ええ。小心者ですから・・・。

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悠遠夜話<本編>


櫻花

2010.04.25  *Edit 
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櫻花 時者雖不過 見人之 戀盛常 今之将落
万葉集:作者不明

櫻花 時は過ぎねど見る人の 恋ふる盛りと 今し散るらむ

(櫻花はまだ散る時ではないと言うのに
           愛でてくれる人がいるうちに 散ろうとしているのでしょうか)


はらはらと
薄墨色の櫻の花びらが 
音も無く 雪の様に降り積もる

今まさに盛りの花を見せつけるが如く
身を震わせてその美しい華弁を風に舞わせて

大きな櫻の古木の節くれだった幹に寄り掛かかり
その男はもう随分と 眠ったように横たわっていた

長い手足を弛緩させたまま、頬に 銀色の髪に 休むことなく
降り積もる 花びらを全身へと受け止めて
櫻の最後の時の唄に耳を澄ませる

やがて 閉じていた瞳をゆっくりと開くと
その瞳の色は 夜明けの紫

ふと 唇へと舞い降りてきた 透ける様な
一枚の花びらに 愛しい恋人からの口づけを思い出す

ねえ そんなに 行き急がないでください

仰ぎ見て 祈る様に口に出してみても
暗闇に ぼう と白く浮かび上がる花影は
夜風が止んでしまっても 最後の唄を止めようとはしなかった  

全てを覆い隠すように 華吹雪が降り積もる

ズルズルと緩みきった手足を 櫻の幹にそっと確かめる様に這わせる様子は
愛しい人へ施される愛撫にも似て 

この蝕まれた、今にも倒れそうな身体で よくぞ今年も花を付けてくれたものだ

もう充分にその役目を果たしてこの櫻の古木は 朽ち果てる
やがて折れ、少しづつ崩れ落ちて 土へと還って行くのだ

臣さん・・・・。
やさしい やさしい 声が聞こえる

すぐそこに、別れの時が近づいていた
幹に一つ 口づけをしてからそっと頬を擦り付けて
焦がれて止まない人の名前を口にする

啓太君・・・・。

一陣の風が吹き抜けて一際大きく花びらを巻き上げれば
徐々に華弁が人型をとって ついには愛しい人が姿を現す
紫の瞳と空色の瞳が見つめ合って近づき やがて静かに抱きあった

永遠の狭間の一瞬の逢瀬

もうすぐ。
もうすぐに 会えるから。

そっと掠める様な口づけを残して
愛しい人は また花びらに戻り逝ってしまった

臣の掌にたった一枚の花びらを残して



咲いたー!と思ったのもつかの間
本当にすぐに桜は散ってしまいますねえ
盛んに散ってゆく花を見ていると
櫻の木の根元に座りこみ
物思いに更ける臣さんを想像してしまいました。
ああ。臣さん今回も一人ぼっちですみません(笑)
いつも 読んで頂きありがとうございます。
貴女に春のような幸せがありますように


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