?
抱えていた膝をもう一度ぎゅっと引き寄せて、顔をうずめてゆっくり数をかぞえる。
1,2,3・・・・
遠くからコツコツと大好きな人の足音が聞こえる。
足音だけで解る 俺って・・・男としてどうよ・・・。
なんて少し思ったけれど、事実なんだから仕方がない。

でも何だか俺ばっかり七条さんの事大好き―って感じで
悔しいからこの事は七条さんには黙っておこう。
うん。恥ずかしいし・・・。

うずめていた顔を上げ、速攻立ち上がる。
パシパシ ズボンの埃を払って
そーっと下駄箱の陰から七条さんを待つ
・・・・へへへ ビックリした七条さん、ちょっと見たいかも。

って・・・・。あれ?

そーっと首だけ出して覗きこんだ通路には人影すらなくて。
確かに七条さんの足音だと思ったんだけどな??
間違いだったかな??
うーん。オカシイなあ。

期待していた分 落ち込みも大きい。
好き過ぎて幻聴まで聞こえるなんて、俺 そうとうきてる・・・。
はあ~と一つ溜息をついて また座りなおそうとしたその時。

「いとーくん」
「ぎゃあああああっ」
いつの間にか、俺の後ろに回り込んでいた七条さんが困ったように笑ってた。

「ぎゃああって・・・。伊藤君酷いです。」
「だって、びっくりするじゃないですかっ!!」

「ふふふ。ビックリしてる君が見たかったもので。」

「な///////////// 」

俺が考えていた事と同じだったから・・・、
その・・・、何も言えなくなるじゃないか・・・。

「うー・・。ずるいです。七条さん」
恥ずかしいのと照れくさいのとで 
大好きな人がまともに見られずに自分の上履きの足先をにらんでいたら

「ありがとう伊藤君。僕の事待っててくれたんですか?」
優しく甘い声が頭の上に降ってきて 吐息が近くなっている事を感じた。

さっきまで寄り掛かっていた下駄箱に身体ごと押し付けられて
ゆっくりと顎に人差し指が掛るから 何をされるのか解ってしまって

「だ!駄目ですよっ!こんなとこで」
言いながら慌てて自分より一回りも大きな身体を押し戻そうとするけれど
すでに囲い込まれて伸びきらない両腕の先には
大好きな人のきれいな顔が視界いっぱいになっていて。


ぴちゃ・・。

と音をさせて恋人の紫の瞳が離れて行く。
俺、どれくらいこの人に唇を好きにされていたんだろう
なんだかぼーっとして 考えが上手くまとまらないや
どくどくと心臓が音を立てて鳴っているのが
彼に聞こえそうなくらいうるさくて 頬もやけにあつい。

長い親指で俺の口の端に付いた唾液を拭い取り、その指先を美味しそうに
ぺろり。と舐め上げるから 赤い舌先に思わずぞくりとしかけ・・・たところで

ふと・・・ここが何処だったのかを思い出し、さっきまで熱が上がったように
熱くなっていた頬が急速に冷えていくのを感じた。

「し、しちじょーさん!!なにするんですかっ!!」
こんなにも されるがままになっておきながら今更どうかと思ったけれど
取りあえず強引な恋人に抗議をしてみた。

「すみません。伊藤君 つい我慢できなくて・・・。」

瞬間、金縛りにあいそうなほど 蕩ける様な甘い低い声で囁くから
腰が少しだけ砕けそうになったけれど、
この強引な恋人にそうそう好きにされてたら身体も精神も耐えきれない。

尚もにじり寄ろうとする七条さんから今度は上手く身体をかわす事に成功して
「も・・もうもう。俺先に帰りますから――――!!」

捨て台詞のように叫んでから 玄関からすっ転がるように飛び出した。

あ!伊藤君、待って下さい!!と慌てた七条さんの声が後ろから聞こえてくるけれど
立ち止まってなんかやらないんだ。

いつもいつもドキドキするのは俺ばっかりで、七条さん余裕たっぷりでいるから
なんだかそんなの ずるい。

すごーく、女子的な感情に我ながら情けなくなるけど
自分だけが 馬鹿みたいに七条さんを好き過ぎるんじゃないかって不安になる。
ちょっとくらい 七条さんだって慌てたり、困ったりすればいい。

せっかく一緒に帰ろうとして散々待ってたのは俺なのに、
今、なんで恋人をほったらかしにしてダッシュしてるんだろう・・・。

う――――。それもこれも!!七条さんが玄関であんな事するからだー。

羞恥と怒りがさらにダッシュを加速させる。
七条さんのばかばかばか 七条さんの、七条さんの・・・・。


突っ走ったまま ふと、真横に風を感じてちらりと目線を移動させると
そこには玄関にほったらかしにした筈の 恋人が俺の隣を伴走してるじゃないか・・・。

え??・・・って 早――――っっつ!!
こんな必死でダッシュしている七条さん 初めてみた。
って言うか、思えば走っている恋人を見るのも初めてだ。

「い・・いとうくん ちょ・・待って下さ・・い」
走りながら、困ったような八の字眉の七条さんがそこにはいた。

あれ?どうしたんだろう??なんだか顔中がにやけてくる。
七条さん 今 俺の事すごい必死で追いかけてる。

髪が風に乱れていつもは綺麗な銀髪に隠れて見えないおでこが丸見えだ。
その事だけでこんなにも嬉しい。
「へへへ。」


「嫌です。寮まで競争でーす!!」
「え??ちょ・・」

筋肉が緩んでどうしようもなくなった俺の顔を
恋人から隠すように ぐいっと上を向いて走る。
大好きだ。
大好きだ。
俺、こんな七条さんが大好きだ。


見上げたその先に飛行機雲が 長く細く夕焼け空に伸びていた。


青春って感じ??でてましたか?
たまには年相応の二人を・・・。


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