ええ。小心者ですから・・・。

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臣嫁日和シリーズ


臣嫁日和番外編 ~世界で一番君が好き~2

2010.04.30  *Edit 
▽TB[0]▽CO[0]

最近・・・・。
俺の奥さんは変だ。
前々から上司には変だ変だと耳にタコが出来る位には言われていたけれど、
別に俺はコレといった不快な点は微塵もなかったから
気にも留めていなかったけれど。
最近・・・なんか、ちょっと解らなくなる時がある。

「ねえ・・・臣さん・・・。」

バスルームから続く広い脱衣所で
旦那様は キッチンで夕飯の支度をしている筈の奥様に声をかけた。

「なんでしょうか?旦那様❤」

にっこりと語尾にハートマークを散らしながら、割烹着姿の銀髪が引き戸から
ひょっこり顔をのぞかせた。

「えーっと・・・その・・これは・・」

腰にバスタオルだけを巻いただけの格好で
たった今、浴室から出てきたばかりの旦那様が
籐籠の中にあらかじめ用意されていた着替えの下着を手に取ったまま
どうしたものかと固まっている。
いつもは元気に飛び跳ねがちな茶色のふあふぁの髪も
さすがにこの時ばかりはしっとりと濡れそぼって、
白いうなじや上気した頬にまとわり付いている。

「旦那様、よく拭き上げないと風邪をひいてしまいます」

と旦那様の質問に答えもせず 素早く、棚の中に整然と積まれている
真っ白でふかふかのタオルを引き出してから
奥様は慣れた手つきで優しく身体に着いた水滴をふき取って行く。

・・・・・・。いやその・・・・。なんでパンツに名前?????

奥様にコシコシとタオルで拭き上げてもらっている間中、
グレーのボクサーパンツを手に突っ立ったままの啓太の頭の中は
「?」で埋め尽くされていた。

「はいおしまい。着替え いいですよ?」

と にっこり微笑まれれば、片方の頬が引きつったまま苦笑いを返すしか無くなる。

何が悲しくて、この年になってでかでかと名前が書かれたパンツを
履かねばならないのか??
しかもひらがな!!フルネーム!
そりゃ…
前からちょっと変わってる所があるかな?位には思っていたけど。
それすらも、愛しくて大好きだから。

でも、これは・・・なんかちょっと・・やだ・・・。

意を決して旦那様は、パンツを手に握りしめたまま
自分より長身の奥様を見上げながら伺いを立ててみた。

「えーっと何で急にパンツに名前なんか?・・・。」
「え?自分の物に名前を書くのは当然ですよ?」

速攻、何故そんな当たり前のことを??的な顔で覗きこまれてしまえば
一瞬自分が間違った事を聞いてしまったのではないか?という錯覚に陥る。
だがしかし・・・これはちょっとどころじゃ無く 絶対に変だ。

そうは思ったけれど、にこにこと効果音が聞こえそうな位
微笑んでいる奥様を目の前にしてしまったら、もう諦めるしかないらしい。
理屈を並べた言いあいで今まで勝てた試しなどいちどもないのだから。

とほほ・・・とうな垂れた旦那様は小さなため息をひとつ。 

「えーっと・・・そうですよね・・・。」

と 大変不本意ではあるが、別に誰にも見られるものじゃないし・・・と
自分を慰めながら「いとうけいた」の名前付きパンツを履く事にしたようだ。


「じゃ、御夕飯出来てますからね?」

と奥様はぱたぱたとスリッパをならして脱衣所から出て行ってしまった。

いつもよりも時間をかけて のろのろとTシャツに袖を通して、
スウェットに着替えた啓太は引き戸を抜け
ダイニングテーブルの上に次々と料理を並べている妻を見つめていた。
みそ汁のいい匂いが鼻をくすぐる。
入浴する前はあんなにお腹がすいていた筈なのに・・・
どうしたことか空腹感を覚えない。
テーブルに付くように促されてすぐに、目の前に冷たく冷えた炭酸水が置かれる。
いつもいつも 自分の事を気にかけて、心を砕いてくれる。
優しくて、きれいで、良く出来た 俺の奥さん・・・。

うん。でも・・・。なんか変なんだよな。
何処がどう変なのか解らないけど。いつもと違う。
風呂上がりの乾いた喉にごくごくと炭酸水を煽りながら、
ちらりと横目でテキパキと隙なく動いている 美しい妻を観察する。

うん。
やっぱ変だ。 今日、和服だし・・・。割烹着だし・・・。

今 奥様は青みがかった黒地の着物に真っ白な割烹着をつけている

・・・お正月でもないのにな・・・・・・。

一体どうしたことだろうか、仕事から帰って来て
玄関ドアを開けた時はかなりびっくりした。
白の割烹着に着物で「おかえりなさい」なんて、
いまどきサザエさんの舟さんくらいしか知らない。

どうかしたんですか?って聞いても
『いえ。なんとなくです・・』しか笑って答えてくれなかった。
着物に、割烹着。そして三つ指ついて おかえりなさい。

それから食事と入浴の二者択一・・・。
??二者択一??
・・・それも今よくよく考えてみればおかしい事の一つだ。



結婚してからというもの 旦那様へと否応なく付きつけられる
いつもの選択肢はその中に奥様自身も必ず
もれなく 絶対に!組み込まれているからだ。
奥様の気分次第では、選択肢が「奥様」たった一つのみの時さえあるのに・・・。

う―――――ん・・・・。やっぱり何かオカシイ・・・。
手に空っぽのコップを持ったまま、旦那様は呻って考え込んでしまった。


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